車酔いの少女 ~叔母登場~
おばさん、登場です。そして想定外の顧問視点☆
「かなめぇ~? 迎えに来たわよ?」
車種がよくわからない真っ赤な車から、ピンク色のサングラスをした女性が出てきて、水野に手を振り、そういった。
「つかさおねえちゃん!」
姉? 水野は一人っ子だと、何かの会話で聞いた記憶があったが・・・?
森川がボソリと言う。
「水野の叔母です・・・が、本人が嫌がるため、姉と呼んでいるそうです」
「なるほど」
たしかに叔母というには若々しい人だ。サングラスのせいで目元はわからないが、肌はつややかだ。
「監督さん? 顧問さんって言うのかしら? ご挨拶させていただけるかな?」
その声を聞いて、俺は2人の傍に寄った。
「どうも。バスケ部顧問の斉藤です」
「はじめまして。水野かなめの叔母で、上平つかさと申します」
サングラスを外した上平さんは・・・・・オレの好みドンピシャ(死語)だった。
黒目がちの目。
セミロングの真っ黒な髪。
真っ白い肌。
ちょっと童顔。
結構グラマラス。
オレは上平さんの名刺に慌てて目を向けた・・・・・・が。
よ、読めん。
TSUKASA KAMIHIRA しか読めん。
Financial Analyst・・・・・・ってなんだ?
「つかさおねえちゃん、お仕事は?」
「午前の便でシンガポールから戻ってきたの。あなた、風邪引いていたんですって?」
「うん」
「体調が悪かったんなら、バスでも電車でもキツいでしょ? 送っていってあげるわ」
「じゃあ、つかさおねえちゃんのおうち泊まりたい!」
「・・・・・・う~ん。久しぶりのプライベートなんですけど」
「いや! 泊まる!」
「・・・・・・・・・・・・まあ、見られて困るもんでも無い・・・か?」
「きゃーーー!」
水野が子供らしく喜んでいる。随分と仲の良い叔母さんなんだな。
「斉藤先生、この子、連れて帰ってもよろしいですか?」
「ええ、もちろんです。午前中も気分を悪くしていて心配していましたので、ご身内の方が来てくださって安心しました」
「団体行動を乱してしまって、申し訳ありません。たいしたものではありませんが、部員の子たちにお配りください」
上平さんが差し出したのは、紙袋いっぱいの・・・マカダミアナッツチョコレート。
「こんなに沢山!」
「海外ではものすごく安いものですから、気になさらないでください。義理で買ったのですが、コレだけ食べると太ってしまいますし」
「そうですか?・・・ではありがたく頂戴します」
「それじゃあ、かなめ。お友達に挨拶してきなさい」
上平さんはサングラスを再びつけると、車に水野の荷物を運び始めた。
オレもなんとなくついていく。
この車・・・どこのだ?
「めずらしいでしょう? サンルーフがほしくってコレにしたんですけど、メンテが大変で」
「初めてみますよ。可愛らしい車ですね」
「ええ。でもこのあたりではもうコレ1台になってしまって・・・人気無かったんでしょうねー」
「・・・・・はは」
「この間査定に出してみたら、「これ、どうやってボンネット開けるんですか?」って言われちゃいましたよ。本職も分からない車ってどうなんでしょうねぇ」
チラリと見たエンブレムは有名外車のもの。・・・しかし、そうとうな珍品らしい。
「おまたせ!」
「じゃ、シートベルトして乗って。好きなCD掛けていいわよ」
「はーい。先生さようならー」
水野はニコニコ顔で助手席に乗り込んでCDを漁っている。
そうとう嬉しいらしいな。森川と付き合っていると聞いたが、叔母>>>>森川くらい嬉しそうだぞ。
「それでは、失礼させていただきます」
上平さんは、助手席側の外にいる俺に会釈をすると、ギアをなめらかに動かして(外車だからしてマニュアル車だ)去って行った。
「せんせー。チョコ。チョコ分けてくださいよ!」
横で野々宮がオレをつついたが、オレはボウっと赤い車を見送り続けた。
オタクな叔母登場。しかし職業は固い。Financial Analyst・・・証券アナリストです。
乗っている車は、げんたろうの元愛車。色々実話。
ピンクのサングラスもこの間作ったので(度入り)、使わせてみた。
かなめはつかさが好きで好きでたまらない。