11話
「村長、少しお聞きしたいことが。」
人狼たちの襲撃後、宿に戻る前に村長と話をすることに。
「なんでしょうキトラさん。」
「この村の宿で獣人の子供と出会ったのですが…。」
「ああ。プンパのことですか。彼女は迷い子なのです。数年前、彼女は森を抜け、ここまで来たのです。本来であれば北方の国へ送るべきなのですが、『この町に残りたい!』というので宿で世話をしているのです。」
獣人の子供が北方から一人でここに来ることは思えない。
「彼女は何でここへ来た経緯など具体的には…?」
「我々が何度も聞いても彼女は昔のことを話そうとしないんです。」
「なるほど。」
すると、村長はうつむきながら言った。
「…我々は彼女を元居た場所へ帰すべきだと思っているのです。我々を慕ってくれることには問題ないのですが、彼女にも両親がいるはずです。こんな小さな村にいるより、元居た場所へ戻るほうが良いはずです。」
「でも、それを彼女は望んでないんですよね。」
「はい。居てもらう分には構わないんですがね。」
ある程度の話を聞けた後、早歩きで宿へ戻った。部屋に入り、ベッドに寝転がったあとの記憶はない···。
村の人たちがまだ寝ている早朝に宿を出た。大勢の人達に迎えられて行くと、なんだか、これから死にに行くような気持ちになるからだ。村の門の前まで歩いてくると後ろから、
「キ、キトラさん!」
と、声をかけられた。走って来たのはプンパだった。
「どうしたの?こんな早朝に。」
「その、クエストに行くんですか?」
「そうだけど···。」
「それで、私、意思疎通というスキルを持っているので、なにかお役に立てるんじゃないかと思って。」
それを聞いて俺は表情に出さないにしろ、心底驚いた。意思疎通は違う国の人間とだけでなく、モンスターとの会話がいとも容易くできしまうというスキルで、国に一人所持しているかどうかくらいだから、希少価値はとてつもなく高いのだ。
「でも、君を流石に連れてはいけないよ。」
「私はこの近辺の地形を把握しています。ゴブリンと会話して討伐以外の方法を探します。それが駄目だったら、すぐに村に戻ります。いいですか?」
「···。」
かなり無茶な意見だった。そんな簡単にクエストというものは簡単には進まない。もし戦闘になった時、どう彼女を逃がす。実行にはかなり困難な意見だし、何しろ彼女の身になにかあったとき、責任は取れない。でも···。
しばらく考え込んだあと、結論を出した。
「彼らを生かす道はないか探したいんだね。その意見はありかもしんないね。」
すると、彼女の顔が明るくなる。
「じゃあ、これから短い間ですがよろしくお願いします!」
「うん。よろしく。」
そして俺は彼女とゴブリンの山に歩き始めた。




