雪がつもったよ!
「雪だ!」
朝起きると、お庭はいちめん真っ白な雪におおわれていた。ぼくは力いっぱいジャンプして、雪にもふっとうもれたんだ。
「ケンちゃん、今日も早起きねぇ…って、うわぁ、雪がつもってるじゃない」
ユキねぇがげんなりして、窓ごしにぼくのことを見る。ユキねぇ、「ユキ」って名前なのに、冬も雪も大きらいなんだった。
「見て見て! ほら、いっぱい足あとつけられるよ!」
ぼくはわざとはしゃいでみる。こんなに楽しい雪遊び、ユキねぇといっしょに遊びたいもん。でも、ユキねぇはやっぱりイヤだったみたい。
「ケンちゃんはやっぱり子どもね。あたしはそんな寒いとこで遊ぶよりも、おコタでぬくぬくしてたほうがよっぽどいいわ」
そういってユキねぇ、コタツにもぐりこんじゃった。ちぇっ、つまんないの。お庭もぼくの足あとでいっぱいになったし、もっと冒険したいなぁ。
「ちょ、ちょっと! やだってば、あたしはおコタがいいの! 外になんて出たくないんだから」
あれ、ユキねぇの声だ。あ、ミサトさんが、ユキねぇをだっこしてる。ユキねぇが、すごい寒そうに丸まっちゃってるよ。
「ほら、ユキちゃん見てごらん、いちめん真っ白よ。ユキちゃんの毛並みみたいね」
「あたしのほうが何倍も真っ白よ! いっしょにしないでほしいわ」
ユキねぇ怒ってるけど、ミサトさんには「にゃ〜」としか聞こえないんだよね。
「わかったわかった。寒いんでしょ、すぐにおうちに戻してあげるから」
あっ、ユキねぇ戻っちゃう。ねぇ、もっと遊ぼうよ!
「ケンちゃんは、あとでいっしょにおさんぽ行こうね。うちの庭じゃせますぎるみたいだし」
ユキねぇがぼくの足あとを見てから言った。やったぁ! 雪の中でおさんぽできるぞ! ぼくはめいっぱいしっぽをふって喜びを爆発させた。さぁ、冒険の始まりだ!