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異世界でも健康的ルーティンを!!〜健康生活を徹底していたら、いつの間にか世界が平和になっていた〜  作者: SSS


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第36話 たかが色違い、されど色違い


生い茂る森の中。


踏みしめるたび、鼻腔をくすぐる青い草の匂い。

虫と鳥が奏でる自然の音色が、心地よく耳に届く。


深く息を吸い込むと、体の奥から細胞が入れ替わっていくような感覚があった。

思わず、自然に身を委ねてしまう。


「……あれから一週間か。そろそろ着くはずなんだが」


ジャンクゾール魔界域を発ち、東にあるトーフ帝国を目指して歩き続けている。

想像以上に距離があった。


普段から鍛えてはいるが、さすがに連日の徒歩移動は堪える。

まともな寝床も確保できず、睡眠の質も落ち気味だ。


――雨が降らなかっただけ、運が良かったか。


そんなことを考えていると、いつの間にか周囲が白く霞み始めた。

霧が濃くなり、視界が閉ざされていく。


やがて、真っ白な世界の中に――

車椅子に座る、女性の後ろ姿が浮かび上がった。


……母さん。


こちらを振り向こうとした、その瞬間。

胸の奥に、あの時の恐怖が込み上げてくる。


最近、こういう夢を見ることが増えた気がする。

死してなお健康を追い求める自分の中に、罪悪感が芽生えているのか……。


俺は目を強く閉じ、首を振った。


「……違う」


そのとき。


「セージーー!!」


聞き慣れた声が、霧の向こうから響いた。


恐る恐る目を開けると、

ピンクシルバーのウェーブヘアをなびかせた女神が、泣きながら俺の脚にしがみついていた。


「なによそのフォロワー数!! 異常すぎるでしょ!!」


……やっぱり、こうなるか。


「戻ってきて一言目がそれか」

「だってぇ!!」


セラは顔をぐしゃぐしゃにして叫ぶ。


「グラト一人で一千万! 三飽魔合わせて一千三十万!! 意味わかんない!!」


……一千万?


それ、人間界ならトップクラスの芸能人だろ。


魔王の影響力すごいな。


「グラトたちの信頼の形だ。それより――」

「なによぉ……」


俺は首をかしげた。


「どうして居場所が分かった? 気配は消してたはずだ」


魔王グラトに頼み、完全に気配を遮断していた。

それをあっさり特定されるとは。


セラはニヤリと笑い、胸を張る。


「ふっふっふ。女神の力を甘く見ないでくれるかな?」

「……まさか」


次の瞬間、彼女はペアラSSを俺の目の前に突き出した。


「このGPS――ゴッド・ポジショニング・システムのおかげよ!!」


……近代技術か。


しかも、名前が無駄に上手い。


「ほら、映像も見られるんだから」


画面に映し出されたのは、

湯船に浸かる、チョコレート色の巻き髪の女性。


「エクレールか。元気そうで何よりだ」

「見るなぁぁ!!」


突然、服の裾を掴まれ、激しく揺さぶられた。


「覗き魔主人公サイテー!!」

「見せたのは君だろ!?」

「恥ずかしがって目逸らすと思ったんだもん!!」


……理不尽。


「この程度で恥ずかしがる年でもない」

「付き合ったことないくせに?」


グサッ。


「……恋愛経験と人生の価値は無関係だ」

「顔、引きつってるよ?」

「気のせいだ」


咳払いして、話題を変える。


「とにかく、他人のプライベートを面白半分で覗くな」

「はーい……」


その頃には、霧はすっかり薄れていた。


「ほら! 着いたよ!!」


目の前に広がるのは、広大な畑。

背の低い青葉が、整然と列を成して続いている。


「そういえばね、トーフ帝国を治めるのは女の子なんだって。女の子で皇帝って、ちょっとカッコいいよね」


確かに。


最近じゃ歴史上の男性の女体化も珍しくないしな。


風に吹かれ、葉の間から白く丸い野菜が顔を覗かせた。


「あっ! ブロッコリーBだ!」

「……B?」


セラは勝ち誇ったように笑う。


「緑がA、白がB! 栄養も少ないし、神界では貧乏人の野菜って言われてるんだよ。滅亡寸前の国にぴったりだね」


なるほど。

言われ放題だな、トーフ帝国。


「貧乏人の野菜か。君にもピッタリだな」

「うっさいし!! いつか成り上がるし!!」


現在位置は受け入れるんだな。


「それは――」


俺は畑を見渡し、静かに告げた。


「カリフラワーだ」

「え?」


「ブロッコリーと同じ原点だが、別の野菜だ。熱に強いビタミンCを含み、調理の幅も広い」

「白米の代替にも使われる。味に主張がなく、料理を引き立てる――縁の下の力持ちだ」


セラの目が、みるみる丸くなる。


「……」

「だから」


俺は彼女を指差した。


「カリフラワーに謝れ」


一瞬の沈黙。


次の瞬間――


「すみませんでしたぁ!!」


セラは畑に向かって勢いよく土下座した。


「……何をしているのですか?」


か細い声。


振り返ると、

白装束に身を包んだ女性が立っていた。


白銀の長い髪。

儚く、今にも消えそうな佇まい。


「名乗るのが先でしたね」


彼女は微笑み、静かに告げる。


「私はシラユキ。

シラユキ=トーフ=ブランネージュ。

トーフ帝国十三代目皇帝です」


彼女の髪を連れていくように、そよ風が畑を渡って吹き抜けたーーー。

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