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叡智のレガリア  作者: 日三十 皐月
第1章 「ユーリシア国」
12/20

七話 ー後編ー








ーーユーリシア国




「何が起きたの?」




〈メディニアの民〉が到着したという報せが届いてからというもの、暫し慌ただしくなった国内。

レイリアが先立って対応に行った後、身なりを整え終え、見送りの為に遅れて城門前へ到着したアリシアが見たのは、戸惑って立ち尽くす国民と兵士の姿だった。


その異様な空気に眉を寄せ、同じように戸惑う従者の手を借り馬車から降りる。

石畳をかつかつと音を鳴らして進むアリシアの到着に気がついた人々が一様に頭を下げる中、執事長のジャックが人混みを掻き分けるようにして彼女へと駆け寄ってきた。



「アリシア様…!!」


「ジャック、陛下はどこへ?」



兵士もロマもいるのに、レイリアだけが此処にいない。

嫌な予感を覚えながら門の付近に視線をやると、そこにはメディニアの民の姿が二人。



ーー兄様はまだ対応中…?復活祭当日に、一体何の目的でユーリシアへ…



いらない邪推も心配もしたくはない。

その為にいち早く現状を知る必要があったのだが、近付いたジャックは取り乱しており、話していても要領を得なかった。

早々に首を振って宥め、アリシアは遅れて駆け寄ってきたロマの方へ視線を送る。



「ロマ」



少し責めるように名前を呼ぶと、苦々しく表情を歪めたロマ。

アリシアに敬礼をした後、彼は口籠るように声を潜めて話し始めた。



「…アリシア様。レイリア王は先ほど、メディニア国から護衛と称して訪れた者たちと共に、国を出立されました」


「そう。まさか予定より出立が早まるとは思っていなかったから…せめてお見送りをと思っていたのだけれど、間に合わなかったのね。残念だけれど、此処で帰路のご無事を祈るしかないわ。

ーーけれど、何故あなたまで此処にいるの?」


「……それは…」


「兵士長であるあなたが此処へ残ったからには、陛下は兵士をたくさん護衛につけて出立なされたのでしょうね」


「………復活祭には少数の護衛のみで参加せよという帝王の命を受け…」


「待ちなさい。ーーでは何故あなたが此処へ?」


「………陛下直々の命により、国を守るよう仰せつかりました」



その場にいた全員が、恐ろしいほどの沈黙に包まれる中。

アリシアの怒りが徐々に、徐々に膨らんでいく。

ぐっと下唇を噛み、こみ上げてきたものを堪えた彼女は、小さく溜息を溢した。


到着が遅れ、その場にいなかった自分が何を言うべきではないことも。

アリシアとて、その場にいて王を引き止めることが出来ていたのかどうか分からないことも。

ジャックやロマが、苦渋の決断で王の背中を見送ったのであろうことも。


分かっていて、しかしそれでも言葉を選ぶことができない。



「こんな情勢で…じゅうぶな護衛をつけず国を渡り…もしも今…この時にでも、兄様の命が奪われるようなことがあったらーーー…」


「……」



今話をしている間にも、王の命が危ぶまれている。

その現実はアリシアの心を酷く揺さぶった。


誰も、何も言えないまま。震えるアリシアの肩を、誰一人支える権利もないまま。




そんな重苦しい沈黙を破ったのはーー、




「アリシア、そう言ってやるな。どの国も様子見してる中、集めた王族片っ端から潰してくやつなんていねぇ。それをするメリットも力も今は無いんだからな。レイリアもそう考えた上でついてったんだろ」




「ーーーは…?」


「まぁでも心配すんな、この国の護衛よりずっと強い護衛をつけてあるからよ」



サングラス越しに不敵に笑う、エマリオだった。


堂々とアリシアの隣に立った彼の姿を捉えた全員が、上手く状況を飲み込めないまま困惑した様子で口を呆けさせる。

その中でいち早く冷静さを取り戻したアリシアが、エマリオを見上げて言った。



「…ちょっと…何で…いるの…?」


「あ?あぁ、開けてもらった」



至極当然のように答えたエマリオは、特に意に介していない様子で気怠げに欠伸をする。

何故いるのか、という問いに対し、答えになっていない答えではぐらかしたエマリオの態度に、アリシアの眉間の皺が思い切り寄った。



「何で、国内にいるのかと、聞いているのよ!」


「着いたら港に誰もいねぇもんだから、知り合い呼んで開けてもらったんだよ」


「知り合いって…!それは兵士なんでしょうね?でなければ、一体誰に…」


「誰がどうこうってより、港に兵士を一人も回してないことの方が問題じゃねぇのか?」


「その件については、後でロマとじっくり話すわ。

エマリオ、あなた状況を分かっていないみたいね!こちらにどれだけ落ち度があろうと、他国の人間が許可なく勝手に国内へ入るなんて…有り得ないでしょう!不法入国だわ!然るべき処置を、」


