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第63話 その後

 それから一か月後、国々では突然何もない森が地面のえぐれる位の破壊力のある爆発が起こったと知れ渡り、国々からは腕の良い魔法使いや剣士などが数百名その場所へと派遺された。

そして今日、彼らが派遺から戻ってくる予定らしいがあの場所には何も残ってはいない。全てが消え去り多分、何も見つからなかったことだろう。


「あれ、隣国の超級魔法使い、カルディナ様じゃない?」


「あっちは邪竜を倒したっていうヘルム様じゃないか?」


「他にも沢山魔法と剣の使い手が勢揃いだな! ということは遠征から帰ってきたのか!」


 ぞろぞろと重い音を立てながら町の中心から、王城へと続く通りを歩く魔法使いと戦士たち。前線に立ち歩いているのはその中でも名の知れている人達のようだ。彼らの長い列の両側からは歓声と遠征の成果を問う声があった。だが、誰一人としてそれに答えることは無く、早歩きで王城へと向かって行った。


「ちっ、何で誰も答えないんだ? 俺達、平民には知る必要も無いってか!」


「はあ~、まああるとしたら向こうで遠征の時に何かあったかだね」


 あるいは何も見つけることが出来ず、とぼとぼと帰ってきたということもあるがな。俺は人で溢れかえった道から路地裏へ行くと、学院の方角へと歩いて行った。


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 


「どうでした外は?」


「相変わらず人で一杯だったよ」


 普段着姿のゼレシア。青色のワンピースを着た彼女はコップにお湯を二人分注ぎ、俺の目の前に座った。


「はい、紅茶」


「あ、ありがとう」


 静まり返る部屋。窓も無く、壁の向こうは地中のため地上に建っている家の部屋より遥かに静か。何の音も無いそんな空間。


「あと遠征に行っていた魔法使いと剣士たちが町に帰って来ていた」


「で、何か見つかったんですか?」


 少し悲しい表情をしながらそう聞くゼレシア。


「いや、分からない。全員、地面に顔を向けていて誰一人として喋らなかった」


「多分、何も見つからなかったかあの穴を見て危機感を感じているのかもしれないですね」


「そうだな。どのみちあまりいい結果は出せなかったみたいだな」


 そうして俺は自分の部屋に戻るとベッドに倒れ込んだ。

(はあ、やっぱり見つからなかったか…)


 アリスは言っていた。あの魂歳には復活する方法と自動的に復活することの出来る期間があるはずだと。そしてジークは必ず生きていると。エイリによるとその可能性も十分にあるとは言っていたが、魂歳に体を変換させられた人は最低でも数十年は元の姿に戻ることが出来ないらしい。解除魔法を使い続けたとしても10年は復活に時間を有してしまう。それに必ずともジークの魂歳を見つけられるとも限らない。どのような爆発によっても割れることの無いその小さな玉はあの爆発によって地中や遠距離の場所までに吹き飛ばされている可能性もある。


 アリスはあの事件の一週間後、旅へ出た。果てしなく遠い旅に出てただ自身の直感と木、山、町、人などに塞がれて様々な魔力の波動が飛びあうこの大地でひたすらほんの少しのジークに似た魔力を探し求めて旅へ出て行った。ジークの見つけ方は極めてシンプル。彼の弱まりきったほんの僅かな魔力を彼女の魔力感知能力だけで探し当てる。下手すると何十年建っても見つけられることは出来ないだろう。運が良くても数年。果てしない旅へアリスは出かけた。


「今、思うと早かったな」


「何がですか?」


「いや、この数か月間に色々とあったけどそれでもまだ数か月間しか経っていない。普通ならやっとこの学院に慣れてきて俺達の学院生活はこれから始まるといった感じなのかも知れないけど本当に色々あり過ぎて疲れたな…」


「そうですね。ジークとアリスの事もあるけどロリ長も居なくなったですしね」


 ロリ長はあの後、数週間緑の近くで生活させたがまだ完全には回復していなかったため学院に復帰することも出来ず一度王城に戻ることになった。はっきり言ってロリ長は先月何も活躍したことは無かったけどそれは彼女の娯楽施設入場を許可した俺のミスか…。


「そうだな、少し寂しい気もするけど一生帰ってこないってわけじゃあない。それにもうすぐ授業が始まる。クラスへの準備をしとかないとな」


 一生帰ってこないってわけじゃない。そう信じ、俺達は再び学院生活へと戻った。


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