タイムラグ
質問とか誤字があれば言ってください。
あるところに、空が一日に何度も変わる家がありました。家と家具は一通り木で出来ていて、
テレビだけは、木以外の物で作られていました。
テレビはめまぐるしく映る物が移り変わって、
とても、見ることができるものではありません。
そんな所に、男と女がいました。
二人は知らず知らず惹かれ合い、二人の間には
女の子が。
どうしたの?今は聞くだけにしなさいな。
あなたはその家に立っているの。
修行の時の家とは違うでしょう?
ほら、二人が赤ん坊を抱いてこっちに来た。
少し経つと俺の足を、誰かがすり抜けていった。
三歳位の女の子、その後ろからは男女が。
両親だろう、幸せそうにして。
彼らも俺をすり抜けた。
手を振る娘の方に近寄って、頭を撫でて。
幸せな女の子が七つぐらいの頃、お父さんが家のドアから外へ出ていきました。
「空が五度変わる頃には帰ってくる。」
そう言ったので女の子はお父さんをお母さんと待つ事にしました。
お母さんは女の子を膝の上に寝かせると、テレビを見始めました。とても真剣な眼差しで。
お父さんとお母さんは時折テレビを見て難しい話をしていましたが、女の子には理解できませんでした。反、とか。止める、とか。
短い言葉はわかっても、その話の全てを女の子は知り得ませんでした。
お母さん、そんなの見て面白い?と女の子は聞きます。すると、お母さんは涙を流しました。
女の子は驚いて、お母さんを心配しました。
お母さんは笑って、女の子の頭を撫でました。
振り返ると、お父さんが少しだけテレビに出ている気がしました。
「ーーーッ!」
カイルは目を覚ました。
どこともわからない黒い天井。
黒いベッド、オレンジのランタン。
そしてその横には人が立っていた。
「おやおや、お目覚めですか。随分とお寝坊さんですね、私が彼女なら何回も夜這いが…っと、カイルさん。あなたは治療と修行の前半を同時進行でさせていただきました。それでは後半、先程振り返ったあなたの記憶をさらに現在近くまで、掘り起こします。大体三年前位まで。」
女の子だ。タキシードを着た黒髪ショートの少女が立っている。
カイルは自分を見る。フォーマルハウトと戦っていた時の服と同じで、裂けたりしている所は何処にもない。そして、腕も両方がついている。
「あの、君は?ここどこ?俺はフォーマルハウトに…」
「あー…うるさいですねー…。これなら寝ててくれていた方がよかったです。さっさと幽々道で用事済ませて帰ってもらっていいですか?静かになったらまた会いに来てくれてもいいですけど。」
カイルの問には一切答えず、少女は答えた。
そしてこう続ける。
「影の国は凄まじい時間の遅延によって生まれた特殊施設、それを利用した幽々道。あなたを幽の道へ案内するのは、このマルカブです。惚れてもいいんですよ?」
そう言ってマルカブはウインクする。
過去と未来が混ざり合う。




