表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも健康的ルーティンを!!〜健康生活を徹底していたら、いつの間にか世界が平和になっていた〜  作者: SSS


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/41

第33話 飲み物の恐怖と消えた女神


「エナドリが……糖質だと?!」


魔王グラトの三つ目が、血走ったように俺を射抜いた。


正直、見た目の圧は相当だ。

だが――ここで引くわけにはいかない。


健康に関する誤解を、放置するなんて俺にはできない。


「グラト。君はどうしてエナドリをそこまで愛飲している?」


俺の問いに、魔王は誇らしげに胸を張った。


「我が愛する《ドーパミクサー》についてか? ならば語ろう。まず、この喉越しよ。しゅわしゅわとした刺激が喉を通るたび、次の一本へと手が伸びる。そして摂取後に得られる研ぎ澄まされた集中力――何より素晴らしいのは、飲料水である点だ」


なるほど。


「小麦などの炭水化物ではない。つまり糖質を気にせず飲める!」


……うん。

教科書に載せたいレベルの誤解だ。


「エナドリって、これのこと?」


グラトの背後から、リオナがひょいっと一本の缶を取り出した。


メタリックシルバーのロング缶。

ピンクの稲妻マークがやたら主張している。


いかにも欧米発、って感じのパンクなデザインだ。


「ちょっと貸してくれ」


裏面を見るが、成分表示はなし。


――ああ、そういう世界か。


このアスファレイアでは、表示義務がないらしい。

現実世界とほぼ同じ食品文化なら……中身はだいたい想像がつく。


俺は静かにスキルを発動した。


体組織成分解析(アナリシス)



名称:ドーパミクサー(Dopamixer)

分類:清涼飲料水/AFDA製 情動賦活エナジードリンク(SNS増幅)

主成分:アクティブレゾニン/フィードバック糖核液/マギア刺激素V/リプラフィン(微量)

効果:覚醒強化・集中上昇・SNS反応感度UP・短期万能感UP

副作用:依存促進(魔力量比例)



……はい、アウト。


「依存促進までご丁寧についてるな。しかもSNS反応感度UPのおまけ付きだ」


「な、なんだそれは……」


「ちなみにグラト。“清涼飲料水”って言葉、知ってるか?」


「我を舐めるな。強炭酸とケミカルな味で誤魔化した駄菓子の延長品だろう?」


「エナドリも、だいたい同じだ」


「なっ……?!」


顎が外れ、地面にめり込む。


さすが魔王、リアクションまで規格外だ。


「ば、馬鹿な! あの刺激と爽やかさ! 脳を直接揺さぶる感覚が紛い物だというのか?!」


「全部カモフラージュだ。覚醒作用がある分、下手すると普通の清涼飲料水より危険だぞ」


次の瞬間、禍々しい腕が俺の肩を掴んだ。


三つ目がさらに真っ赤に充血する。


「どこがいけない!? 一体どこがだ!」


「人工甘味料だ」


俺は解析結果をそのまま見せる。


「人工甘味料の甘さは、砂糖の数百倍。脳を直接バグらせる。そして液体は吸収が早い。固形物の約三倍とも言われてる」


「……」


「つまり、血糖値が一気に跳ね上がる」


魔王が、膝をついた。


「最近、魔力が不安定だった……動物の赤子動画を見ても疲れが抜けなかったのは……」


「過剰摂取だな」


「我が国の政を放置してまで動画を……それも、作られた衝動……」


自覚してるだけ、まだ救いがある。


「君は民の健康を考え、白米を推奨できる人だ。違和感を感じていたなら、無視しちゃいけなかった」


沈黙。


拳が、悔しそうに震えていた。


「……一ヶ月もすれば、飲みたいと思わなくなる」


しばらくして、グラトが顔を上げた。


「城へ来い。見せたいものがある」


嫌な予感がしたが、断る理由もない。



ギンジャーリ城の裏口から入ると、内部は想像以上に綺麗だった。


白い壁、赤い絨毯。

普通に王城だ。


やがて辿り着いたのは――


『宝物庫』


扉が開かれた瞬間、言葉を失った。


「……段ボール?」


部屋一面、エナドリの箱、箱、箱。


「これを全部、成分解析してほしい」


……うむ、察した。


結果は予想通りだった。


「全部、ドーパミクサーと同類だな」


グラトは箱を見つめ、静かに言った。


「……全部飲み終えてから捨ててもよいか?」


「ダメだ」


「即答っ?!」


重症だ。


「君は比較的健康リテラシーが高い。だからこそ、徹底する」


その時――


ゾネリオのベルトが不気味に点灯した。


「今、依存してるのグラト様だけですよ」


「てめぇが飲ませたんだろうが!!」


アヴルスの炎が燃え上がる。


「ほんと余計なことしかしないわね」


メルミナはリオナの頭を撫でている。


「というわけで」


俺は言った。


「HIITだ。エナドリ断ち込みでな」


魔王に向かい三飽魔が拳を合わせる。


「なぜ祈った?」


「これから起こることへの敬意です」


「む、むう…?」


HIIT前に祈りを捧げるとは素晴らしい改心だ。


「さて……」


ふと気づく。


「ん? セラは?」


いない。


そういえば、城に入ってから、声も聞いていない。


「地下に防音体育館がある。そこなら音を気にせず運動できる」


体育館完備の魔王城って何だ。


「じゃあ、まず先にこいつらの廃棄だな」


「なっ?!」


「退路を断った方が、パフォーマンスは上がる」


「お掃除お掃除〜♪」


リオナが箱の山へ突撃する。


「待て! 丁重に扱え!!」


まるで年末の大掃除だ。


……魔界も、案外普通だな。


そう思った瞬間、なぜか胸がざわついた。


消えたままの女神のことが、

どうしてか頭から離れなかった――。

ここまで読んで下さりありがとうございます!


皆様の応援が、何よりの励みになります!


少しでも面白い、続きが気になると思っていただけたら、ぜひブックマークをお願いします!(広告下の☆をタップで簡単に登録できます)


また、読み進める途中でも構いませんので評価をしていただけると大変嬉しいです!


これからも、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