7話
「はゆ…おねがいちましゅ…。ちゃみ、いいこでねんねちましゅからいっちょにねんねちてくだしゃい…」
駄目だ…そんな潤んだ瞳に見つめられたら、断れない。ズルいよ…
「いいよ…おいで」
この感情が何なのかよく分からないけど、兎に角この子と一緒に居ると胸が痛くて苦しい。
「はゆ、だいしゅきでしゅ…。おやしゅみなしゃい…」
今まで誰かにこんなに甘えられた事なんか無い。誰かを甘やかしたいと思った事も無い。
私…自分に弟が出来た事が嬉しいの…?
それでこんなに胸が痛いの…?
あ…この子、私の胸に耳を当てながら寝てる…
それじゃ枕持ってきた意味無いでしょ…
馬鹿茶美…
チビのあったかい温もりが段々気持ち良くなってきて…私も瞼を閉じる。
いい子で寝るって言ったくせに、体半分以上私の上に乗っかってスヤスヤ眠る茶美。
この子、軽いから重くはないけどさ…私の鼓動を子守唄にして寝るなんて恥ずかしい。
ガキのくせに、年下のくせに、弟のくせに、いつも主導権を握ってんのはこの子。
ねぇ…あんた一体何なの…?どうせ物心ついた頃には私から離れていくんでしょ?
だったらさ…惑わさないでよ…
あんたは知らないだろうけど、私…結構君に振り回されてんのよ…
「はゆ、はゆ…」
「ん…」
「はゆ〜あさでしゅよ。おきてくだしゃい」
いつの間にか眠っていた私は、茶美に起こされるまで夢の中に居た。
茶美はまだ私を寝かせたかったみたいだけど、両親から大事な話があるらしく、私を起こして欲しいと頼まれたみたい。
ったく、ガキがそんな申し訳なさそうな顔しないでよ…。いつもだったらとっくに起きてる時間なんだけどな…茶美の温もりが気持ち良かったのかな…
取り敢えず、母さん達の話を聞きに行こうかな。パジャマだから着替えないと…
「はっ、はゆっ…ちゃみ、ちゃみ…はじゅかしいでしゅ…ちゃみのおへやにいってましゅっ…」
「え?」
何なのあの子。パジャマを脱ごうとしたら急に顔を真っ赤にさせて出て行っちゃった。
ほんと、変な子…