23 初めての授業
今日は学院での初めて授業です。ヴィル様が部屋に来る前に準備を終わらせようと着替えなどを急いでおこないました。準備が終わりソファーに座ったところで、続き部屋の扉がノックされました。
「リーナ、準備は終わりましたか?」
「はい、ヴィル様。部屋に入っても大丈夫ですよ」
すると、ヴィル様は「失礼いたします」と言いながら、ヴィル様の部屋の簡易キッチンで準備したであろう紅茶をもって来ながら部屋に入って来ました。
「リーナ、まだ時間がありますから、お茶を飲んで、飲み終わったら食堂に参りましょう」
「はい、ありがとうございます‼今日のお茶は何ですか?」
「今日から学院が始まるので、頑張って頂こうとリーナが好きなローズヒップティーですよ」
「本当ですか‼嬉しいですありがとうございます‼」
ヴィル様は私が気負わないようにと好きな紅茶にしてくれたのであろうと思います。それが、嬉しくてこれから頑張ろうと思うのと同時に肩の力を抜くことができました。
ヴィル様の紅茶を飲み、少ししてから食堂に向かい朝食を食べて一端部屋に戻り、教室へ向かいました。
教室にはまだ、数人しか居ませんでしたが、「おはようございます」と言うと「おはようございます」と返してくれました。
オリエーテーションのときは侍従の席が主人の隣に用意されていましたが、これからの授業では侍従はクラスの後ろに用意されている椅子で待つことになります。なので私が席に座り、ヴィル様は隣に立って話をしていたら、昨日ヴィル様とぶつかってしまった女の方、マリーレーヌさんがヴィル様に話かけてきました。
「おはようございます!ヴィルさんでしたよね?昨日はありがとうございました!」
「いえ、特になんとも思っていないので、気にしないで下さい」
ヴィル様はどことなく機嫌が悪そうでしたが、マリーレーヌさんは気づかずにいるのか、「でも、お礼に」っと言って手作りのお菓子をヴィル様に渡そうとしました。
「気持ちだけで、結構です」
「ですが、折角作ったので...」
「いえ、結構です」
「そうですか...残念ですがしょうがないですね...」
結局、ヴィル様はお菓子を受け取らず、マリーレーヌさんが少し悲しそうな顔をして、「失礼します」と声をかけて席へ戻ろうとしていました。しかし、後ろに振り返ろうとした途端に足を捻ってしまったようで、ヴィル様の方へ倒れてきました。
「きゃっ‼.......ごめんなさい!」
「...いえ、....大丈夫でしたか?」
「はい!ありがとうございます!...やっぱり折角ですから、お菓子受け取って頂けませんか?」
「...はい、...受け取らせて頂きます」
「本当ですか‼嬉しいです‼では、失礼いたしますね!」
マリーレーヌさんが倒れてしまい、それを支えたヴィル様の様子が先程までの態度とは打って代わってぼーっとした感じになりました。そして、先程までお菓子を受け取らないと言っていたのに今度は受けとると言って、お菓子をもらってしまわれました。
「ヴィル様どうかされましたか?」
「...なんともないですよ」
「そうですか?」
マリーレーヌさんが席に戻って行くとき、ヴィル様がマリーレーヌさんをじーっと見ていたので、どうかしたのか聞きましたが、「なんともない」と言われてしまい他に声をかけられずにいると、ターニャ先生が教室に入ってきて、ヴィル様は後ろの席へ移動してしまわれました。
そのままお昼まで、ヴィル様は私の側に来ることがなかったので、私が機嫌を損ねるようなことをしてしまったのかと思いました。ですが、お昼のときヴィル様は普通に声をかけてきました。
「リーナ、お昼ですので、食堂へ参りましょう」
「あ、はい。...あの、ヴィル様?.....私何かしてしまったでしょうか?」
「?..何がですか?」
「いえ、さっき何時もと様子が違ったので...」
「私は何かされた記憶がございませんので、なんともないですよ?」
「そうですか?それなら良かったです」
なにもしていないということが分かり、ホッとしましたが、やはり先程のヴィル様の様子は気になりました。ですが、ここで聞いても何ともならないだろうとそのまま食堂へ行きました。
そのまま二人でお昼を食べ、教室に戻り午後の魔法の講義になりました。魔法の先生はヒューズ先生と言う方が教えて下さいます。
「では、今回は魔法の種類と特徴についてお話しします。魔法には攻撃、防御、治療、精神干渉、自然と言った五種類の魔法があります。攻撃、防御の魔法は魔力を持っている人なら使える基本魔法に当たります。治療、精神干渉、自然の魔法は魔力を持っていても使えない人がほとんどの特殊魔法に当たります。今回は特殊魔法について詳しく説明します」
そこから、特殊魔法について授業が終わるまで、先生は話されました。簡単に話すと、特殊魔法は使える人が限られている、治療魔法と自然魔法はかけたいものの近くで手をかざさないと使えない、その中で精神干渉の魔法はかけたい人に触れないと魔法はかからない、治療魔法を自分にかける場合は手をかざす必要はない、とのことでした。
それから、授業が終わり私たちは生徒会室に向かいました。




