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守れない...


とうとう能力試験の日になった。


あの事件の日から私はリーナのそばを離れないようにした。マリーレーヌから追われる日々だけど、リーナと一緒に逃げる毎日だった。


能力試験の最初の3日間の筆記試験は勉強をしっかりしていたリーナは落ち着いて行っていた。私もここ2週間は勉強を教えていたが、ほとんど教えることもない感じだった。


今回の能力試験では最初の3日間は生徒会のメンバーも活動はないが、残りの4日間は生徒会のメンバーが仕切るようになっているので、4日目の男性だけの剣技の試合の時はリーナが大変な状態になってしまった。


リーナの手伝いをしながら試合の様子を見ていると、私も訓練をしていたころを思い出し、懐かしくなった。


そうして、試合が終了した生徒会のメンバーがリーナのもとに集まって話をしているときのことだった。


私はリーナの後ろで、話を聞いていた。


「フリード様は魔法がお得意ですよね?明日が楽しみです‼」とリーナがフリード様を慰め「あ、ありがとう。...あ、明日頑張る」という返事に「はい!!」と笑いながら返事をするとフリード様も他の生徒会メンバーも顔を赤くしていた。


リーナは普段からよく笑う子だけど、嬉しいことがあったときはいつもと違い周りがキラキラしているような笑顔で笑ってくれる。それを自分以外が引き出したことと見られたのだとムカッときた。


リーナの前に立って顔を隠し、リーナに「笑うの禁止」と言うと不思議そうな顔で「何でですか?」と言われたので、耳に口を近づけ「焼きもちだよ」といつもしないことをするとリーナは顔を真っ赤にし、下を向いてしまったが耳まで真っ赤になっていて、可愛かった。


次の日からは魔法の試合が始まる。


魔法もリーナは細かい使い方もできると知っているので、何も不安はなかった。


初日の3試合も2日目の3試合も何事もなく勝ち進み3日目の2試合目対戦相手は相手はマリーレーヌだった。私はもちろん生徒会のメンバーは全員不安に思ったが、試合相手の変更はできないので、リーナに忠告することだけしかできなかった。


「では、向き合って下さい。......初め‼」


先生の合図でリーナは相手を観察しながら魔法を展開していると、慌てた表情になり展開していた魔法を解くとマリーレーヌのほうへ走っていき、マリーレーヌの腕を掴んだと思ったら、いきなり爆発してリーナが吹き飛ばされ壁に激突していた。


「リーナ!!」


走ってリーナのもとへ行くと既にリーナの周りには緑色の幕が覆っていた。リーナが息をしていることが分かり安心したが、急いでリーナを保健室へ運んだ。





保健室に着くと、治療魔法をリーナにかけてもらったが、リーナは目を覚まさなかった。


「リーナ...」


「ヴィルテイト君、リーナは大丈夫だと聞いたよ。だから、深刻そうな顔をしないで。リーナが起きたとき驚いてしまうよ」


「ヴィル、ここは私たちに任せて、少し気を晴らしてこい」


「...ああ、そうするよ。セイン様すみませんでした。...失礼いたします」


それから夕方になり、セイン様とアレクがやってきた。リーナの状態は理事長から説明を受けていたのか私から聞こうとはしなかった。


なんでいつもリーナを守れないんだ...。


「ヴィル、今平気か?」


「...ええ、どうしたのですかイーリス」


外で立っているとイーリスが声をかけてきた。


「ああ、カリーナ嬢は大丈夫だったか?」


「ええ、命に別状もなく、治療魔法も無事かかったので、おそらくすぐに目を覚ますのではとのことでしたよ」


「そうか。それは良かった。.....なんで今回のようにカリーナ嬢だけに被害が出たか分かるか?」


「...いえ、分かりません」


リーナを保健室に運んで無事を確認してからずっと考えていることをイーリスに聞かれたが、私も結局分からずにいた。


「テオバルトから聞いたんだが、カリーナ嬢が吹き飛ばされた後、..その、マリーレーヌが笑っていたらしい。...口角が上がっていただけだから笑っていたといってもいいのかという感じだが...」


「!...そうですか」


それを聞いた瞬間私は怒りしか湧いてこなかった。


その後はイーリスに適当に返事をし、終わったあとマリーレーヌの元へ向かった。




「マリーレーヌさん、あなたはいまどうして無事なんですか?」


マリーレーヌは一人で教室にいた。マリーレーヌの姿を見た瞬間声をかけた。


「ヴィルテイトさん!嬉しいです私を心配して来てくれたのですか?ふふ」


「何を言ってる!お前なんか心配するわけないだろう!質問に答えろ!」


「ふふ、そんなに感情を出しているヴィルテイトさん初めて見ました。私の前ではいつも無表情でしたから。...そうですね、私もどうして無事なのか分からないのですよ。本当は2人とも無事ではないはずなんですが...あ!最初からケガの度合いはカリーナのほうがひどい予定だったのでそれはうまくいってますね」


何を言われたのか一瞬分からず、あほ面をさらしてしまったと思う。理解すると頭の中が怒りで支配されてしまい、いつの間にかマリーレーヌの首襟をつかんでいた。


「ふざけるな!なんでリーナが傷つかなければならない!」


「だって邪魔なんですよ。ふふ、ヴィルテイトさん私に触れないようにしていたのではないんですか?ダメじゃないですか」


そう言われてからハッとして手を放そうとしたが、間に合わず甘い香りをかぐとだんだん意識がなくなっていった。


「安心してくださいね?今回は今までと違って強力なんですよ。私がうまくやりますから。ふふ」













今回ヴィル編が最後になります。次回からはまたリーナの視点に戻ります。

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