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車酔いの少女  作者: げんたろう
中学生編
18/28

車酔いの少女17 ~彼女が寝込みました~

16と同軸の森川視点です。


水野が高熱を出した。


(39.8度・・・)


森川には未知の体温だ。

大友と野々宮も経験したことがないだろう。佐野あたりならあるかもしれない(なんとなく)。


電話のあと携帯で検索してみると、熱というのは朝より夕方のほうが高くなりやすいらしい。

ということは、水野の体温は40度を超えることになる。


(大丈夫なのだろうか?)



電話をしたい。

が、朝の水野母からの電話では応対も億劫そうだった。

ならばメールは?


(携帯の小さいボタンで打ち込みさせることはできないだろう)


返信不要というタイトルで「しっかり治せよ。こっちは気にするな」とメールを打ち、森川は学校へ向った。

いつも水野が座る席には見知らぬサラリーマンが座っており、なんとなくその男の頭頂部を凝視していたら、視線を感じたその男と目が合ってしまった。


「「・・・・・・・・」」


サラリーマンが根負け(?)して視線をずらした。

森川もサラリーマンの「なんで俺を見る!」という態度を察して、場所を変えた。

水野が居ないとへんなカンジだ。




水野母の話では、彼女はムリをすると発熱するタイプらしい。

そういえば、寝不足で微熱を出していた。

そういう前歴を知っているのだから、もう少し気を配っていればよかったのに、大会前の練習に夢中で彼女をおろそかにしてしまった。

完治して復帰したら、コートの横に彼女専用の椅子を置こう。

ボール磨きも冷たい床に座らせないで、マットを敷いた上でさせよう。

体力が低いのであれば、一番最初のストレッチくらいは参加させて基礎体力をつけさせるのもいいかもしれない。


グルグル考えているうちに学校に到着し、体育館に入り、無意識にジャージに着替え、練習を終わらせた。



「かなめ、早くよくなるといいよね」

「少し女子にはハードだったか」


野々宮と大友がそんな話をしているところを見ると、無意識に水野の欠席の理由を言っていたようだ。





放課後。

携帯をチェックするとかなめからメールが入っていた。


「点滴で熱下がったよ。38度」



(38度?)


下がった、という体温なのか? まだ高熱のレベルだろう。



部活が終わり、帰宅途中に水野母から電話があった。


「今日は下がったり上がったりよ。今計ったら41度。解熱剤を飲ませたから少しは下がるはずだけど」

「あの・・・・・大丈夫なんでしょうか?」

「お医者さんが入院させずに返したんだから大丈夫よ。薬飲ませたら2.3度下がるんだから。

少しずつ菌を殺して熱が下がっていくもんだから、今晩はキツいだろうけど、明日はマシなはずよ。

あんまり気にしないでね」

「・・・・・・はい」

「ん~。森川くんはいい子ねぇ」



水野母の口調は穏やかだが、41度という体温に森川の肝が冷えた。

そんなに上がって後遺症はないのか?



その後、体温が下がったときだけ水野からメールが入り、夕方になると水野母から、1日の体温の経緯を知らせることになる。

2人から報告される体温の数値の差に「大丈夫なのか?」と幾度となく思った森川だったが、4日目になると、2人からの体温の数値が狭まってきた。

6日目には36.4度~37.2度となり、「ムリは出来ないけど明日の緒戦には行ける」との連絡が入った。




「よかったな」

「この一週間、お前おかしかったもんね」

「・・・・・・そうだったか?」

「うん。お前と会話して、ちゃんと返事もらえたの一週間ぶりだよ」

「それだけ水野が心配だったってことだろう」


野々宮と大友にヤジられ、森川の不安な一週間はようやく過ぎた。




体温の変異は今年のげんたろうの夏をベースにしました。超ツラカッタヨ!


森川は表情はいつも通りだけど、心配でたまらなかったのです。

今後ちょっと過保護になるかも?



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