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車酔いの少女  作者: げんたろう
中学生編
1/28

車酔いの少女1

初投稿です。宜しくお願いします。

毎朝同じバスにのる女子生徒がいる。


調査したところ、水野かなめ 中3 E組。


彼女は毎朝ブックカバーをかけた本を読みながらバスに揺られ、バスから降りるとフラフラと校舎に入る。

E組の前を通ると、親しい友人と話し込んでいる彼女をたまに見ることが出来るが、本を読む姿はバスでしか見ることができない。





そんな水野とは3年になって同じクラスになった。


毎朝バスで逢うのはいままで通り。

だが、彼女は俺に気づかない。バスの中での彼女の視線はいつだって本だ。

バスから降りるとフラフラと校舎に入るのもいつもの通り。存在感がないとは言えないと思うのだが、いつまでたっても俺に気づかない。



4月のある日。

日直だった俺は、いつものバスから降りたあと部室ではなく教室へ向かった。

同じバスに乗っていた水野も教室に向かうものと思っていたのだが・・・彼女は反対側の棟にフラフラと

向かっていく。


日直の仕事をこなしていくと、ちらほらとクラスメイトも通学してきた。

水野の姿は、ない。

そしてホームルーム直前に「おはよ~」と言いながら水野がクラスに入ってきた。


「おはよ。なに?またギリギリ?」

「おふとん、気持ちよすぎるんだもん」

「あははー。気持ちはわかるけどねー」


などとクラスメイトといい交わしながら着席する水野。


おかしい。


毎日ギリギリなはずがない。早朝、始発のバスで彼女は学校に来ているのだ。

ホームルームが始まるまでの1時間と少し。一体何をしている?



俺は翌日、彼女を尾行することにした。



始発のバスに乗り込むと、相変わらずブックカバーをつけた本を読む水野。

ハードカバーに布製のブックカバーとは珍しいな。


バスから降りると相変わらずフラフラと校舎に入り、やはり逆の棟に向かっている。


行先は・・・。



「ずみばせん、休ませて・・・くだざい」


「またなの、水野さん」


呆れ顔で言ったのは校医。


「バスで本を読まなきゃいいのに」

「だって、ヒマなんですもん・・・」

「酔ってりゃ世話ないわよ。教室で読んだら?」

「なんででしょう、机だと読む気が起こらないんです。バスとかベッドとかなら・・・」

「まあ、気持ちは分かる気がするわ」



なるほど。



空白の一時間半は保健室で寝ころがりつつ、読書をしていたわけか。

フラフラしていたのは、車酔いが原因。



中々楽しませてもらったぞ、水野。



謎が解けて。


俺の水野への関心は消えたかと思ったのだが・・・。

バスに乗ればまず水野を探すし。

フラフラと校舎に入る水野を観ると、なんとなく笑みが浮かぶ。


さて、お前はいつ俺に気づくんだろうな?







男の子の名前が出ていないことに、チェックしていて気付きました。

次は多分、出ます。

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