45 目が覚めて
「う...」
「あ!リーナ目が覚めた?痛いところはない?何か欲しいものは?」
「父上、そんなにいっきに言われてもリーナが戸惑ってしまいますよ。リーナ気分はどうだい?」
「はい、大丈夫です。あの~どうして私はここに居るのでしょうか?マリーレーヌさんは無事でしたか?」
目が覚めて一番に目に入ったのは、学院に入るまで毎日見ていた自分の部屋の天井だった。それを不思議に思って話を聞くと、二人とも眉間にシワを寄せ難しそうな顔をしています。
「リーナ、君は一週間眠りについていたんだよ。あのボンクラ治療魔法師は遅くても一日で目を覚ますと言っていたから、目を覚ますまで待って、療養のために家に連れて帰ろうとしたんだけど、リーナが目を冷ます気配が無かったからか、そのまま家に連れて帰り、嫌だけどデーリィッドを連れてきて見てもらったんだよ。そしたら、身体には何も問題ないって言うし...。リーナの対戦相手は何事もなく無事だって」
「そうなんですか!良かったです‼...お父様たちには心配をかけてしまったみたいで申し訳ありません。....あの~お仕事は大丈夫ですか?」
「「仕事なんてどうでもいいんだよ‼」」
「仕事よりもリーナのことが大切だよ。もしこれで仕事が無くなったて悔いはないよ」
「そうそう‼領改革だけで暮らしていけるし。あ!何だったらこの際領に引っ込もうか?」
「だ、だめですよ!お仕事は大変だと言っていましたが、楽しそうに仕事をしていましたもん」
領に引っ込むと聞き、焦ってしまった。実際に二人が領に引っ込んだら、寂しくなくていいとは思うけれど、二人とも忙しいなか楽しそうに働いていたのは事実で...。
「あ~もう!!何でリーナはこんなにいい子なんだ‼私は嬉しいよ!こんなかわいい娘が持てて幸せだ‼」
「安心して、リーナ?僕たちが引っ込むことになったとしたら、それはリーナが原因じゃあないからね?」
「はい...。お兄様もお父様もお仕事頑張って下さいね‼」
「「ああ、頑張るよ」」
それを聞いて安心しました。そしてふとヴィル様が居ないことに不思議に思い、聞いてみることにしました。
「あのお父様、お兄様、ヴィル様はどこにいるのですか?」
「「っ!」」
そんなに驚く事を言ったつもりはなかったので不思議に思い首をかしげるとお兄様は「いいかい、これから言うことを落ち着いて聞いてね?」と言われました。
ヴィル様に何かあったのか不安にかられ手に力が入りました。
「ヴィルは今学院に居る。...リーナが最後に対戦したマリーレーヌと一緒にいる」
「え?」
「ヴィルは今とある事情でマリーレーヌと一緒に居なければいけない。だから、学院に戻ったときにリーナは二人が一緒に居るところを見るかもしれないがヴィルが裏切ったわけではないから気にしないんだよ?後は二人に出来る限り近づかないように」
「...分かりました。ヴィル様を信頼してますから」
二人に安心してもらえるように笑って言いました。
「よし、じゃあリーナ、まだ本調子ではないだろうし休みなさい」
「はい、お父様たちも休んで下さいね?」
「ありがとう。じゃあお休み」
「お休みなさい」
ヴィル様のことは不安でしたが、お兄様が言うことに嘘はありません。気にしても始まらないと思いそうして私はまた、眠りにつきました。




