車酔いの少女12 ~ホットライン~
昨晩更新したつもりでしたが、最終決定ボタンを押し忘れ・・・。データ紛失しました。
「一週間、頼むな」
水野はしっかりしているから、先生安心だよー。
かなめはバスケ部の顧問である森(社会科教師)から、部活用の携帯電話を預かった。
紺色のそれは、全国2連覇を目指す強豪、緑川中学校バスケ部への唯一のホットラインである。
県大会も近づく中、練習に余念が無いレギュラー陣に預けるよりも、入部間も無いながらも、しっかりもののマネージャーに預けよう。
そう顧問が思ってもおかしくないほど、かなめはバスケ部に溶け込んでいた。
鳴るなら放課後。
顧問が言ったとおり、朝練のときに預かった携帯電話は午前中、昼休みと沈黙を守った。
かなめは着信メロディが何かも分からないので、バッグの中のそれがとても気になったが、授業はいつもの通り『ものすごく』真剣に受け、先生に叱られることはなかった。
(一体誰から掛かってくるんだろう?)
他の学校のバスケ関連の人からだろう。
それは、顧問の先生? それともバスケ部員? どんな内容で?
掛かってきたら敬語使って「緑川中学バスケ部のマネージャーの水野です」って言えばいいよね、とかなめは思い、携帯電話を気にするのをやめた。
そして放課後。
かなめが倉庫の中で、ボールの空気点検をしているときに、第一報が鳴った。
(来た!)
「はい。緑川中学バスケ部のマネージャーの水野です」
かなめは脳内トレーニング通りに名乗った。
「・・・・・・三田中の部長の笹木です」
(みたみたみた・・・三田! 昨年ベスト4の学校!)
「初めまして。今日より一週間顧問の森先生が研修のため、携帯を預かっています。内容をお伺いして対応させていただきますが?」
かなめはメモをとるために倉庫を出て、部員の練習する体育館の隅に置いているスコアブックのところまで歩きながら話した。
パス練習をしていた部長の野々宮、副部長の大友、そして森川がかなめが電話をしていることに気付いて、こちらを向いた。
かなめは、ホワイトボードに「三田中のササキ君」と3人に向けたメッセージを残す。
そして、そのままそこに彼の言うことを書き記していった。
『24日、午後 練習試合、緑川中で」
森川が近寄り、スケジュール帳をパラパラと捲る。野々宮に向って頷くと、野々宮が両手で○を作った。
「はい。大丈夫です。・・・では、いつもの通りですね。・・・・・・野々宮部長には? ・・・・・・・はい、分かりました。・・・・・こちらこそお願いします」
プツ。
かなめはは~っとため息をついた。
「森先生から預かったのか?」
「うん。レギュラーは急がしいだろうからって」
「そうだな。携帯持ってバスケをするわけにもいかないからな」
「そだね。・・・24日の午後から三田中と練習試合なんだね」
「ああ。県大会も近づいたし、試合の申込みも増えるだろうな。あとで受付可な学校を教えておくから、後の学校は断ってくれ」
断る・・・。ノーとは言えない日本人というが、かなめも『断り』が苦手なタイプだ。
が、全ての学校からの申込みを受け入れていては、二連覇の妨げになることは判る。
イヤだけど、がんばろう。とかなめは思った。
「・・・・・・・・・・・俺が断ってもいいが」
「ううん。私がやる」
かなめがハッキリ言うと、森川がかなめの頭をなでた。
森川が見下ろし、かなめが見上げる。
身長差は25センチ。だが、そうすれば視線が合う。
「「・・・・・・・・」」
「ヒューヒュー! 見つめあってんじゃないよ!(怒)」
3秒ほど視線が絡んだが、野々宮のチャチャで、2人の視線は野々宮に移った。
「付き合っているんだから、撫でたり、見つめ合うくらい、いいだろうが」
「TPOを考えてくださいー」
「考えているぞ」
「大友ー。なんか森川がいやらしいんですけどー!」
「なんで俺に振る! それにどこがいやらしいんだっ」
「時と場所によっては、撫でるだけじゃすまない発言をしましたー」
これに、大友とかなめが赤面した。
野々宮はカンが鋭いな、と森川は内心思った。
外野がいなければ、多分もう少しスキンシップしただろうと、自分でも思ったからだ。
じわじわ他校生も増やします。収集はつくのか、私。




