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朝日が部屋に差し込むと、駿はその眩しさで目を覚ました。
(…あったまいてぇ…)
眠りが浅かったせいもあるのだろう。
妙に重い頭を抱えて、布団から起き上がる。
ふと、周囲を見渡す。
昨日いたはずの凌の姿がない事に気付くと、勢いよく身体を起した。
「凌?!」
バタバタと部屋や浴室などを見て回る。
しかし、その姿はどこにも見当たらなかった。
「どこ…行ったんだよっ」
思わず壁に拳をぶつけた時、携帯が鳴った。
慌てて取ると、そこには【八坂凌】の表示。
(なんで…まさか…)
嫌な予感がする。
恐る恐る携帯を開き、耳に当てた。
「も…もしもし…?」
『もしもし、俺だ。凌だ』
「し…のぐ!?」
携帯を持つ手が震える。
(なんでこいつが…)
『おい、聞いてるか?』
「あ…あぁ。聞いてる。…なんで、お前から…電話が?っていうか…どこに…」
『今から病院名を言うから、急いで来い』
「え…っ、っちょっと…待て!」
バタバタと何かの用紙の裏に、病院名と病室をメモる。
震えていて、文字が見難いが、そんなことはさほど問題じゃない。
それを握り締めると、言われたとおりに急いで病院まで向かった。