「あーあー許可許可、だったら今許可してくれ。細かいことはいいだろ?別に悪さするわけじゃねぇんだからよ」


「は…話にならない!ーーむぐ!」


「いいから落ち着けって。んなこと言ってる場合じゃねぇだろ?」



勢い良く手を当てることでアリシアの口を塞いだエマリオ。

すると、国民から竹箒を奪った執事が弾丸のように飛んできた。



「エ、エマリオ!!この頭でっかちめが!!アリシア様になんて不敬を!!」


「うぉ!」



竹箒の柄先がエマリオの鳩尾を捉えるが、寸でのところで突きを避けられる。

空振りとなってしまった攻撃の余韻にバランスを崩した執事が盛大にこけると、エマリオは嘲笑するように鼻で笑った。



「何度も言うが不敬はお前だ、ジジイ。他国の王子に竹箒向けるような無礼な人間はあんたくらいじゃねぇの?しかしまぁ、ようやく正気になったか。頭の整理は済んだみてぇだな」



どうやら、アリシアからの質問にまともに答えられなかった様子も見ていたらしい。

そのことに気が付いた執事が顔を真っ赤にして怒りを露わにする。



「お前は正気ではないようじゃな…!黙って同盟国へ入国するなどと、まるで自分の庭のようではないか」


「何度も言わせんじゃねぇ。んなこと、言ってる、場合か?」


「むー!むー!」



口を塞がれたまま抗議を繰り返すアリシアを無視し、エマリオはため息をつきながら続けた。



「アリシア以外、どいつもこいつも違う方を向いてやがる。お前ら何の為にこの国にいるんだ?馬鹿みたいに手を繋いで進んで行かなきゃならねぇって時に、心のどっかで諦めてるからひと塊にならねぇんだろうが。進まなきゃ未来はやってこないんだよ」


