09話
「大丈夫か?」
かなり危なかったが、ギリギリセーフだった。大きな荷物をおろしたから、体の感覚が狂ってしまっているか心配だったが、なんとかクマを斬って助けることができた。
「あ、ありがとうご「っ!離れて!」
今さっき斬ったモンスターが群れのリーダーだったらしく、殺した俺に襲いかかってきた。白魔道士の彼女を突き飛ばして、剣を握り直す。コイツを数体まとめて相手したことが無いから、だいぶ危なっかしい戦いになるだろう。とりあえず、
「マギトレイ」『豪華炎!』
「グオオオォオオオ!」
豪華炎はある程度の範囲に火を撒き散らすことができるが、大型で厚い皮膚を持つモンスターにはあまり有効的な業ではない。暗黒演舞も周りのやつの視界を巻き込んでしまう。だから俺は剣を両手で握り、剣先を奴らに向け、腰を落として剣を水平にして体に引きつける。
「マギトノゥト」『猛虎嵐撃!』
体全体が薄白い光に包まれ、剣はより輝きを増す。その直後、音もせずに光の筋が伸びる。かすかな風が吹き、戦いが終わった。
「助けて頂いてありがとうございます。シーアです。職業は白魔道師です。」
「ユーリです。えっと、剣士やってます。」
「ラッドだ。我が道は黒の魔術の使い手だ。」
(黒魔術師か。随分周りくどい言い方だなぁ。まあ、嫌いじゃないけど。)
「俺はキトラ。職業は盗賊。どうしてこの森に入ったんだ?今日この森に入る人がいるなんて聞いていなかったんだけど。」
「それは、「単なるレベル上げだ。ライアー。」
「!ちょっとエイク!助けてくれた人に何言っ「助けれられたのはお前だ。今さっきのモンスターの攻撃、一撃くらいで死にはしない。」
「···なぜ俺がライアーだって思うんだ?」
ライアーとは、ギルドなどに自分の職業を登録せずにいる者のことを言う。珍しく、危険な職業である場合、国から自宅からの外出禁止令を出されたりする。最悪の場合は死刑もありうる。
「お前が出したあの魔法。明らかに普通の盗賊が出せる訳がない。」
確かにあの「業」を見たらそう思えるのも無理はない。しかし、あれは特別な業じゃない。
「あの業、いや、魔法はそんな大したものじゃない。無属性の身体強化魔法と剣に鋭利化を加えただけだ。」
「何っ?!」
「あとは自分が持っている技能を使っているだけだ。」
「す、すげぇ。」
ユーリが感嘆の声を漏らす。そう、この業は派手に見えるが、半分は己の実力で攻撃しているのだ。
「チッ…」
エイクはそう言い残し、街のある方向に歩き出す。
「エ、エイク!えっ、あの、キトラさん!ありがとうございました!必ずこの恩は返すので!それでは!」
そう言ってシーア達も後にをついていく。そんな彼らの背中を俺は見送った。
こんちゃっす。ミゲルです。また遅れちゃってすみません。夏休みなのにあまり時間を取れずにいました。
今回はライアーという呼び名を中心に話が進んでいましたね。このシリーズに出てくる固有単語についていつか全部詳しく説明していく予定なので、あまり理解できていない方もご安心ください。
では、今回はここまでで。読んで頂きありがとうございました。




