50 もしかしたら
家に帰って来た次の日、朝からゆっくりしていました。
久しぶりに心が落ち着いて休めています。朝御飯を食べる時間までベランダで風に当たってるとお兄様がやって来ました。
「リーナ、今いいかい?ご飯までお話ししよう?」
「ええ、お兄様。どうぞ」
「ありがとう」
お兄様が微笑みながら、席につきました。やっぱりお兄様の笑顔は見ていて幸せになります。
お兄様のお茶を準備して渡すと、一口飲んで「美味しいよ」とまた微笑んでくれました。
「良かったです!今日のお茶は私とヴィル様と考えたものなんですよ?お父様とお兄様のために考えたものなんですが、私が気に入ってしまって、渡す前に一杯飲もうと思ったのです」
「そうか...。ありがとう」
「はい、後で渡しますので、飲んで下さいね?」
「ああ」
私たちが今飲んでいるのは、ヴィル様と一緒にお兄様とお父様のためにブレンドしたお茶でした。
本当は能力試験が終わってから渡そうと思っていたものをずっと忘れてて、今回渡そうと思いもって帰ってきました。
「お兄様?お話は何ですか?」
「うん?...ああ、ヴィルのことだよ」
「そうですか...」
「ヴィルがこの間、変だったろ?それでどうにかなりそうなんだよ。だから、リーナが傷つくのはもう終わりだ」
「え!本当ですか‼でも、私まだ良く分かってないのですが...?」
「そうだろうね。でも、説明はここまでだよ。次にあいつが動き出す日が分かってるから、そのときに説明するよ」
...お兄様の顔がちょっと怖いです。ここで聞いても答えてくれなさそうなのは分かりましたが、やはりヴィル様のことは不安です。
でも、ヴィル様がまた戻ってきて下さるかもしれないと、胸が熱くなりました。
「そろそろご飯だね。食堂に行こうか」
「はい!お兄様‼」




