戦争と愛と
第三次大戦
駆ける兵、飛び交う魔法
時には空を、時には地を、時には兵達の間を。
幾多の兵の中、二人だけは他の者と異なっていた。
茶髪の若い、将であり騎士、ミザール。
律と技で鍛え上げた剣術、必殺の威力は無いものの、不意打ちを許さない魔法。
自らが前線に出でて、無双し、他を
寄せ付けず、軍を鼓舞する。
もう一つの異は、ミザールとは真逆の者
だった。流れるような白髪、白に金の線が入ったローブ、そして真っ白な剣、それは倒れた者の血で
少しずつ染まってきていた。
流派など無い、ただ殺し快楽に浸る
為振るわれるような剣、あえて多く血の流れる
場所を執拗に斬り、無慈悲に魔法で全方位を
蹂躙する。
味方は己ただ一人。向かってくる全てが敵の
今、轍が増えて行く様を愉快とし、笑う。
白い狂気、カペラは血と踊る
「さ、魔法はイメージ。Go!一番弟子君!」
カペラはカイルに抱きつきながら、魔法を
指導する。
「ここをこうするとこうなるわけでね、最後は戻ってきてこうなるわけ…」
出会ったときとはまた、うってかわって全く違う印象を持たせる服、白を基調としながら手首とブーツのギンガムチェックが目を引く。
「あ、あの師匠…できればこういうときぐらい
離れて欲しいんですけど…。」
指導は8日目だが、カイルはまだこの雰囲気に
慣れることができなかった。
「えー?聞こえないなぁ?一番弟子君の良い匂いで、聴覚死んでまーす。」
カペラは聞く耳持たず、主張が強めな胸をカイルへと押し当てる。
「し、師匠…集中できないです…。」
少年自身が望んだ魔法を会得するのは、先が
長そうだ。