47 憂鬱な日々
「ヴィルさん!クッキーを作ったのです。食べてください‼」
「ありがとう、マリー。マリーの作ったものは美味しいから嬉しいよ。........うん美味しいよ!」
「わぁ良かったです‼もっと食べて下さいね?」
「ああ、ありがとう」
こうして見ると明らかに恋人同士です。何で教室でラブラブしてるのでしょうか...。
教室に居る皆さんもちょっと引いている感じでした。
「あ、カリーナ様私たち食堂でお昼を貰って外で食べようと思ってるのですが、一緒にどうですか?」
「ええ、ありがとう。ご一緒します」
「では、行きましょう‼」
リーリエ様たちは私の手を引いて、食堂に向かいました。
こうやっていつもヴィル様達を見なくていいようにしてくれるリーリエ様たちにとても感謝しています。
「カリーナ様こちらとても美味しいですよ!いかがですか?」
「あ!こちらもどうですか?」
「ありがとうございます。でも、あまり食欲がないので大丈夫ですよ」
「そうですか...」
皆さんに気を使わせてしまうのはとても心苦しいです。
それからも生徒会室でも皆さんに気を使わせてしまい、教室でも気を使わせてしまい、申し訳ないと思いながらもこんなに私のことを思ってくれる方たちがいてくれることが嬉しく思います。
その日は先生の手伝いをしてから生徒会室へ一人で向かっていました。
食堂の裏手の入り口へ向かっていると木の影に人がうずくまっているのが見えました。
「あの~大丈夫ですか?」
「っ!近づくな‼」
「え、あ、ヴィル様!」
遠目からではうずくまっているせいで顔が見えず分かりませんでしたが、声をかけたことで顔を上げ、声からもヴィル様だと分かりました。
「ヴィル様!大丈夫ですか!?」
「!来るな‼今は何をするか分からない‼」
ヴィル様に触れようとすると手で私を制して距離を取り、ヴィル様はそんなことを叫びました。
「どうしてですか?何があったのですか?」
「...何故か、あいつの力が弱まって意識が少し浮上したんです。だから、逃げたのですが...体の自由が完璧に効くまでにはいたっていないので...」
「?それはどういう.....」
私がどういうことか聞こうとしているときに、後ろから物音がして「ヴィルさん?」との声が聞こえました。
「こんなところに居たのですね?急に居なくなったので驚きましたよ?さぁ今日は街でデートの予定でしたよね」
「!ああ、そうだったね。行こうマリー」
マリーレーヌさんが、私の横を喋りながな通り抜けヴィル様に抱きつきました。そのとたんヴィル様が先程までの焦りの顔から嬉しそうな笑顔に変わりました。
「...ヴィル様」
「あ!カリーナさん何か私たちにご用ですか?」
「え、あ、いえ...」
「では、失礼いたしますね」
そう言って、マリーレーヌさんとヴィル様は腕を組ながら行ってしまわれました。
そのときにヴィル様は私のことなど居ないように一切見ず、マリーレーヌさんに微笑みながら行きました。
「ヴィル様.....」
何かヴィル様にあったことは分かりましたが、何があったのかまでは分かりません。
ヴィル様が私のことを無視して、マリーレーヌさんに微笑んで行ってしまったことに悲しくなってしまいました。
そうして、いつの間にかほほが濡れていました。




