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「ん…、もう終わり」
波のように、毛布やシーツがしわになっているベッドの上。すっかりくしゃくしゃになったシーツに包まりながら、麻がぼそりと呟いた。その動作に、耀は再び抱き寄せ、軽いキスを落とした。
「……だから、ダメだってば。それよりさ、私の話、聞いてよ」
「何? もうダークな身の上話は飽きましたよ」
耀が肩をすくめると、麻はずきずきと重い痛みを訴える腰を、寝転んだまま擦った。
「いいでしょ、別に」
「ま、いいか」
耀の言葉に、麻はさっと起き上がり、白いシーツを体に巻きつけた。
「……んー、なんか萎える。やっぱりいいや」
「何ですか、それ」
急にぐったりと脚を投げ出した麻を見やり、耀はくるりと麻の方を向いた。
「ねえ、耀。名前を呼んで」
「はい?」
「だから。名前を呼んで?」
麻の言葉に、耀は微笑んだ。細い手首を取り、茶色がかかった髪をそっと撫でる。
「あさ」
すると彼女は安心したように鼻を鳴らした。耀はにやりと笑う。
「バカじゃないんですか。憎んでるくせに」
恐怖を感じていた。憎まれごとでも言わなければ、この綺麗な女に本気で惚れてしまいそうで。そんな気持ちを押し殺しながら、耀は眠ったふりをする麻の髪を撫で続けるのだった。