第18話 襲撃と脅威１
俺達を含め、学院の馬車はアキレア帝国へ向かう為にモンスターが多い森に入ろうとしていた。
「Bランク指定の魔物、ハンマーヘッドが集団で前方に現れました！」
「わかりました。3班と5班の先生方は援護に」
「「「「「はい！」」」」」
どうやらモンスターが現れたようだ。やはり変だ。通常、この森では高くてCランクの魔物しかいないはずで、何よりハンマーヘッドは本来気候の高い山脈の崖などに生息している魔物であり、決してこのような低い土地の森は好まないのだ。可能性としたらダンジョンだ。ダンジョンは色々なタイプと種類の魔物が生成されるので、その中から時々溢れ出てくるのだ。だが今は冬とは違い、夏なのだ。
スパッ ザザッ ドカッ ドスッ
色々な魔法の衝撃音が響いている。この程度の魔物では教師達は全く動じないようだ。彼らは次々と上級魔法を連発しまくっている。
「にしてもこんなにBランク指定の魔物が集団になって出てくるとはな。私も戦いところだが、この程度では出るまででもないな」
「ベル学院長が戦うにはせめてSランク級の魔物の集団が攻めて来ないとですね！」
「だな～」
「だな～ じゃないわよ！！！ 理事長先生ってそんなに強かったの？ というより学院長ってベルって名前だったのね」
「ああ、こう見えてもこの国に7人しかいない超級魔法の使い手だからね！」
どうやらベル学院長は自分が弱く見られていたことに腹が立っているようだ。その時
「なんだこいつらは！！！ 動きが全く見えない！」
「それに私たちの上級魔法も全く効いていないようです！！」
ハンマーヘッドの集団は上級魔法を教師から連発されたのにも関わらず、全く無傷であった。それどころかハンマーヘッドが暗く毒々しいオーラを放っているトゲのようなものを手のひらから生成し、教師達に撃った。それは決して上級魔法の魔力量の代物では無かった。その魔法が放たれると共にロリ長がハンマーヘッドの目の前へと現れ、結界を張った。
ドカッ..ズズズズ……..パリンッ
結界が割れた音がした。爆発による煙が消え、そこには無傷のロリ長が立っていた。
「理事長！ お怪我は無いですか？」
「無傷だ。結界が割れる寸前に私の周りにも結界を張っておいたのだよ」
「そうですか。流石です、学院長！」
「ああ。君達は下がっていなさい」
「はい！」
ロリ長はああいう風に強がってはいたが、ギリギリだったのだろう。息が少々荒い。いくらロリ長の得意分野ではない結界魔法であってもたったの五体でその結界を壊すとは大した魔法だ。だが、俺が心配しているのはそれよりも物理攻撃の方だ。本来、ハンマーヘッドはあまり強い魔法使うことは出来ず、手に持っている大きなハンマーで相手を攻撃し、とてもではないが瞬間的に結界を作り出し、教師達の上級魔法を防ぐということはできないのだ。
すると予想通りにハンマーヘッドは瞬間的にロリ長の前に現れた。ロリ長はその速さに全く反応できず、殴られ、吹き飛ばされた。俺の目ではその動く姿が見えたが、ロリ長や他の教師や生徒達にはいきなり消えたように見えたことだろう。
「理事長！！」
「なっ…なんだこいつは！」
「生徒の皆さん逃げてください！」
教師達は生徒にそう呼びかけると彼らは全員で分厚い結界を作り出した。だが、一匹のハンマーヘッドは結界が完全に生成されることを待つことはなく突破し、すぐさま気絶したロリ長の元へ真っすぐ走った。その途中に生徒や教師がいるというのにその方へは全く行く気配も見せず、その手に掴かんでいる巨大なハンマーでロリ長を叩き潰そうとした。
