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異世界でも健康的ルーティンを!!〜健康生活を徹底していたら、いつの間にか世界が平和になっていた〜  作者: SSS


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第39話 横文字の魔力と重なる面影


「何やら、取り込み中だったようだが」


そう声をかけると、

ユキナは少し恥ずかしそうに笑った。


「ああ、さっきの三人のことね。滋養強壮ドリンクの導入を勧められたのよ。丁重に、お断りしたわ」


……滋養強壮、ね。


いかにもそれっぽい言葉だが、

中身を考えれば怪しさしかない。


勝手な偏見で、

押しに弱そうな人だと思っていた。


だが――違う。


この人は、芯がある。


この世界の住人は、健康知識が乏しい者が多い。

それなのに、きちんと断ったという事実が、彼女の強さを物語っていた。


「どうして、断った?」

「あの飲み物……糖質が入っていたから」


即答だった。


「試飲もせずによく分かったな」


まさか、解析を――?


いや、異世界ではスキルを使えるのは転生者の特権みたいなものだ。

彼女も何か特別な力を持っているのか……。


「私に分かるのは、それくらいよ。娘のようには、いかないわ」


……娘。


そういえば、シラユキも糖質に対して異様な反応を示していた。


初対面で、いきなりGI値がどうとか言われたのを思い出す。


「もしかして……シラユキは、人の糖質量を可視化できるのか?」


ユキナは、ぱっと目を見開いた。


「まあ……驚いたわ。娘の能力を、そこまで正確に見抜いた人は初めてよ」


やはり、そうか。


「出会い頭に、GI値40だと言われた。GI値は血糖値の上昇速度を示す数値で、主に炭水化物――つまり糖質が関係している」


気づけば、少し熱が入っていた。


ユキナは、ぽかんと俺を見つめている。


……しまった。


「すまない。少し専門的すぎたな」

「いえ。お医者様でも、そこまで言い当てた方はいませんでした。GI値という言葉すら、知らない人がほとんどなのに」


まあ、神界の女神があの調子だ。

下手したら人間界にも劣るこの世界の健康知識は、正直かなり心許ない。


「何を言うのだ、セージくん! 君のおかげで私のウェルネスナレッジは爆上がりなのだ! 神界での健康神ポジションは確立したも同然なのだよ!」


横から、セラが胸を張る。


「意識高い系みたいに横文字を並べるな。そこは普通にヘルスリテラシーでいい」

「それも横文字じゃん」


……はっ!?


確かに。


「分かるよ。欧米文化って、それだけでオシャレだからね♪」


欧米かぶれめ……。

君と一緒にしないでほしい。


だが、腑に落ちない点がある。


糖質量を可視化できるなら、

摂取量を調整することは容易なはずだ。


それなのに――

シラユキの糖質に対する拒絶は、異常だった。


「糖質は過剰に摂りやすい成分。でも、体に必要なのも事実。彼女はどうしてあそこまで……」


ユキナは、胸に手を当て、静かに息をついた。


「国の経済が傾き始めた頃、まず削ったのは食費でした。小麦は安くて手に入りやすい。だから、主食はいつも――」


彼女は、淡々と語る。


「パン、パスタ、ピザ、ニョッキ……」


……イタリア率、高くないか?


「セージ。ユキナは真剣に話してるんだよ?」


横で、セラが手帳に何かを書き込んでいる。


ちらりと覗くと、

そこには大きく――


《パスタ安い》


「その手帳、しまいなさい」


……まったく。


「ここで話すのも何ですし、私の部屋へ参りましょう」


ユキナが、片腕で車椅子を動かそうとした瞬間――

体が、勝手に動いていた。


「あら、ありがとう。手慣れているのね」

「……似たような人を、介抱したことがある」


車椅子を押しながら、

華奢な肩と、さらりと揺れる白銀の髪を目にする。


姿は違う。

それでも、どうしても――重なる。


母さんと。


「その方は、きっと感謝していたのでしょうね」


ユキナが、振り返って微笑む。


「だって、あなたの手は……とても温かいもの」


その笑顔に、

心臓を掴まれたような痛みが走った。


「……感謝なんて。俺は、恨まれて当然だ」


忘れたい記憶が、

湧水のように浮かび上がる。


吐き気を堪え、

ただ、車椅子を押すことだけに意識を集中した。


「――着いたわ」


風が、頬を撫でる。


気づけば、外に出ていた。


振り返ると、

白い宮殿が静かに佇んでいる。


儚く、それでいて、揺るぎない威厳。


前を向くと、

宮殿とは対照的な、小さな白い建物があった。


「大したおもてなしはできないけれど……どうぞ」


ユキナの笑顔に導かれ、

俺はその扉を開いた。

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