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星の魔女 序  作者: 羅偽
水の国と影の国
11/33

出会いの幕開け

見馴れた木造住宅。カペラと少し短く

過ごした場所。階段を上がって彼女を起こしに

行く、何度も見た光景。

あと二時間。

それはダメ。はずっと変わらぬやり取り。

修行でくっついてきては今日の分が終わると

ソファーにだらだらするカペラ。

カペラがこちらを向いた時、ノイズが走り

あの光景が現れて消える。

血を吐き笑いながら目の輝きを奪われて行く、

彼女が息を引き取るその瞬間に、

悪い夢は醒める。

「ーッ!!!」

カイルは目を開けた。

見たことのない天井が目の前にはあった。

白くて、うっすらと模様が掘られているのが

判る程度でここが何処なのか知る方法は

右のカーテンを開けるしかないようだ。

むくりと起き上がると、全身が筋肉痛の様な痛みに

襲われていた。【世界樹の根】を使った副作用

で、身体を自身が抑えきれる量を越えた魔力が

駆け巡る事があるため、とカペラが言っていた

のを憶えていた。

不意に左に注意が向いた。

水の流れる音である。水道水が蛇口から出る音の

ようだ。見渡してみると、ここは高めのホテルの

ようだった。ベッドが二つとこの広さ、

泊まるどころか暮らすのも問題ない。

ふと左下に目を落とすと、カイルはベッドから

飛び降りた。カイルが寝ていない方のベッドの上

には彼女の私物があったからである。

指導の時持っていたペンその物だった。

体の痛みを気にもせず、音のする方へ。

白い扉を勢いよく開けると、広い洗面台の前に

見馴れた師の姿。

あのときの傷はなく白く艶かしい背中が

カイルの視界に映る。

下着だけのカペラは髪を留めながらカイルの方を

向く。

「あ…起きた?一昨日ぶり。残念だけど

入浴は終わってます!残念。」

開口一番、カペラはカイルを呆れさせた。

でもそれはカイルを安心させるには充分の役割を

持っていた。カイルはその場に崩れ落ちる。

「良かった…ほんとに…。」

俯くカイルの頭をカペラはぺちぺちと叩く。

「わーたしが死ぬわけないでしょうに、寧ろ

こっちは丸一日起きなくて胃に穴が空くかと

思ったんですけど。」

黒いレースが付いた下着のまま、カペラは笑う。

「まぁまぁ安心したところで一番弟子君、

外の空気を吸いにいこう。私はお着替えがあるから?まだ行けないけど?一番弟子君は既にその服を

3日連続で着てるし、どうせなら海で汚して

来なさいな。」

「海…師匠、何を言ってるんですか…?」

首を傾げるカイルをカペラは窓に連れていくと、

カーテンを開ける。

カイルの目に飛び込んで来たのは

見たこともないほど壮大な海と砂浜、そして

大きな建物達。

「水の国へようこそ一番弟子君!さぁレッツバカンスだよ!」

流れと流れはいずれぶつかる物。




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