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異世界でも健康的ルーティンを!!〜健康生活を徹底していたら、いつの間にか世界が平和になっていた〜  作者: SSS


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第45話 女神の機嫌と血糖値管理はハードモード?


あれから数日。


シラユキは即座に糖質制限を解除し、トーフ帝国の町には再び活気が戻っていた。

以前の、どこか沈んだ空気が嘘のように、人々の声と笑顔が行き交っている。


――国は、人だ。


人に活力があれば、国は立ち直る。


白楼宮の前で、シラユキとユキナに見守られながら、俺は町を見渡した。


「何とかなりそうだな」

「はい。先代の頃の活気が戻ってきたように感じます」


そよ風に揺れる白銀の髪。

シラユキは柔らかな笑みを浮かべた。


「あなたのおかげで、私も母も救われました。感謝してもしきれません」

「俺は知識を少し貸しただけだ。成し遂げたのは、君たち自身だよ」


それに――


「今回は半分、俺のエゴでもある。やりたくてやっただけだ」


ユキナが小さく笑った。


「ふふ……あの時のセージさん、とても真剣でしたから」

「……忘れてくれ」

「忘れません。あなたの誠実さも、健康への姿勢も、人生との向き合い方も」


急にむず痒くなり、思わず空を仰ぐ。


「私、ギルドを創設しようと思います」

「急だな」

「シガリアにも、甘菓子姫にも負けていられませんから」


……本当に負けず嫌いだ。


だが、今の彼女なら問題ない。


「農業一本じゃ不安だしな。仕事が増えれば経済も回る」

「あら? ギルドとは、美味しくて珍しい食材を調達する機関では?」


…………。


完全にエクレールの影響だ。


だが、この国には案外ちょうどいいのかもしれない。


俺が笑うと、シラユキは首を傾げた。


「ユキナと、仲良くな」

「はい。一緒に暮らして、たくさん話します」

「それがいい。感謝も親孝行も、生きているうちにしておけ。伝えられなくなってから後悔しても遅い」


一瞬、シラユキの目が見開かれ――

やがて、静かに頷いた。


二人の体が、ほのかに光を帯びる。


「これは……?」


頭上に集まった光の粒が、溶けるように俺の中へと吸い込まれた。


温かい。


拳を握りしめた、その時――


……セラが、飛びついてこない。


視線を向けると、彼女はただ穏やかに微笑んでいた。


「フォロワーは譲ってあげる。今回は、あなたのもの」

「ああ。ありがとう」


……いや、元々俺のじゃなかったか?


「さて、そろそろ行くよ」


シラユキが手を差し出す。


「お元気で。いつでもいらしてください」

「GI値40だからな」


そこへ、セラがヌッと割り込んできた。


「その時は私も歓迎してね♪」

「その数値を半分に下げられたら、考えます」

「ベリーハードすぎない!?」

「セージさんの知識があれば、簡単でしょう?」


セラの涙が、クラッカーボールみたいにカチカチ鳴る。


「うぅ……しらたま、私にだけ厳しい……」

「しらたまって呼ばないで」


ピシャリ。


その瞬間、笑い声が弾けた。


「じゃあ、またな」


優しい笑い声と桜の香りに背を押され、俺たちはトーフ帝国を後にした。



――農道。


例の5歳児の地図を広げる。


落下地点はこの辺りか。


ここから北。

トーフ帝国とシガリアの、ほぼ中間。


この仕事が終わったら、久しぶりにシガリアを見て回るか。


「ねえねえ」


セラの顔が、視界に割り込んできた。


「今、A級女神セラ様の芸術的才能に惚れ惚れしてたでしょ?」

「一ミリも掠ってない」

「ひどっ」


「なあ、ボランティアしてみないか?」

「え、やだ」


即答か。


「わざわざそんなことしなくても、この私の徳はアクロポリス級に積み上がってるんだから!!」


判断に迷う例えだ。


「フォーリンが、ぜひって」

「……フォーリンが?」


背筋がピンと伸びるセラ。


「ど、どんな内容?」

「神界から落ちた備品の回収」

「あ〜……あの子、ズボラだからなぁ」


ズボラクイーンが言うな。


「鍵もある。エナドリらしいし、すぐ終わる」

「早くシガリア行きたかったのにな〜」


「奇遇だな。俺もだ」

「エクレールに“甘菓子姫”って言ってあげたいんだよね♪」


……理由が浅い。


そんな会話をしながら進むと、建物が見えてきた。


工場……?


自然の景観を壊す、異世界に似つかわしくない人工建築。

どこか昭和じみた、素朴な外観。


だが――静かすぎる。


稼働している気配がない。


そして、甘ったるい匂い。


「……こんなもの、よく建てたな」


セラが興味津々で駆け出す。


「誰もいないよ?」

「休みか?」

「あ、そっか! 週末だもんね!」


……この世界にも週末があるらしい。


それでも、嫌な予感は消えない。


ん?

ラベンダーの匂い……?


コツン。


足元に転がってきた瓶を拾い上げる。


――これは。


「わお!」


セラが瓶をひったくった。


「あれだけ捨てろって言ってたのに、セージも気に入ってるじゃん」

「違っ……」


言葉が詰まる。


思考が、うまく回らない。


なぜ――

リアクタンス・ノートの瓶が、ここにある?


陽光にかざし、無邪気に舞うセラ。


その姿が、なぜか――

ひどく、不気味に見えた。


ここまで読んで下さりありがとうございます!


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