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お星さまにお願い  作者: 宮守 美妃
1/5

子犬

児童向けを目指してみました。

 

大好(だいす)きだったお父さんが天国へ旅だってしまった。わたしは(かな)しくて(さみ)しくて、お星さまにお(ねが)いをした。


「どうか、お願いします。お母さんを助けてください。お父さんに会わせてください」


 お母さんはお(うち)のために朝から夜(おそ)くまで仕事をしている。お母さんだって悲しいのに、お母さんはいつだって(わら)っている。


 わたしの背負っている6年の重みが詰まったランドセルは所々汚れてきている。まだお母さんのためにできることは少ない。




 わたしは学校帰りの道の雨の中を、傘をさして歩く。ポニーテールの髪が歩くたびに揺れる。


「今日は夕方雨が降るでしょう」

 天気予報(てんきよほう)のお姉さんがテレビの画面の中で言っていた。その通りになった。


「キャン!」


 いつからいたのか分からない。分からないけど、子犬が後ろから付いてくる。


「柴犬?」


 子犬はプルプル(ふる)えながら歩いていた。


「どうしよう……家に連れていっても良いのかな?」


 わたしは子犬を抱き上げて少しだけ考える。

――ダメって言われるかな? だけど、こんな寒い中置いて帰れない。よし、連れて帰ろう!



 お母さんはトラックの運転手さんをしている。  

 いつも忙しそうでとても大変そう。だから、家の近くに住んでいるお姉さんが、よく家にきてくれる。

 でも、今日はこない。お仕事忙しいのかな?


 わたしは2階建ての家の中へ犬をつれていき、お風呂にも入れてあげる。お父さんが建ててくれた庭の付いてるお(うち)。これで少しはキレイになったはず。


 

 夜7時になって、わたしはレンジでお母さんの作り置きしてくれた料理を温めた。お母さんのいない時に火は使わないでと言われている。玄関のドアが開く音がしてちょうどお母さんが帰ってきた。


「おかえりなさい!」

 わたしが玄関まで走って行くと、犬も(うし)ろを付いてくる。お母さんはわたしたちを見ると、(おどろ)いたような顔をした。


「ちょっと……待って。何で犬がいるの?」


 お母さんは(ひたい)に手を当てている。これはお母さんが困った時にする(くせ)だ。お母さんのストレートの長い髪がサラサラと動く。


「ごめんなさい……雨の中付いてきて可哀(かわい)そうだったから……」


 お母さんはため息をつく。


若菜(わかな)……(うち)じゃ、飼えないわ」


「勉強がんばるから……ちゃんとお世話もするから、お願い!」


「……約束できる?」


 お母さんはわたしの目を見てたずねてきた。


「うん!」


「ちゃんと面倒(めんどう)みてあげてね」


「うん、分かった!」

お読みいただきありがとうございます。

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