決意
部屋に入ってからは、ずっと後悔していた。どうしてあのとき手をちゃんと握らなかったのだろう。
そんな事をベッドに腰かけてずっと考えていた。部屋はカーテンが閉まっていて、どれだけそうしていたか分からない。
コンコンコン
「ヴィル、リーナが会いたいって言ってるぞ!」
「.........」
「知らんぷりとかいい度胸だな、どうせ起きてるんだろう。出てこい」
「.....俺は会わせる顔がない」
「.......ふーん、リーナが会いたいって言ってるのに。.....じゃあ、扉蹴破って無理やり引っ張って連れてってやる」
「え!なにを...」
諦めてくれると思ったのに、そこまでするとは考えてなく驚いてるとガン!バキィ!と音がして扉を見るとアレクが立っていた。
「ほら、行くぞ!」
「え、あ、ちょっと!」
手首を捕まれて引っ張られ、少し抵抗すると首の後ろ襟を捕まれて引きずられた。
「おい、アレク!分かったから!離してくれ!自分で歩く!」
「本当だろうな?」
「あ、ああ」
アレクは「ふんっ」っと言って手を離してくれた。と思ったら、腕を掴んで引っ張って歩きだした。
「お、おい、アレク!」
「部屋に行く前に怖じ気づいて戻られても、めんどくさいからな」
「.....分かったよ」
そうしてそのまま引きづられるようにカリーナ様の部屋に入った。
「…失礼します。カリーナ様。今回は申し訳ありませんでした」
「謝らないで下さい、ヴィル様。今回のことは全部私がいけなかったのです。本当に気にしないで下さい」
「でも…私が手を離さなければ…」
「ヴィルテイト君本当に気にしなくていいよ」
「いえ、今回はカリーナ様も無事でしたが、もし打ち所が悪かったら死んでしまっていたかも知れません!!もし、そうなっていたら悔やんでも悔やみきれなかったと思います!」
「う〜ん...分かりました!!それでは、今回のことを気にされるのでしたら、これから毎日私と一緒に居ることで許します。毎日一緒といっても今まで通りではダメですからね?」
どこかに落としどころを作らなければ行けないのは分かってはいたが、カリーナ様が許すと言っても簡単には自分を許すことは出来なくて、譲らなければ、カリーナ様はそんな事を提案してきた。
「えっ…でも…」
「ヴィル、こんな可愛い妹のいうことを守れないのかな?どうなんだい?」
「そうだぞヴィルテイト君、不本意だがリーナが望んでいるのだから、リーナと一緒にいることを許してあげよう。」
そんな事で許してもらうのはどうなのかと、「でも」と言うとセイン様もアレクもとてもニコニコ顔なのに怖い雰囲気で近寄ってきてそう言ってきた。
「…分かりました。これからもよろしくお願いします。カリーナ様」
「はい‼ありがとうございます。ヴィル様‼大好きです‼」
カリーナ様は泣き出しそうになっていて、泣いて欲しくなくて、もう二度とこんなことを起こさないと決意して「分かりました」と告げると、とても嬉しそうな笑顔で「ありがとうございます、大好きです‼」と言った。
何時も「大好きです」とは言われていたけど、何時もとはなんか違う気がして驚いているとセイン様とアレクが怖い顔でこちらを見ていた。
セイン様はショックでそなまま固まってしまったが、アレクは私の前に来て般若のような顔で「ヴィル、わかってるよね?」と言ってどんどん迫ってきて、その後はカリーナ様が見ていないことを良いことに、何時もの丁寧なしゃべり方ではなく、どこかのガラが悪い人のようなしゃべり方で攻められとても怖い思いをした。




