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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

壊れた僕と親友で相棒なラジオ(ホラー)

 肉【4】

作者: 柴犬

 其れはある日のことだ。

 親友にして相棒のラジオと出かけている時の事。

 僕はとある精肉店に立ち寄っていた。


「らっしゃいっ!らっしゃいっ! 今日は大安売りだよっ!」

「いやああああっ! 安いっ!」

「お惣菜も安いっ!」

「でも此れ外国産かな?」

「いいじゃないっ! 安いし」

 

 凄い行列だ。

 破格と言ってもいい。

 行列の長さが百人を超えてると思う。

 まあ~~興味ないけど。

 というか通り過ぎようとしていたのだが……。

 ふと僕は立ち止まる。


「そういえば精肉店……珍しいね~~」

『最近はスーパーでも売られてるしな肉』

「昔と違い国産の高い肉ではなく外国産を売ってるからね」

『いや……お前何歳だよ』

「十三歳で中学1年生だけど? 知ってるやろ」

『童顔の五十代というオチは?』

「そうなると同い年の相棒も同じに成るけど?」

『良し永遠の十三歳で良いだろう』

「うん確かに女子に其れはキツイわな」

『なあ~~後でシバいて良い?』

「御免親しき仲にも礼儀ありだね」


 親友の機嫌がヤバいことに成りそうななので僕は謝罪した。

 色々微妙な年頃である。

 女子は特に。

 今はラジオだけど。

 それはそうと店の中をチラリと覗いた。

 


「其れはそうと此の店安くない?」

『そうさな~~うん?』

「どうしたの?」

『此れは原価割れしてないか?』

「そうなの?」

『ああ~~中学生だと分からないか』

「同い年だろう」

『原価割れというのは販売価格や卸売価格が商品の製造に要した費用を下回ることだ』

「ゑ? 其れは原価よりも安い価格で売ってるということだよね?」

『正直売れば売るほど赤字だ』

「ほうほう~~帰るか」

『アレ? 食いつかない?』

「何でさ?」

『いや普通こんな謎が有ったら食いつくだろう?』

「興味ない」

『え~~つまんない』

「精肉店に何を求めろと?」

『ごもっとも』


 そう言いながら僕は家に帰った。

 うん。

 正直暇なんで新聞を読んでいた。

 そうすると妙なことが書いて有った。

 

「現代に蘇る神隠しホームレス次々と失踪?」

『多いな~~最近』

「今更な」

『都市伝説が活発化してるんだし普通だろう』

「おい」

『どうした?』

「其れ初耳何だけど?」

『理解してると思ってた』

「何でさ」

『普通頻繁にお前さんが都市伝説に遭遇するわけ無いだろう?』

 

 説得力有る言葉だ。

 ぐうの音も出ない。


都市伝説其(・・・・・)の物の私が引(・・・・・・)き寄せている(・・・・・・)にしても異常と思わない?』

「そうやね」

『いや私結構重要な事話したんだけど……』

「そう? でも親友だろう」

『私のせいで君を危ない目に合わせてるんだけど……』

「体質みたいなもんやろう其れ?」

『まあ~~』

「別に気にしないし親友だし」

『……』



 照れてる。

 照れてる。


『其れで此のホームレスの神隠し何だが多分都市伝説と関係してるけど……』

「見に行く」

『即決か~~』

「面白そうだし見に行く」

『なら準備をしないとね』

「準備?」

























 深夜。

 