「………」


「なぁ、ロマ。そうだろ?お前の、兵士としての忠誠心はーー今、どこにあるんだ?」



黙り込んでいたロマに、厳しい視線を向けるエマリオ。

それを受けて一部の兵士が憤慨する様子を見せたが、ロマが振り返って宥める。



「……レイリア王と共にあるさ。それだけは、間違いない」



エマリオへ背を向けたまま、ロマは小さくそう零した。

僅かに殺気立つ空間の中で置いてけぼりになってしまったアリシアが、焦ったようにもがく。



「むー!むーーー!!」


「おお、悪い悪い」


「ぷはぁ!!ーーっ馬鹿なの!?途中から鼻まで抑えて!!殺す気!?」


「話に夢中になってたらつい力が入っちまった」


「この…!入っちまったじゃないわよ!!」



いつになく声を荒げて怒鳴るアリシアの顔を見て、エマリオは思わずといったように吹き出した。



「アメリアに瓜二つの顔でそんな顔すんなって…ぶははは!馬鹿なの?だってさ、はっはっは!!アメリアは絶対そんなこと言わねぇもん。なぁ」



笑いながら同意を求めたエマリオの頭を、執事が勢いよく竹箒で叩く。

笑えないほど鈍い音がして、竹箒の柄が軽く割れた。



「い゛!!……ってぇな!」


「なぁ、ではないわ!この阿呆!!アリシア様のお怒りもごもっとも!これ以上の無礼は許されんぞ、エマリオ!」


「おい!何度も言うが俺は王子だぞジジイ!!竹箒で王子の頭かち割るなんざ無礼じゃ許されねぇ!!国際問題に持ち込んでやろうか!」


「馬鹿め。お前の頭がかち割られたくらいで、ゾンガーの王が動くとは到底思えぬわ!」


「…チッ、痛ぇとこ突きやがる…」



「ちょっと、そんなことやってる場合なの?」



喧嘩を始める二人に、アリシアが冷ややかな視線を送る。

エマリオは叩かれた箇所を何度もさすりながら、怒りの収まらない様子で首を振った。



「馬鹿なジジイに構ってたらキリがねぇ。あー痛ぇ…なぁ、頭割れてねぇか?」


「割れてたって誰も困らないわ。馬鹿なことやってないで、何しに来たのか早く話して頂戴」


「このガキ…!性格だけは親父そっくりだな…」


「光栄ね」



とにかく、ここを離れましょう。とアリシアが〈メディニアの民〉の方に視線をやって提案し、エマリオも頷いて移動を始める。

こそこそせずとも〈メディニアの民〉は国内に何の興味もない様子で城壁の側に立っていた。



「ーー寄越した護衛はたった二人。さぁ、たった二人で何ができると思う?」



馬車に乗り込みながらそう言ったエマリオに、アリシアが僅かに眉を寄せる。



「…いざ魔物が攻めて来た時、少しでも戦力になる為に来たのではなくて?」


「あのなぁ、たった二人だぞ?ガキのお守りじゃねぇんだからよ。そもそも詠唱しか脳のねぇメディニアが、いざって時に役に立つか」


「じゃぁ、魔物から守るためではなくて、他の国が万が一攻め込んで来た時、抑止力になるようにってこと?」


「この現状でそんなことが億が一にも起こり得て、そしてたった二人のメディニアの民が、攻めてきた国への抑止力になり得ると思うか?」


「………」


「じゃぁ質問を変えよう。奴ら、たった二人で何をしに来たと思う?」



黙り込むアリシアに、エマリオは続けた。



「ーーマーキングだよ。そんでもって俺は、それを消しに来た」







*    *    *    *    *







ーーーメディニア国



復活祭が行われるという会場は、既に多くの参加者で埋まっていた。


これから新帝王が登場する壇上、レイリアを含む5人はその端に並び、小さな声でぽつぽつと話をする。



「ーーねぇ、これだけの数の王族が一堂に会したことなんて、これまでの歴史を見てもまずないんじゃない?」


「西方分断、“帝国律法”の制定、従わない国へは惨い見せしめ…かつての帝国がやってきたことを考えたら、どれほどの力でねじ伏せられるか分からないからね。新帝国と同盟は組みません、なんて選択肢を取る国は少ないだろう」


「従わないリスクの方が大きいって判断をこれだけの数の国が取ったんだ。この世界は、帝国に支配されるだけあるよ。自国を含め、保守的な国が多い」


「帝国のいない十年間は、びっくりするほど平和だったもんね」


「十年だったから、というのは少なからず平和の要因になり得るけれど」



ーー確かに、もしそれ以上の年月が経っていたなら、支配を目論む国が一つや二つ出てきていてもおかしくはなかっただろう


他国と交流する者もいれば、ひっそりと復活祭の開始を待つ者もいる。

緊張で僅かに騒ついている会場の中で。


新生メディニアや他勢力によって攻撃を受ければ、参加したおおよその国が国王あるいは後継者を失うという状況。

あまりにも異常な光景だったが、帝国にはそれをさせるだけの“力”があった。



「ねぇ…かつての魔法が使える人って、新帝国の人たちの中に今どれくらい残ってるのかな?」



フィリスがひそひそと言ったそれは、恐らく参加している全ての国が感じているであろう疑問だった。

ルタはしばらく悩んだ後、小さく首を振る。



「想像の倍以上の人数が地下にいたけど、まだ詠唱魔法を使ってるところを見てないから…なんとも言えないね。帝王の他に何人王族が生き残っているのか把握することも出来ていないわけだし。

でも場合によっては、まともに詠唱できるのが三分の一もいないってことも十分にあり得ると思うよ」


「けどさぁ、あんな堂々といられたら怖くない?俺たちやろうと思えばいつでも行けますけどって感じだよね」


「何か確固たる自信があるのかもしれない。それが何によって齎されているのかを探るためにも、今は大人しくしているのが良策だね」


「あーぁ。あそこに偉そうに突っ立ってる〈メディニアの民〉が魔力もほとんどない一般人だって分かったら、今すぐ倒してこんな茶番さっさと終わらせちゃうのに」


「フィリス。誰が聞いてるか分からないんだ、口を慎みなさい」


「でもルタが言うように、皆思ってるんじゃない? “帝王以外、まともな詠唱なんてできないんじゃないか”ってさ」



ーーメディニア族は、王族を中心に他国他民族とは桁違いの魔力を持つことで、どこよりも詠唱魔法に特化した種族だった。

詠唱を必要とする魔法は通常魔法よりもずっと魔力の消費が大きい為、使える者が限られる。準じてメディニアに対抗する力を持つ国は少なかった。


しかし、十年前の悲劇によってメディニア国並びに王家は深い痛手を負っている。


メディニア王家の血筋の人間がどれくらい生き残っているかというのは、帝国を帝国たらしめた“力”そのものに関わってくる。



「残虐非道な上にめちゃくちゃ魔力の強かったメディニアが、残虐非道なだけの木偶の棒の集まりになってたらどうする?」


「フィリス」


「だってメディニア王家の血筋の人間って、昔は趣味の悪い勲章みたいなものつけて歩いてたじゃん。それを今はどいつもこいつもつけてないどころか、全員が大昔の民族衣装なんて着てるわけでしょ?王族…というか魔力の高い人間が軒並み減ってるってことがバレない為のカモフラージュとしか思えないよ」


