車酔いの少女9 ~トモダチのカノジョ 野々宮視点~
野々宮視点がものすごく書きやすくてビックリした。
マネージャーとして有能。
からかって楽しい。
そんな水野かなめと、我がバスケ部一女子に興味なさそうな顔をした森川秀司が付き合っていると知ったときは「涼しい顔してこのやろう!」と思った(笑
特に女子と付き合いたいと思ったことはないけれど、先を越されるとなんだか悔しいもんだよね?
それも、俺以上に「女子に興味ありません。今夢中なのはソートアルゴリズムです」、とか言いそうな理系っぽい森川だよ?
理系っぽいけど、森川は文系にも強いし、全国レベルのバスケ部のレギュラーをしているくらい運動神経もいい。
顔も俺ほどじゃないけど、いい。
それで、カノジョ持ちとか、ちょっとムカつくよね? 俺だけがそう思うわけじゃないと思うんだけど!
なにその完璧人間、みたいな。
もちろん、俺だって作ろうと思えば彼女なんて直ぐに出来る自信があるけど、登下校を一緒にしたり、メールのやりとりを何回もしたいほど好きな子はいない。
でも、森川にはいる。それもなんか悔しい。置いていかれた、ってカンジかな。悔しいから誰にも言わないけどね。
かなめは『なんでこんな子を女子マネに推薦するんだろう、森川は・・・』って最初思った。
とにかく、人見知りすぎる。
大友に手渡すスコアがプルプル震えているのを見たときは「そんなに、大友が怖いのか」って内心爆笑したよ。
が、慣れてくるとプルプルもなくなり、逆につまらなくなった。
構ってみたら、予想以上に楽しい子だった。ちょっとオドオドしているけど、頭の回転は速いし卑屈でもない。
男馴れしていないところが、なんだか楽しかったのに・・・!!
その時点で森川と付き合ってたって、サギじゃない!?
俺の予想では手を繋いでいるかも怪しい2人だけど、それぞれ親には紹介済みだという。それって順番おかしいって思うんだけど。
大友も『?』みたいな顔をしてたくらいだよ?
この間部室に2人きりで閉じこもっていたから(野々宮主観。あくまで偶然)、なんかイヤラシイことしてないかなーとドア越しに盗み聞きしていたんだけどさ。
「水野。・・・俺はなんだか無性に感動したいんだが」
「泣かせの浅田とかはどうかな?」
「ブラックユーモア系しか読んだことがない。・・・泣けるか?」
「『壬生義士伝』とか『シエラザード』はかなりクルと思うよ」
「・・・・・・・・読んでみる」
おいおいおいおい!!
なんの話かと思ったら、本の話か!
しかも感動系?
『感動する森川』とか『泣く森川』とか見たことないよ! その本読むとき一緒させてくれよ! 見たいから!
これがお付き合いしている男女の会話かよ!って思ったけど・・・。
考えてみたらそういう話は俺達の間で出たことは無い。
いや、出ても困るけど『俺は無性に感動したい気分なので、感動する本を教えてくれ』って言われてもなぁ。
ようするに、この微妙な会話が、この2人のスタンスなんだろう。
しかし『水野、あの本良かったぞ。泣けた』って報告するんだろうか、森川は・・・。
うーん、その場面、是非立ち会いたい。
すごくローテンションな2人なのに、ものすごく楽しいのは何でだろうね?
俺はこれからも2人に付きまとうつもり満々だよ!
いやー『壬生義士伝』ではボタボタ泣きましたよ! ってことで、本のチョイスは私の実話です。『シエラザード』はじんわりキました。
ブラックユーモア系は『ハッピーリタイアメント』あたりで。