師と師と弟子と雇い主
「ぐっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
カイルは野を転がる。
「私の父、オウィディウスは突如竜に姿を変えました。でも、感謝しています。」
ミアは語る。
「私たちに力をくれた。それだけでいいのです。」
ミアは空を滑りカイルに近づく。
「私たちは父のおかげで召喚士になれました。才能をくれたのです、私達はミザール様を守る召喚士になれました。」
「急に何を言ってんだ…アンタ。」
ミアの語りにカイルは水を差す。
「竜を使うなら少し位思い出を共有してもいいかなと思いまして、竜を使うものは惹かれ合うと言います。将来的に結ばれる可能性は皆無ではありません。念のためです。」
そう言いながら、魔法を蹴り飛ばしてカイルを転がす。
「あっ…ぐっ…くそっ…!」
カイルは火傷に苦しみの表情を浮かべる。
「さて…《竜依》。」
ミアの周りに黒い渦が起こる。
カイルはそれを見た途端、意識が遠退いていった。
「久しいな、カペラ。随分と丸くなったな。
殺気が色気に変わっている、男ができたのは本当だったか。」
「そう、でも黒焦げ。いつもは素敵なのよ?」
「申し訳ありません、カペラ様。」
カイルの頭に声が響く。
「一番弟子君、見える?」
カイルは目を開く。
「ふむ、騎士を見上げる気分はどうだ。カイル・セイリオス。」
ぼやけて見えない、茶髪と銀の甲冑が少しだけわかる。
「俺はミザール、騎士だ。そして、君を打ち負かした召喚士の雇い主、カペラの旧友だ。よろしく頼むよ。」
騎士と少年は出会う。