「他の国に聞こえてしまうよ。仮にも〈帝王の護衛〉が話していい内容じゃない」



不満げに話すフィリスを、シンクが強く制す。





ーーーその瞬間、重たい金属を鳴らすような音が大広間中に響き渡った。


誰もが口を噤んだ数秒後、静寂に包まれた空間で〈メディニアの民〉が声を張り上げるようにして言った。



「皆々様、静粛に。これより、荘厳なるメディニア国復活祭を開始致します」



最前列のテーブルにいたメディニア国を信仰する国々の代表がその言葉を聞いて立ち上がり、深々と頭を下げる。



「では、我らが帝王 セレーナ より、御言葉を頂戴致します」



そう宣言した後、大広間中の〈メディニアの民〉が一斉に跪いた。

まるで祈るようなその姿に多くの国が唖然とする中ーーー


コツコツと靴の音を響かせゆっくりと壇上の中央に歩いてきたのは、長い金髪を上でひとまとめにした、若い青年だった。

〈メディニアの民〉と全く同じ民族衣装を着た彼は、とても〈帝王〉だという出立ではない。身につけている飾り等も派手なものはなく、近くに立っている〈メディニアの民〉とまるで遜色ない。


予想とは遥かに遠い人物の登場に、各国の代表が騒めく。

しかし当の彼は気にした様子もなく、微笑を携えながらスピーチを始めた。





「ーー“復活の鐘鳴る時、世界は光と闇の淘汰された未来を歩むことになる”。これはかつて、イナンタ族の首領が遺した予言ですが…彼らの言葉を善としたならば、私たちにはその未来へ進む責任があります。いつ如何なる時も」



彼の鋭い目つきが、舐めるように大広間を見渡す。

一人一人の瞳を射抜いていくようなその行動は、言い難い恐怖心を植え付けた。



「一度滅んだ帝国は、帝国とはなり得ないか。否、これだけの王族が身一つで此処までやってきたという事実は、充二分に我が国を帝国たらしめるでしょう。

西方分断、帝国律法に基づいて行われた他国に干渉した処刑の数々…メディニア国の歴史を紐解いたなら、多くの国がその胸を痛めるはず。その歴史から、私を殺してやりたいと願ってやまない者もいるはず。


しかし、それをすることに、一体何の意味があるというのでしょう」




帝王ーーセレーナが話を続ける中、レイリアはふと大広間の奥に赤を認識した。

目を凝らしてみるが、その正体までは確認できない。



「血を継ぐ者は悪か。その咎が私の背に乗ったとて、私の命ごと斬り捨てたその行為に価値はあるのか?咎人の血を根絶やしにすれば善悪は淘汰されるのかと問われ、血塗れの手で是と答えた瞬間こそ、真に善悪の淘汰された世界が訪れる時。

その未来を生きることが善ならば、私たちの世界に平和など存在しない」



並べ立てられていく言葉の数々。

赤の気配が強くなっていく。

肌を刺すような殺気の行方を追っていると、隣にいたルタが小さく息を呑んだ。



「ーー…テトモロ…」



そう零した、ルタの視線の先を辿った瞬間。

火花が散ったように赤い瞳と視線が交わった。


それは一瞬のことだった。燃えるような赤はすぐにセレーナを見つめ、隠すことのない殺気を送り続ける。



「予言書無き今、復活を果たした私たちのすべきことはただ一つ。

国という垣根を越え、手を取り合って一つになること。それこそが、新帝王として君臨した私の為すべき使命。


此処に集った多くの国が私の意見に賛同し、その未来実現を望むことを、切に願って」



言い終えたセレーナが、果実酒の入った杯を手に取った。

同時に壇上に立っていたレイリアを含む〈帝王の護衛〉は、チカッタラッタの子供たちから杯を差し出される。


復活祭の参加者のおよそ3分の2が、テーブルに並べられた杯を手に取ったのが確認できた。




「乾杯」




ーーチカッタラッタの子供たちがレイリアに差し出したのは、空の杯。

受け取ったレイリアはセレーナの号令を受け、飲んだふりをすることで応える。

隣に立っていたシンクやルタの杯には果実酒が入っていたが、二人はそれを飲み干すことはしなかった。

大広間の代表者たちも、それぞれ乾杯を終える。


子供たちへ杯を返すと、セレーナが一瞬レイリア達を振り返った。


微笑を携えているはずのその表情はどこか冷たく、そしてどこまでも残忍なように感じる。

視線から逃れた後、レイリアはいつの間にか消えていた赤の気配を辿った。



そして、その気配を辿っているのが自分だけではないことに気がつく。




見上げたルタの瞳は、まるで恋焦がれるように大広間中を彷徨いーーーやがて一雫の涙を落とした。

誰かを憂いて涙する彼女の美しい姿が、あの赤い瞳に映っていたならいいのに。




再び騒めき始めた大広間の中。

レイリアはただ、始まった全てを忘れるかのようにそんなことを願っていた。












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