カリーナ様の能力
デーリィッド様がカリーナ様を見てから、直ぐにデーリィッド様は驚きの声をあげた。
「...カリーナ嬢は馬車に跳ねられたと聞いたが?」
「はい、そうですが。どうかされたのですか?」
「いや、...はっ!もしかして....。君!カリーナ嬢は魔力切れを起こしたと言っていたな?何の魔法だったか分かるか?」
「何の魔法かですか?...確か身体の周りを薄緑の膜が覆っていたのですが...」
「やはりか‼これは凄い‼」
デーリィッド様は一人でぶつぶつ考えていると思ったら、私に魔力切れの時の様子を尋ねられ、それに答えるととても嬉しそうに一人で興奮していた。私たちはついていけなくて、首を傾げていた。
「宰相殿‼カリーナ嬢はとても素晴らしいですよ‼ご自分で怪我を治されています。私が見る前から治療魔法がかかっていたようで、すでに事故の怪我も治ってます‼しかも、全身に治療魔法なんて、誰も出来ないような魔力消費の多いい魔法を発動していると思われます。魔力切れで魔法が発動していないと思っていましたが、魔力切れを起こしても発動するように自然魔力を吸収するように魔方陣に組み込まれていたために、きちんと治療魔法が発動したのではないではないかと思います」
「それは本当か!!カリーナが自分で治したというのか!」
「それが事実です‼宰相殿相談なんですが...カリーナ嬢を王宮の治療魔法師団にいただけませんか?」
「なにを言ってるんだ‼」
「父さん、うるさいですよ。静かにしないとリーナが起きちゃうじゃないですか」
「ああ、ごめん...」
「カリーナ嬢が治療魔法師団に入っていただければ、もっと素晴らしい才能が開花しそうじゃないですか?なのでカリーナ嬢を...」
「やるわけないだろう!」
カリーナ様の寝ているベッドの横で事の成り行きを見ていると、せっかくアレクがセイン様を落ち着かせてくれたのに、デーリィッド様はまたもセイン様の逆鱗に触れてしまい、声を荒げてしまった。すると、その声でカリーナ様が起きてしまった。
「.....?どうしたのですか?お父様?」
「何でもないよリーナ。ほら、だから静かにして下さいって言ったじゃないですか父上!リーナが起きてしまったじゃないですか!」
「うっ、すまん」
気持ち良さそうに寝ていたのを起こされたのに、怒りもせずに不思議そうな顔で、セイン様にお尋ねになるとアレクがカリーナ様の代わりに怒っていた。それに、「でも、...だって...」と落ち込んでいるセイン様を見て、カリーナ様は余計に不思議そうな顔をしていた。
「カリーナ様、怪我の具合はどうですか?」
「わぁ!ヴィル様!!....怪我ですか?もう全然大丈夫ですよ~治して下さったんですか?」
カリーナ様の位置から少し後ろにいたせいで、私のことが見えていなかったようで、声をかけるとカリーナ様に驚かれた。
それでも私の事を見ると嬉しそうに返事をしてくれて、なんだか私も嬉しくなってきて笑ってしまった。
「そうですか...それは良かったです。怪我は...直したのはカリーナ様です。いきなり魔法は使わないで..........」
「え!!私が直したのですか!?わーい治療魔法が使えるなんて!嬉しいです!これで、お兄様とお父様が怪我をしても直ぐに治して差し上げれますね!」
治したのはカリーナ様で、いきなり魔法は使わないで下さいと注意しようとしたが、自分で治したということに私の言葉を聞かずに喜んでいた。そこはまだまだ無邪気だと思っていると、セイン様を怒っていたアレクがこちらにやって来た。
「リーナ、ありがとう。でも、無理はいけないよ?心配したんだから...」
「うっ...はい...。反省します...。でも、たまに怪我して帰ってくるお兄様たちが私も心配してたんです!!これからは、私が直ぐに治して差し上げますからね!!」
アレクがカリーナ様と話している間にデーリィッド様がカリーナ様に近づいて、来ているがわかったので防ごうとしたら、私よりもいち早くセイン様とアレクが壁になっていた。
「.....セイン様...、これじゃあカリーナ嬢と話せないではないですか...」
「当たり前だろう。君の目に何かしら含むものがあったものだからね」
「っ!....含むものなんてありませんよ、カリーナ嬢に倒れてしまわれた原因をお話ししようと思っただけで...」
「ふ~ん。そうなんですか。では、このままお話しして下さい、レーディッド様」
デーリィッド様とアレク、セイン様の攻防を見て、戸惑っているカリーナ様を見て、可愛らしいと思っていると、困った顔でこちらを見上げて「...あの、ヴィル様、私がどうして倒れたかご存知ですか?...」と尋ねてきました。
「はい、聞いておりますよ」
「本当ですか!じゃあ教えてもらっても良いですか?」
「はい」
説明している間もデーリィッド様達の攻防は続いていたが、放置してカリーナ様に魔力切れを起こして倒れたことを説明した。
「私の魔力が足りなくて倒れたのですよね?そうしたら、治療魔法は失敗して怪我は治せてないはずでは?」
「カリーナ様はもともと、魔力が多い方のようでしたがそれでも魔法を発動するまでにはやはり足りません。それをカリーナ様は不足魔力を空気中にある自然魔力から吸収するように魔法陣に組み込んでいたようで、治療魔法は成功したようでした」
「そうなんですか~」
「自然魔力を吸収するように魔法陣に組み込んでも、魔力が自身からなくなるまでは、発動した本人からとるので、カリーナ様は魔力切れを起こしてしまわれたのですよ」
「そうですか~、分かりました!教えて頂いてありがとうございます!」
「いえ、これからはむやみやたらに魔法を使わないでくださいね?」
「はい!分かりました!!それなら、ヴィル様!! 私に魔法を教えて下さいますか?」
「...しょうがないですね、何回も倒られるよりは良いですからね....」
「ふふ、ありがとうございます!」
カリーナ様に説明し終わったところで、私から魔法を教えてほしいと言われ、私で大丈夫か考え、カリーナ様がまた倒れるよりはと了承すると、カリーナ様はとても嬉しそうに笑って頷かれ、私も嬉しくなって笑った。




