カペラの楽譜のダルセーニョ
「あのー…マルカブ?どこに…」
「はいはい、うるさいですよー。さっさと歩いてくださーい。」
カイルはマルカブについていく。
さっきまで寝ていた所の扉を開けると、
すぐに外だった。夜のようで祭り事でもあるのか、屋台が多くとても賑やかである。
歩いて8分程、他の国ではコンマのあとの0が沢山付く秒数なそうだが、影の国の時間で8分程経って、2人の目の前には門が現れていた。
「はーい、ここが幽々道名物の追憶門ですー。
カイルさん、幽玄街の出身だそうなのでこういうのなれてるでしょうし、一族で大戦を三回も止めた星の魔法士の末裔のカペラさんの弟子ですから楽々かなと思いますが、多分三日は出てこれないので頑張ってくださいねー。」
そういうとマルカブはカイルが門を潜るように蹴飛ばした。
「いや、なんの説明も無…」
カイルがよろけて門を潜ると、またあの場所が目に映る。
お母さんと女の子がお父さんを待ってとても長い時間が経ったある日、お母さんが女の子に言いました。優しく、お父さんと同じように。
「少し出掛けて来るからね。お空が五回くらい変わったら、帰ってくるから。」
女の子は元気よく承諾しました。
女の子は何日も何日も待ちました。
それでもお母さんは帰ってきません。
女の子はそれでも泣いたりはしませんでした。
お母さんを信じていたからです。
そうしてある日、女の子はテレビを見ました。
いつも通り、めまぐるしく変わる映像に気分を悪くしながら。
そんな時です。
画面がゆっくりになりました。
お空の色もゆっくり変わるようになりました。
そうするとテレビにはお母さんが映りました。
お母さんだ!女の子は喜びの声を上げます。
すると女の子は気づきます。
お母さんの服がボロボロです。
変な台の上に、銀の棒を持っている人と一緒にお母さんは立っていました。
すると銀の棒を持った人は言いました。
「長らく戦争を妨害し止め、我ら協会の邪魔立てをする星の一族も終わりだ!夫と共に死ね!そして、ここからが!第三次大戦の幕開けである!」
画面の下の方の人達は元気に声をあげました。
そして、お母さんは言いました。
「あなたは…生きて…カペラ…。」
揉み消されている筈の声はとてもよく女の子の耳に聞こえました。
銀の棒がお母さんに降り下ろされました。
お母さんは綺麗な白い髪をしていました。
お母さんの髪は赤くなりました。
白い薔薇の花が落ちて、赤い薔薇になりました。
「うわぁぁぁぁああぃぁぁぁぁぁぁおぁぁあぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!!!!」
女の子と、勝手に私の記憶を盗み見た一番弟子君は、叫びました。
忌まわしい記憶は、今も鮮明に。
止まぬ怨恨の念は、今も瞳の中に。




