告白
それから後は、デーリィッド様の王宮への勧誘もカリーナ様が王宮に行かれたくないと言われ、セイン様とアレクの脅しでデーリィッド様は諦めて帰っていった。
カリーナ様を跳ねた馬車の持ち主のトリーク男爵家はセイン様とアレクの活躍?によって、政治会から追い出され、領地経営をするだけになった。
そもそもトリーク男爵家は政界でお金を使い、上にのしあがっていっていた方だった。不正も働いていたから、セイン様とアレクはここぞと攻めていて少し可愛そうな程だったが、私の気も晴れた。
カリーナ様の怪我が完璧に治り、それからは勉強や魔法の練習、ダンスや作法といったものの習う量が徐々に増えていきました。
カリーナ様が習いたいと言ったことが要因ですが、カリーナ様が吸収するようにいろんな事を次々と取り込んでいくので、教える方も力が入ってしまったからだった。
私も勉強をしなければならなかったが、一緒に勉強をした。魔法は初めは私が教えていたのに、カリーナ様は徐々に追い付いたきて、教えることがなくなるほどだった。ダンスは一緒に躍りながら教え、作法も私が直接教えた。
事故から一年間はセイン様が反対してカリーナ様は外へ出ることができなかった。しかし、八歳の誕生日に外へ出掛けた時何事もなく終わったためそこからはちょくちょく出掛けることが出来るようになった。
そうして、一年経ち、二年経ち、とカリーナ様が13歳になったときのことだった。
街に出掛けたとき、私がこの街で好きな高台へ連れていった。その時はカリーナ様にも私が好きになった場所を好きになってもらいたいという思いから、連れていった。
「ヴィル様?もう着きますか?」
「はい、あと少しですよ...ここです、カリーナ様」
「...わぁ‼凄いですヴィル様‼」
「ええ、私も初めて来たときはとても感動しました」
「はい‼私もここが大好きになりました‼また、一緒に来ましょうね?」
「.....はい、そうですね」
カリーナ様はとても綺麗な顔で、綺麗な笑顔で私に向かってそう言った。その時な改めてカリーナ様が大人になったのだと感じた。その時今までに感じなかった胸がざわつく感じがした。
その後も普通に過ごして行き、カリーナ様が王国学院へ向かわれるのが近くなったとき、カリーナ様は友達が出来ることを楽しみにされていた。そこにアレクがやって来た。
「リーナもそろそろ学院へ入学するんだね~」
「はい‼楽しみです‼」
「うんうん、楽しんできなね?でも、男には近づいてはダメだよ?」
「?なんでですか?」
「危ないからだよ、だから絶対男には近づかないでね?」
「は、はい、気を付けます」
そんな事を聞いていて、カリーナ様が他の人に私にしたように「大好き」だと考え、私とは別の人がカリーナ様と付き合うと思ったとき、凄く嫌だと思った。
そうして、カリーナ様が王国学院へ入学される一ヶ月前の最後のお出掛けのとき、告白することを決めた。
カリーナ様が高台へ行きたいと言ったときは、そこで告白することを決めていたため、とても嬉しかった。
高台でお昼を食べているとカリーナ様の口元にパンくずが付いているのに気付き、取ってそのパンくずを食べると顔が赤くなっているのを見て、私も恥ずかしくなってしまったが、それにはバレずにすんだ。
それから、お昼を食べ終わり、告白しようとカリーナ様に声をかけた。
「カリーナ様」
「は、はい!!」
「カリーナ様。私と付き合ってもらえませんか?」
「は、はい。どこにですか?」
「その付き合って欲しいではなくて、恋人になって欲しいの方です」
「カリーナ様のことが好きです」
「えっ!!」
自分でもせこいと思うような告白の仕方だったけれど、不思議そうに首を傾げているカリーナ様も、驚きで固まってしまったカリーナ様もどちらも可愛らしかった。
「カリーナ様…」
「…っつ!!すみません!!ヴィル様!嬉しすぎて驚いてしまって…私はヴィル様に告白するために、ここに来たいって言ったんです。……私もヴィル様のことが本当に好きです。今まで毎日好きと言って来ましたがヴィル様は家族愛だと思っているのではないかと思ってたので怖かったのです…でも、ヴィル様から告白してもらって嬉しくて…」
「そうですね、初めは妹のような存在だと思ってました。ただ、カリーナ様が14歳になりこれから学院に通うようになったら当分会えなくなると思い、その間にもしかしたら学園の方と付き合ってしまうのではないかと考えたとき、私はカリーナ様のことを妹としてでは無く、一人の女性として好きなのだと気づいたのです」
「…っ、…う〜」
それでも、答えが欲しくてカリーナ様に声をかけるとカリーナ様も私と一緒で告白するためにここへ来たと言われて嬉しくなった。そうして、私の言葉に泣き出してしまったカリーナ様の涙を拭った。
「泣かないで下さい。私はカリーナ様の笑顔が好きなんですよ」
「う〜、はい〜」
そんな中、カリーナ様は笑おうとしたのが分かったが、うまく笑えてなくて、でも、それが可愛くって笑ってしまった。




