二年後へ
「へぇ~。なかなか続きが気になるなぁ。」
「だろ?」
窓際。
青年二人が本を見る。
「でも、話がぶつ切りだし、【詠唱破棄者】がなんなのかとか、ミザールって騎士も詳しく書かれてない。よくわからない描写が入り込んで、なんというかわかりづらかったな。結局は、
男の教師に飽きた青年が偉大な魔女に会って、色々な魔法士と戦って腐りかけていたつぼみが開きかけた所で離れ離れになった。
って事だろ?なんというか、若い頃を棒に振ってるような気もする。にしても【竜依】、ドラゴンを身に纏う魔法が昔からあったなんてなぁ。いやだとしても、謎を抱えたままのこの終わり方はよくない。」
「まぁ、そう言うなって。作られた記憶なら、途中から話がややこしくなるのは仕方ないって。
この話には勿論続きがあるんだよ。」
「本当か?見せてくれよ。」
「悪いな、この続きは先生の書庫の奥の奥にあるんだ。俺でも取ってくるのは骨が折れる。明日まで待ってくれ。」
「あぁ、気になるなぁ。誰が歴史をわさわざ改変して偽の記憶をこの世界に発信したなんて事があったんだ…?」
「さぁな、俺は思ったんだが、このカイルって奴はちょっと危なっかしい。長くもたない筈だ。」
「俺もそう思う。でも、コイツは良い終わりを迎えるだろうよ。」
「いや、俺はそうは思わない。こんな適当な日記を書く奴に感情移入なんて出来るか?」
「勿論だよ。これからカイルは師を探して奮闘する。きっとグッドエンドだ。」
「お前の予想が合ってる事を期待するよ。」
本を閉じる。