 とある公園での事。

 ゴソゴソと段ボールハウスからホームレスが出てくる。

 数多くいる落ちぶれた人生を送った者の一人だ。

 不況で仕事を失った者。

 家族の暴力に耐えられず逃げ出した者。

 痴情の縺れ。

 或いは多額の借金を背負った者。

 そういった者が住む場所を失い公園などの公許施設を不法に占拠。

 無断で住み着いていた。

 地方では殆ど見られないが都市部では多く見られる。

 此処の人たちもそんな境遇の人達だ。


「ん~~」


 ビニール袋を手に持ち歩き出す。

 恐らく缶集めをする気だろう。

 数少ない現金収入の手段の一つだ。


「ふ~~」


 停車しているバンの横を歩きポケットからライターと煙草の箱を取り出す。

 煙草の箱の中からシケモクを取り出し火を付けようとした時。

 停車していたバンから男が三人出てくる。

 其のホームレスを三人の男たちが取り囲む。

 突然の成り行きに戸惑うホームレス。

 ホームレスの背後にいた男が布に付いた何かを鼻に当て吸い込ませる。


「ぐうううう~~」


 暴れるとホームレスを抑えつける残り二人。

 グッタリとしたホームレス。

 そのまま大きな袋をホームレスに被せバンに乗せた。

 そのまま発進。




 暫くして屠畜場に到着。

 バンの中からホームレスを抱えて中に入って行く。

 其のバン以外にも様々な車から大きな荷物を抱えた男たちが中に入って行く。 

 

 























 



 










 屠畜場内。



「いやああああっ!」

「やめろおおおおっ!」

「何でこんな事するんだっ!」


 悲鳴が彼方此方に響き渡る。

 吊るされたホームレスは服を着ていなかった。

 恐らく何処かで脱がされたのだろう。

 

 吊るされたホームレス達は電気水槽で気絶処置されていた。


「があああああっ!」

「あがががっ!」

「ああああああっ!」


 意識の喪失状態にしたのちに、心機能又は肺機能を停止させているみたいだ。

 気絶処置だな。

 続いて首の切断(放血)をする。

 噴水のように血が飛び散る。

 そのまま職員達が皮を剥ぎ処理をしていく。

 食肉として。

 人肉(・・)の。



























 作業を終えた僕は隠れて其れを見ていた。

 相棒の能力は便利だね~~。

 其れはそうと……。

 いや~~。

 ねえ~~。

 もう泣きたい。

 

「あ~~まさか安い肉の正体が此れとは……」


 ゲンナリする僕。

 当分肉が食えないぞ。


『人肉屠畜場だな不要とされた人間を食用肉に加工する都市伝説だな』

「此れが我が家の食卓に出てたのか~~」

『出てないぞ』

「はい?」

『お前さんのお母さんに暗示で此処の肉は買わないようにしていたから』

「何時から?」

『異常に安い肉が出始めていたからな怪しいんで調べてたから案の定だ』

「親友」

『何だ?』

「愛してる」

『なああああああああああああああああああああああああっ!』



 あっ……パニックを起こしている。

 うん。

 面白い。


 あ……。

 作業員の目が此方を向く。

 バレた。


「親友見つかった」

『ハナハア……取り敢えず脱出だな』


 全速力で逃げました。

 ええ。
























 屠畜場の外。





 外に出た僕は息を整えていた。

 キツイ。

 本気でキツイ。


『休んでいる暇は無いぞ』

「分かっているけどこの後どうするの?」

『私を屠畜場に向けろ』

「あいよ」


 相棒を屠畜場に向ける。



 キイイイイイイイインンンンンンンッ!


 不快な音が響く。


「何だ此れ?」

『あれ? 聞こえるの?』

「うん」

『まあいいや説明してあげる』



 

 固有振動数という物が有る。


 

 固有振動数は、物体の質量(重さ)が大きいほど小さく、剛性(硬さ)が高いほど大きい。

 建築物にも固有振動数がある。

地震によってその固有振動数の振動が加わると、建築物が共振し、大きな揺れが生じる。

低層で剛性が高い建築物は、固有振動数が大きいため、短い周期の振動が多い直下型の地震で大きな被害を受けやすい。


 其れを相棒が発生させているみたいだ。

 そう教えてくれた。



 其の結果屠畜場はグチャグチャに破壊され盛大に燃えた。

 因みに燃えた原因の一つは僕が関わっている。

 相棒に準備させられたガソリン入りのペットボトルだ。

 其れを彼方此方に仕掛けました。

 其れに引火しました。

 まあ~~ソコソコ燃えたな。


『生きてたホームレス居たんだがな~~』

「良いんじゃね? 別に他人だし」

『ドライだな』

「まあ~~ね~~」


 










 なおこの後数日間肉類は母親に頼んで買わないようにしてもらいました。

 念のために。



 

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 悪くは無かったと思うんで20位かなと思っておりましたが。 [一言] あの日は最近感想を書かせて頂いている<鞠目様>の作品が週間一位付近かつ内容が何となくダブリましたからなぁ。 あの方は…
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