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雪が降る、今日の終わり

作者: 黒猫っち

今日きょう卒業式そつぎょうしきぼくの………ぼくたちの中学ちゅうがく生活せいかくでたった一度いちどだけの。

「はぁ〜 今日きょう卒業そつぎょうかぁ ながかったようなみじかったような……。」なれた制服せいふくて、玄関げんかんからかばんってく。 ぼく緋色ひいろ ゆん 

 寒野坂かんのざか中学校ちゅうがっこうの3ねんだ。今日きょうでこの学校がっこうかようのも最後さいごかとおもうとさびしくなるな。

でもぼくにはこの学校がっこうまえにやることがある。彼女かのじょへの告白こくはく、ずっとえなかった。今日きょうこそはわないといけない。そんなことを学校がっこうまでのみちのりのなかおもっていた。 そして見慣みなれたもんとおって、見慣みなれた校舎こうしゃに入り、毎日まいにちのように彼女かのじょていた見慣みなれた教室きょうしつはいる。自分じぶんせきすわって彼女かのじょせきる。それがたりまえのように。このせきになってからずっとていた、あのせき今日きょう彼女かのじょはいた。ずっと3年間ねんかんていた彼女かのじょ……いや……仲浜なかはま 雪乃ゆきのさんのながくろい2ほん三編みつみをねこ尻尾しっぽのようにらして。ぼく視線しせんには気付きずかずに毎日まいにちのようにんでいるほん今日きょう熱心ねっしんんでる。

「これをれるのも今日きょう最後さいごなんだ…………。」言葉ことばしてつぶやくときゅうせつなくなる。ぼく今日きょう告白こくはくしなければもう彼女かのじょにはえないかもしれない。だから勇気ゆうきさなきゃいけない。ぼく自分じぶんせきからゆっくり……ゆっくりと彼女かのじょせきへとちかづいていく。

「あのさ………仲浜なかはまさん 今日きょう ちょっと用事ようじあるんだけど 卒業式そつぎょうしきあと 北校舎きたこうしゃ屋上おくじょうてくんない?」彼女かのじょながらゆっくりとみんなにはこえないようにしゃべりかける。

「えっ!?う うん………わかった 卒業式そつぎょうしきあとだね。」びっくりしたようなかおぼくかおたかとおったこえこたえる。

「うん そ それじゃ あとで。彼女かのじょとの会話かいわえるとすこ足早あしばや自分じぶんせきもどる。ぼく ったんだ。つくえしながら かんがえがめぐる いろんなおもいでも一緒いっしょに。

彼女かのじょ最初さいしょったのは、1年生ねんせいのときにこのクラスにはいったとき 一人ひとりだれしゃべることもなくほんんで、んだほんはそのほんおもひたるように……大切たいせつひとでもきしめるかのようにやさしく一度いちどきしめる。そんな姿すがたたときいままでっただれともちが不思議ふしぎかんじ、なんて説明せつめいしていいかもからない。ただこれがこいっていうのかなって実感じっかんした。それから毎日まいにちのようにほん彼女かのじょていた。そしてたまにしゃべりかけてほんことくとをキラキラとかがやかせながら力説りきせつしてくれる彼女かのじょすこ面白おもしろいなともおもった。

そんなことをかんがえているうちに担任たんにん教室きょうしつなかはいってきた。もう3年間ねんかん一緒いっしょ担任たんにん先生せんせい。いつもとおなきなれたこえひびく。

そして体育館たいいくかん移動いどう練習れんしゅうしたとおりにせきすわる。うしろには保護者ほごしゃや1、2ねん後輩こうはいたちの姿すがたまえにはひなだんいままでお世話せわになった先生せんせんたち。見回みまわしているうちにスピーカーから音楽おんがくながれて卒業式そつぎょうしきはじまる。名前なまえばれてまえ卒業そつぎょう証書しょうしょっていくクラスメイトたち。ぼく名前なまえばれてみんなとおんなじようにゆっくりと卒業そつぎょう証書しょうしょる。

せきもどると、もうなみだながすクラスメイトもいた。最後さいご一人ひとりばれ、もどってくると3ねん全員ぜんいんでひなだんへ、そして何回なんかい練習れんしゅうした言葉ことばい、うたうたう。練習れんしゅうしていたときはなんともおもわなかったのにいまになるとおもよみがえる。つらかったことやうれしかったことかなしかったこと。この中学校ちゅうがっこうつくったたくさんのおもが、友達ともだちかお先生せんせいかおおやかおがそして3年間ねんかんずっと好きだった彼女かのじょかおが。気付きずくとなみだほほつたっていた。我慢がまんなんか出来できない、とどめることなくなみだながす。もうまらない、いままでのおもつくったこの学校がっこうからはなれるのがつらい……かなしい、そんな気持きもちがまらない。うたわったあとぼくたちはいていた、みんながむまでのあいだ先生せんせいなにわずただクラスメイトみんなをやさしくきしめてくれた。


数十分後すうじゅっぷんご、みんながむと、このクラスの最後さいごのHRがはじまった。


みんなのいままでのかったことろやわるかったところ、一人ひとりずつおもいをこめてゆっくりとはなしてくれる。そして最後さいごみんなで写真しゃしんを1まい、もうみんないてなんかいない笑顔えがおたのしそうに無理むりにでもわらってみせた。だってみんなでうつ最後さいご写真しゃしんぐらいがおじゃイヤだから。

そして先生せんせいからクラスメイト全員ぜんいん一言ひとこと…………今日きょうまでありがとう………って。

その一言ひとことでみんな、またきそうになってしまった。それを必死ひっしにこらえて、


「………こちらこそ………ありがとうございました。」


おおきなこえおもいをめていままでの先生せんせいとのおもをこの学校がっこうでのおもめて。

ぼくはみんながかえってくのを見送みおくりながら、彼女かのじょ教室きょうしつからくのをながら 覚悟かくごめていた。

そして教室きょうしつから屋上おくじょうへとあしすすめていく。とびらけてなかはいる。その動作どうさだけで心臓しんぞうふるえる



そしてふゆのたった一度いちどだけの今日きょう約束やくそくした北校舎きたこうしゃ屋上おくじょうで、ゆきがぱらつくなかで、ちゃんと彼女かのじょっていてくれた。ちゃんと勇気ゆうきしてわなきゃいけない。

「えっと…緋色ひいろくん……それで……はなしってなにかな?」さむさなのかかおすこあかめて 彼女かのじょたずねる。ぼく覚悟かくごめてしゃべはじめる


明日あしたこそは明日あしたこそわって ずっとわずにたけど 最後さいごだからさ。今日きょう絶対ぜったいおうってめてたんだ。」なにわれるのかがよくわかっていないようなかおをした彼女かのじょつめながらしゃべ



「……………ぼくさ……………ずっとまえからきみのことが………」




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