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第54話 実家

 俺より料理の上手い母はそれから黙々と料理を作っていく。母はその途中に作っていたスープを俺達に渡すとまた料理をし始めた。


「何を作っているんだろう? とても良い臭いがする」


「まあ、ネムは昔から料理が上手かったからな。でも前よりも断然料理が進化しているように思える」


「そうよ。毎回、アウルが美味しいものを作るから私も負けずと頑張ってより美味しいものを作ろうと頑張っているのよ」


 そうだったのか。確かにこの家を出る前までは二人でよく夕食を作っていた。そして最初の頃はいつも母が料理勝負で負けていたような気がする。だが、後半はかなり俺に勝てるよりうなり、最終的には母の方が上手くなっていたことを思い出す。母がそんな努力をしていたなんて知らなかった。


「ただいま~。って、アウル、戻ってたのか!!」


「ただいま、父さん!」


 父は汗だくになって帰ってきた。今日はいつもより大きな魔物を狩って来ているな。ガーリフィッシュ。少し苦みがある魚だが、かなり美味しい。食べれる部分は大きく、というよりはガーリフィッシュ自体、かなり大きい。どのくらいかというとこの家より大きい。多分、父は母の好きなガーリフィッシュの塩干しを作るために今日、狩ってきたのだろう。


「それとアウルの友達かな? よろしく。今日は丁度近くの池からガーリフィッシュを狩ってきたからよければ食べないか?」


『ありがとうございます』


「そういえば、俺達今日からここで数日泊まるから」


「え? でもここはそんなに寝泊まりする場所なんて無いわよ?」


「そのことは心配しないで。ちゃんと寝る場所はあるから。それと父さんと母さんにも見せるね」


「え? 何を?」


「それはその時のお楽しみ」


 多分、二人が知ったらさぞかし驚くのだろうな…。勿論、この場にいる全員が驚くことになるのだと思うが、まだ見せるべきか悩むな…。これを見せたらもしかしたら俺が異世界人ということに誰かが気づいてしまうかもしれないし。今はまだこの世界で異世界から転生や転移をしてきた人を見たことが無いが、もしかしたらいる可能性もあるかもしれない。念には念を。と言いたいところだが、この場にいる全員は多分、異世界からの人はいないだろう。


 そして夜がきた。俺達は夕食を両親と共にし、ある程度の時間になると父と母はもう寝る準備をしだした。勿論のこと俺達はここで寝るようなスペースが無いため、ここから移動することになった。


「あの、アウル。もしかしてあなたあの家以外に寝る場所が無いなんてことは無いわよね…」


「勿論」


「でもこっちはあの家よりもっと森の方へ向かっているように思うのだが、こっちで合っているのか?」


「まあまあ、大丈夫だって。もうすぐ着くから」


 そしてそこから20分程経つとアウルは立ち止った。その場所には何も無く、ただただ森といった感じで木々に囲まれたところだった。


「あの、もしかして迷った?」


 アリスがとても心配している。確かにこんな夜遅くに森の奥へと連れられたらちょっと怖いかもしれないな。特にここは国から危険区域とされている森だ。この森にはS級の魔物がまるでそこら辺で勝手に発生するモブのような多さでいる。怖がるのも無理はない。


「よっと…。やっと解けた」


 俺は地面に一滴の血を流し、その瞬間その場が青く光った。その光は丸を描くように広がって行き、端と端が繋がるとその円の中も全て青く光り、地面が揺れだした。そしてその円はゆっくりと上へ上がって行き、揺れが収まった時にはそれが円の線では無く、縦ロール状の石だということがわかった。


 その石はなんとも神秘的な光を放ち、その場にいる全員を魅了した。そしてその石は揺れが収まった後から少しずつその本来の姿を現していき、ゆっくりと上へと伸びていった。その石がアウルの目の前まで伸びると全体的に青く光っていた丸、要はその縦ロール状のてっぺんにあたる場所から今度は細い線と文字らしきものが浮かび上がった。


 それがどこの文字なのかは誰にもわからなかったが、アウルは黙々とその線に囲まれた文字、一つひとつを物凄いスピードで触っていた。勿論のことアウルが何をしているのか誰にもわからないが、とても綺麗だとは皆思ったのではないだろうか。


「綺麗」


「なんなのだ、あれは?」


 そしてアウルがその浮かび上がった光の線と文字から手を離すとまたもや地面が揺れ始めた。全員、その揺れがどこから来ているのかを探していると、アウルの目の前にある丸長の石の周りが円状に下がって行き、まるで学院地下へ行くための階段のようなものが下へ向かってできた。


 だが、その階段は学院地下への階段とは全く見た目が違い、階段の段の一つひとつが紫色に光っていた。それはまだアウル以外が見たことの無いような光の色。ゼレシア、ロリ長、セリーヌ、エイリ、アリス、ジークの常識では考えられないような光の放つ色。


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