48 私の味方
「遅れてしまい申し訳ありません...」
「大丈夫だよ~まだ他にも来てない人が居るから~」
「そうですか、よかったです」
生徒会室へ顔を伏せながら入り、挨拶をしながらそそくさと自分の席へ向かった。
泣いてしまって目が少し赤くなっていたから、顔を見られたくなかったからだ。
そうして、自分の仕事を初めていると少ししてからイーリス殿下がやって来ました。
「遅れてしまって申し訳ない。会議を始めよう」
「はーい」「「「はい」」」
会議はいつも、生徒会室の隣にある会議室を使って行われています。イーリス殿下の言葉でみんな資料を持って隣の会議室に向かいました。
私も資料を持って振り返って会議室に向かおうとしたら、振り返った瞬間に殿下と目が合い、私はバッと目をそらしました。
あ、どうしよう、怪しかったかもしれません...。
「カリーナ嬢、どうかしたか?」
「い、いえ、どうもしてませんが...」
「そうか、それならちょっと顔を上げてもらってもいいか?」
どうしようかと悩みながらも、顔を上げると殿下は心配しているような顔をしていました。
「カリーナ嬢...、目の周りが赤いようだが泣いただろう。何があった?」
「あ、あの、何でもないんです!ただ、少し不安になってしまっただけで...」
「二人とも、どうかしたの?」
「会議室を初め...あ、失礼いたしました」
私と殿下が何時までも会議室に来ないことを不思議に思った皆さんがこちらに戻ってきて、私たちに声をかけてくれたところで、殿下が勢いよく振り返りました。
私からは殿下の顔が見えませんが、皆さんが殿下のを見て顔を青くしています。
「あ、俺たち会議室に居るね。.....ごゆっくり~」
「え、私も直ぐに行きま...」
「カリーナ嬢は私と話してからだ」
「...はい」
テオバルト様の言葉を聞いて、慌てて会議室に向かおうと殿下の横を通ったら、殿下が私の腕を掴んでそう言いました。殿下の迫力に頷かずにはいられませんでした。
「...そうか、そんなことがあったのか」
「はい、ヴィル様の様子が少し変だったので...。ヴィル様大丈夫でしょうか?」
「...もしかしたら、意識が戻ってたのか」
?イーリス殿下が言ってることが聞こえません。
「うん?ああ、何でもない。きっと大丈夫だろう。心配するな、何かあったら俺がどうにかするから」
「はい、ありがとうございます‼」
私が首をかしげてると、それに気づいてか殿下が何でもないとおっしゃられ、私を励まして下さいました。
ヴィル様のことは確かに不安だけれど、私にはこうして心配してくださる方がいるのだと嬉しく思うのと、少しだけ気持ちが軽くなりました。




