カウントダウン
新展開だよ!?カペラちゃん!も、そろそろ何か一つ佳境を迎えてるみたいですね。
この先が気になります。(アンタ作者だろ)
「で、一体どういう意味なんです?」
カイルは洗った顔を洗いながら訊く。
「そのままの意味だよ。これから君は、俺と、ここにいる召喚士と共に魔法の技術の向上に努めてもらう。」
ミザールは涼やかな表情で言う。
カイルより歳がずっと離れていると聞いたが、そんな風には見えない。本当に三次大戦を生き抜いたのだろうか。
顔は自分の師のカペラより若く見える。
「まぁ、ここで力をつけなくても放浪の旅とか故郷に籠ってとかいろいろあるけれどな。一番効果的なのはここだと思うのだ。俺はこの場所を君の才能を信じて提供する。」
「いや、師匠はどうなるんですか。俺は師匠に付いていく体でここまで来てるんですけど。」
続けるミザールにカイルは強く主張した。
なんとなく、師がいなくなる気がしてしまった。
「あぁ、私はその、仕事というかね。ちょーっと数 週間一人で行かないといけない場所があるから。その間とか修行系統の面倒見てもらえる場所で一番弟子君に効果あるのはここかなって、思って。」
カペラは何か後ろめたい事があるように言った。いつもは笑っておどけたように言う彼女が何かを隠しているのは明白だった。
「いや、何かするんだったら連れてってくださいよ。」
「ダメだ。」
今度はカイルの言葉に強くミザールが言う。
「カペラが行くのは一人でも気を抜くと死が手を招くような場所。君がいくとなるとカペラ共々仲良く土の下だ。」
「でも…」
「とにかく、君には暫くここにいてもらう。カペラの才能頼りの一点特化だった君のパラメータに我々はバランスよく他の要素を足すと約束する。それにちょっと待てばカペラは戻る。少しの辛抱だよ。」
「んで、ここに来たわけ!?女連れで!?幼馴染みの私の家に!?」
アトリアは怒りを表に出して言った。
カイルとアトリアの出生の地、『幽玄街』は、雷の王国のすぐ近くだった。
カイルは寝泊まりをする場所にアトリアの家を選んだのである。
「大丈夫大丈夫、私はすぐいなくなるから。若い二人で騒いで私には受け止められなかった衝動をぶつけ合っちゃってよ!」
カペラは陽気に言った。
「師匠も若いですよね!?てか受け止められなかった衝動!?」
「へぇー…バカイル、アンタ随分と盛ってるようね…!」
カイルは既にアトリアから勘違いの眼差しと拳を向けられていた。
「ばいばーい☆」
「うわぁぁぁぁ師匠待って誤解といて死ぬぅうぅヴ!!!」
カイルの悲鳴はドアを閉じると聴こえなくなった。
「そろそろ…か。」
カペラは息を吐く。
黒い空に融ける白が、何故か胸に刺さった。
古いテレビの電源が切れた音がした。




