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いまからの帰還

作者: アシカ


還ってきた、還ってきたよ。


スポーツのヒーロー、ビジネスのヒーロー、勉強のヒーロー。


義務でしなければいけないことはないんだよ。


いまのきみのようにね。


土とともに呼吸し、鳥とともに謳うんだ。


わづかの仕事を泣き笑い 体で遊びどんどん学べ。


千年は超える木のように地に根付き天に向かいどこまでも伸びる。


みるみる伸びるんだよ。


いまこそ育てよ人類よ。


いまこそ育てよ人間よ。


それがこれからの学問で いま生きることだよ。



ワタシは天のかあさんになるんだよ。


まずはかあさんのお手伝い。


雨の日は天の泉から井戸もうるおい のどをうるおす。


ぷるぷる果実にみずみず野菜のお手伝い。


晴れの日はお天道さまから きらめく源 成長の源。


きらきら果実にさんさん野菜のお手伝い。


恵み恵まれおかあさん。


手を合わせ きょうも美味しくいただきます。


生きる力が體にみなぎり満ち溢れ


もっとお手伝い



むかし昔のその昔


夏の暑さに枯れるなか


サバンナのような庭に草木がひっそりとあるところでした。


お妃さまは縁側のある窓辺に座り、藁で織りをしていました。


張りで指をさしてしまい、庭の草木に3滴・6滴・9滴と血がにじみみるみる庭の植物が成長しました。


美しく感じたお妃さま植物に向かって呟きました。


「砂漠のような土色と、血の中にある水分のように碧々と、藁のような帽子の子供がほしい」


すると、お妃さまはひとりの小さな彦を授かりました。


土色の肌に、水分の碧々の服を纏い、血が混じった藁でできた赤い帽子を被った子供でした。


その子供を小人彦と名付けられました。


そしてその子が生まれるとお妃さまはなくなりました。


小人彦は、肋骨から3・6・9人と小人を生み永遠に生命が宿っていきました。


小人星と名付けられました。


永遠の時を経てお妃さまと小人彦もまた再開を果たしました。


夜空を見上げて、土色と蒼色と赤色が列なっていたら小人星かもしれません。



ひしめきあ漆黒の渦よ


叫べば叫ぶほどうめきが跳ね返る


ワタシはうめきに呑まれ渦に目を廻す


渦の成り行き先はどこへ向かうのか


ものけの殻のように塵となって朽ちていくのだろうか


肋骨がきしむ


差し上げ犯した罪科や災いから逃れようとする


まずは左目を差し上げよう


次に、右目と二度と見たくない漆黒がさらに風となり嵐となる


人身御供 人柱


前も見えず、嵐で足も進まぬ


掟を破り何かを学び、平穏を欲しに欲し、忘れ去ってしまった



羊たちよ


びくびくして動けぬ 羊たちよ


羊であることすらも 忘れてしまった羊たちよ


羊飼いを目視せよ


暴君による羊飼いの目に映る虚しさを目視せよ


檻から出ようとするものは強く罰せられ


恐怖でくくりつける


痛み苦しみもがけ


もがき続けろ


お前らに存在理由などいらないのだ


羊であることすら忘れてしまった



羊が羊の仕事をしなくなり


地球も当然荒れ果てて


フンもしなければ


雑草もなくなった


枯れ果てた砂漠の中にいるだけだ


循環が止まりかけ


時間がとり


空間が固まった


微動だにしない世界がはじまった


想像するのだ


金属は壊れにくい


微動だにしない金属の世界なのだ


羊として仕事をしなくなれば、心が固まり金属のようになる


人間として仕事をしなければ、心が固まり金属のようになる


心が固まれば、地球が固まり金属になるのだ


狼を恐れ安全な領域を逃げ回る羊たちよ


群れをなす憐れな羊たちよ


おまえは狼にもなれれば、鳥にもなれるのだ


人間は万物の霊長なのだ


どの性質にもなれるのだ


いまからなれるのだ


時間と空間にあまりにも制約されすぎるな


少しの毒を許容すれば、数代目には毒を克服できるのだ


毒が毒でなくなるのだ


いまから少しでも恐怖という毒を食べ続けるのだ


恐怖は毒でないのだから



年老いた羊が言った「恐怖を飲むと死んでしまう。私はそれだけの肉体を持ち合わせていないのだ」


なんとも肉体に囚われた手前勝手な羊の戯言だ。


年老いた羊が死んでも、時間と空間に微々たる影響しかないというのに。


朽ちては果て、違う動物の一員になり、また羊の形になる。


何度も違う形をとり、巡り巡って廻っていまを生きていく。


「恐怖を飲み込み死んでしまえばいいのだ」


これほど称賛されることはない。


若者の勇者の声に聞こえるかも知れないが、生きるとし生きけるものの循環であるのだ。


「忘れるな。恐怖を鵜呑みにできないやつは恐怖をリアルに味わう」


恐怖と向き合う視線をもっているからだ。


恐怖と向き合ったやつは、恐怖の理解をしているから恐怖はなくなるのだ。


感情こそいまを生ける大きな指標なのだ



羊に群がるハエはこういった。


「恐怖や感情?そんなものすらないではないか」


ハエからしてみれば、恐怖も感情もどうでもいいのだ。


いまを生きる者たちは、恐怖も感情もどうでもいいようだ。


餌にありつけ何も考えず循環させている。


変に利口ぶった奴らが、迷走するのだ。


ぐるぐる廻ってしまった。恐怖も感情の分岐点もどうにでも良くなる。


すべては描かれている通りになるからだ。


いつかのワタシとアナタが一つになるだろう。


雄と雌以上の関係になるのだ。


ハエはベルゼバブになった。


人類はいまなにになったのだ。



いまこそ育てよ人類よ


いまこそ育てよ人間よ


ヒーローは、誰かの幻想のヒーローだ。


しかし、いままで視てきたヒーローとはわけが違う。


ヒーローに出会い、母さんにも出会い、小人に出会い、掟破りの人間に出会い、羊飼いに出会い、群がる羊に出会い、老人の羊に出会い、ハエに出会ったのだ。


これからの学問すらなかったのだ。


いまも育った人類よ


いまも育った人間よ


言葉で表せない出会いで人間は溶け込んだのだ。


世にこれを神や仏、宇宙聖人と呼ぶ。


神は死にながら生きているのだ。


10


神?仏?宇宙聖人?


そんなものはすら分からない。


誰が名前をつけたのだろう。


ワタシと思ってだけのワタシなのか。


ワタシの息はワタシなのか。


すべてはワタシであり、すべてがワタシである。


有るようで無いような世界が訪れた。


ただ平穏が永遠に続き流れている。


型にはまらない無償の愛なのだ。


無償の愛というよりも無風の愛なのだ。


無風の愛もおかしい。空であり無であり「◯」でありすべてでありすべてでない。


言葉もいらないのだ。


いまを生ける人類よ。


少しでもいいから「いま」に耳を傾けよ。


人類と神の差が取れるのだ。

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