あの子はどこに?
それから、その子の家に行ってみたんだけど、ノックをしても返事がなかったんだ。
(あれ?お出かけしてるのかな~…)
そしたら近くに住んでる子が来て、
「あ、その家の天使なら、少し前まで昼寝してた神様に連れていかれたよ?」
って教えてくれたの。
「え、ほんとに!?」
「うん、確か2番隊本部って言ってた気が…」
「そうなんだ、ありがと~!」
(待っててね…!)
2番隊の本部に向かってるあいだも、みんなはあの子の話ばっかりしてたの。
「見た?例の”サボり魔”、さっき神様に連れてかれてたよ」
「ついにあいつも年貢の納め時かね…」
「サボるだけならまだしも、今回のは流石になぁ」
(ちがう!あの子はやってない!)
みんなに教えてあげたかったけど、早くあの子を助けたくて、走るスピードをあげたんだ。
やっと2番隊の本部の前について、中に2柱の姿が見えた。
(あの子と2番隊の神さまだ!)
でも、中に入ろうとしたときに、
「逃げられると思うたか!?」
その声といっしょに、入り口が魔法でふさがれちゃったの。
中のあの子は魔法で動けなくされちゃってた。
(はやく、助けてあげないと…!)
でも神さまが魔法をかけた入り口はあかなくて、中に入れなくて。
神さまがあの子の頭をつかんで、まわりがぼんやりと光った。
あの子はすごく苦しそうにしてた。
(あ…あの光、見たことある…)
昔、神さまがわるいことをした子の天使の力をとり上げてたときの、あの光。
その時、私はカッとなって目の前がまっくらになった。
(ゆるせない…なにもしてない子から力をとり上げちゃうなんて!)
私は知らないあいだに力を使ってて、目の前の魔法をにぎった手でこわしたの。
「な、何事じゃ!?」
それから、2柱のまんなかに入って魔法を出しそうな神さまの手を押しもどしたんだ。
そして、ふるえてる声をおちつかせながら、私は神さまに言ったの。
「神さま、聞いてください。さっき、別の子が犯人としてつかまえられました」