わたしのこと
リーナとフェルダ家に帰って来た日、リーナもセイン様もアレクも使用人の方々も皆さんテンションが高く、楽しく過ごされていた。
私も何時もより気を抜いていた。
リーナは馬車で疲れていたのもあったのか、何時もより早く寝に入った。
「ヴィルテイト君、君の手紙の通りリーナを呼んだけど...。告げるのかい?」
「はい。付き合うと決めたときはまだ覚悟ができていなかったですが、婚約パーティーが近づいてきたのにこのままではダメだと思いまして...」
「そうか...。私はヴィルテイト君のことを勝手ながら息子だと思わせていただいている」
「はい、ありがとうございます。今回リーナに私のことを告げて、もし受け入れて貰えなくても、私はセイン様を父のようだと思っています」
そう笑顔で告げると、セイン様も優しく微笑んで抱き締めてくれた。
次の日、緊張で早くに目が覚めた。少しぼーとしてから着替え、廊下に出ると、同じタイミングでリーナも部屋から出てきた。
「おはようございます、リーナ」
「おはようございます、ヴィル様‼」
「今日は朝から何かありましたっけ?」
「いえ、散歩に行こうかと...」
「...一人でですか?」
まさか一人で行くつもりなのかと確認するとりーなは「...はい」と言った。
「私も一緒に行きます」
「本当ですか‼では、少し遠くまで行きましょう‼」
一人だと危険だと思い一緒に行くと告げると嬉しそうに笑って、鼻唄を歌いながら玄関に歩き出したリーナが可愛くて、笑ってしまった。
玄関に行くと、アレクの執事のウィルがいて、リーナが散歩に行くことを話し、そのまま散歩に出掛けた。
本当なら、朝ごはんを食べてから、アレクやセイン様も一緒に居るところで話そうと思っていた私のことをこの朝の散歩で二人の時に話そうと考えていると、リーナが川の淵のベンチでのんびりしようと言ってくれた。
このタイミングで話そうと、ベンチに着いてからリーナに話しかけた。
「...リーナ、今回帰って来たのは婚約パーティーの準備の前に私から告げたいことがあったからなんです」
「え!そうだったのですか?お父様から連絡があったので、お父様からの用事だと思ったのですが...」
「はい、セイン様も関わりが無いわけではないのですが...、ほぼ私からの用事と言っても変わりがありません」
「えっと、婚約パーティーの前にってことは婚約に関することですよね?.....なんでしょうか?」
「...私のことです」
「ヴィル様のことですか?」
「はい」
少し不安そうにしているリーナに、私もこれから告げることで、もしかしたらリーナと別れないといけないかもしれないと思いドキドキしながら、私のことだと告げた。
リーナはそれに不思議そうに首を傾げていた。
それから、私の生い立ちからフェルダ家に来るまでの話をした。
「...と言うことです。リーナが今回のことで私のことを嫌いになったりしたら言って下さい‼私が原因で婚約出来なくなったと直ぐに断りの手紙を出します」
「嫌です‼私はヴィル様を嫌いになりません‼」
「私は今でも、王位を継ぐ気持ちはありません。しかし、この血のせいで、リーナも危険な目に合うかも知れません....それでもですか?」
「はい‼それでもです。それに、ヴィル様は私のことを守って下さいますよね?」
私が今まで隠していたことで、嫌われてしまうのではないかと思い聞くと、リーナは直ぐに「嫌いにならない」と言ってくれた。
それにリーナにも危険な目に会ってしまうかもと聞いても「ヴィル様が守って下さいますよね?」と微笑んで告げてくれた。
「はい...。私がお守りします。...リーナ、ありがとう...」
それが嬉しくて、泣きそうになりながらも「ありがとう」と告げると、リーナは笑って頷いていた。
そうして、ベンチで話していると、朝ごはんの時間に間に合わなくなりそうで、急いで家に帰った。
そうして、朝食を食べ終え、お茶を飲んでのんびりしているとセイン様がリーナに私の事を告げようとした。
それに私は自分から告げたと言うとセイン様は驚いていたけれど、リーナが頬を膨らませ、「お父様もお兄様も、ヴィル様のことご存知でしたのでしょう?何で私に言って下さらなかったのですか?」と告げていました。
それにセイン様は「リーナが危険な目に会わないように」と告げ、その後のリーナの答えにとても嬉しそうにしていた。
それから、その日はリーナ達家族は街へ出かけ、次の日は婚約式のパーティーのための準備をした。




