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異世界でも健康的ルーティンを!!〜健康生活を徹底していたら、いつの間にか世界が平和になっていた〜  作者: SSS


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第15話 蓋を開けたら意外と普通だった


大広間いっぱいに修行僧たちが並び、全員がこちらを凝視していた。

先頭に立つシル・ゼンは、いつもの無表情……だが、どこか期待と不安が混ざった目をしている。


「貫首、そろそろ霊薬を賜るお時間では……」

「急がないと集中力が……」

「ぐぅ……早く霊薬を……!」


広間は、依存症患者たちの待合室みたいな空気に包まれていた。


「で、どうすればこの症状が治るのだ?」


試すような視線を向けてくるシル・ゼン。

うん、たぶん全員をガッカリさせる回答になるだろうが……ここは逃げられん。


健康は、“気づき”からだ。


俺は軽く咳払いし、宣告した。


「その霊薬、全員いったん禁止。俺がいいと言うまで、一滴も飲むな」


直後、大広間に凍てついた沈黙——。


「な……なんだと?!」

「霊薬をやめる?! お前こそ何を血迷った!!」

「やめるくらいなら死を選ぶ!!」


いや死ぬな。


まあこの反応は想定内。

なにせ習慣を断つというのは、脳にとって一番ストレスだ。


だが今回の問題はもっと根深い。


——霊薬の正体だ。


「シル・ゼン。『魂融の(だく)』を持ってきてくれ」


「う、うむ……」


渡されたのは小ぶりな湯呑み。

黒い液体がゆらりと揺れている。鼻を近づけると、香ばしい深い香り。


……そして俺は、それを一気に飲み干した。


「ひ……一口で?!」

「第四の霊薬ぞ?! 身体がどうなるかも分からぬのに!」


ざわつく大広間をよそに、俺は静かに頷いた。


「うん。美味い。イタリアンローストの深煎りだな」


「い、いたり……? ろーすと……?」


ぽかんとする修行僧たち。


よし、言うか。


「これはコーヒー。神々の霊薬でも不老不死の妙薬でもない、ただの飲み物だ」


「「こーひー……?」」


「頭がスッキリして集中力が高まる。でも、摂りすぎると副作用がある。

——“カフェイン依存”というやつだ」


シル・ゼンが目を見開く。


「まさか……鍛錬に集中できず、疲れが取れぬと訴えていたのは……」


「全部それだ。刺激を求めすぎて、逆に回復できなくなってる」


「な、なんということだ……!」


場が揺れるほどの衝撃。


まあ霊薬なんて言って信仰レベルで飲んでりゃ、気付かんわな。


しかし問題はまだある。


「一応聞きたい。普段どんな生活してる?」


シル・ゼンは胸を張った。


「霊薬を賜るまで、ひたすら瞑想だ!!」


……嫌な予感。


「食事は?」


「少量の薬草のみ!!」


「睡眠は?」


「心身を鎮めれば睡眠など不要!!」


——こいつら、よく生きてたな?


修行僧全員、不健康の三重奏みたいな生活をしておる。


「霊薬禁止は前提として、それ以前に生活習慣の改善が必要だ」


「な……我々の高い健康生活を崩し、内部から瓦解させるつもりか?!」


いや瓦解させてるのはお前ら自身だよ。


そこへ若い修行僧が飛び出してきた。

まだ幼い顔立ちだが、目の下のクマが攻撃力高め。


「いきなり来て何言ってんだよ! そんな簡単に信じるわけないだろ!」


「君、何歳?」


「じゅ、14……だけど?」


14歳でその顔色は、さすがに見ててツラい。


俺は静かに言った。


「俺、何歳に見える?」


「え……25くらい……?」


「残念。40だ」


直後、大広間が爆発した。


「嘘だろ?! その体で?!」

「どうやったらそんな若々しく……!?」


まあ現実でもよく言われてた反応だ。


「俺の言う通りにすれば、君たちの身体は必ず整う。元に戻れる」


「し、しかし今からでは遅いのでは……」


「健康に“遅すぎる”は存在しない。気づいたその瞬間がスタートだ」


その言葉に、皆の瞳にじんわり光が戻る。


よし、ここが勝負所だ。


「わ、分かった……!! お主を信じ——ゴホッゴホッ……!」


また倒れかけた。


狙ってる? これ狙ってるよな?


「というわけで、これからしばらく辛い期間に入る。だが俺の言う通りにすれば、全員若返る」


「い……いったいどんな方法で……?」


俺は腕を組み、静かに言い放つ。


「やれば分かる」


——決まった。


「オッサンのくせに器ちっさ〜い」


……なぜこのタイミングで出てくる?


振り返ると、セラが頭をボリボリ掻きながらあくびしていた。


君、1話丸々寝てただろ。


「その余裕、今のうちに楽しんでおけよ」


「え? な、なにその嫌な予感しかしない言い方……」


俺はビシッと指差した。


「楽しい楽しいお遊戯の時間だよ、女神様」


「ひっ……?! じょ、冗談だよね!? ね!?」


「安心しろ。君には“特別メニュー”を用意してある」


顔面蒼白。


「むりむりむりむり!! ぜっっったいむりーー!!」


逃げようとしたところをガシッと捕獲。


「さあ、最高の生活改善ルーティンの始まりだ」


「いーーーーーやーーーーーーー!!!!」


……やっぱりこの工程がいちばん楽しい。


「それじゃあ皆、準備ができたら広場へ集合な!」


こうして、ヒロインのくせに出番をサボっていたセラを引きずり、

俺はひと足先に広場へ向かったのだった——。

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