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じねんじょ  作者: なかよし
あなぐら
3/13

第3話 待ち人来ず。永遠に。

三宅陰謀が体育座りに飽き、ひとりいないいないばあに興じ始めた頃には、あれから2日が経過していた


「いないいないばあ!いないいないばあ!本当に誰もいない……」


三宅陰謀にとって、ひとりぼっちは苦痛ではなかった。むしろ心地よいくらいである。誰もこない事をいい事に、三宅陰謀はそこから動かなかった。三宅陰謀はその体内に、自分から何かを仕掛ける程の熱量を持ち合わせていないのだ


ふと三宅陰謀はそれまで地面ばかり見ていて部屋の中を見回していないことに気がつき、手始めに天井を見てみた。天井はガラス張りになっており、向こう側には頭が尻の形をした猿が無数にヌラヌラと蠢いていた。あまりの気持ち悪さに三宅陰謀の右乳首がうずく。そしてその中で一匹だけ微動だにせず、三宅陰謀のことをじっと見つめている猿に気がつき、三宅陰謀はいよいよ左手の中指と薬指が始動する。右乳首に快感が走る。


「あの猿……俺に気があるのかな」


そう思うと何だか悪い気がせず、三宅陰謀は少しだけはにかんだ。右乳首のうずきが止まり、左手を離す。それから壁に目をやってみると15、6cm程の長さの茶色い物体がいたる所から無数に生えてきている事に気がついた。それは壁からダラシなく垂れ下がっており、ブヨブヨでシワシワだった。三宅陰謀は思わず右足の筋肉のみで立ち上がり、そのブヨブヨを手に取ってみる。なるほど、伸縮性がある。三宅陰謀は思わず両手でコネコネした。丁寧にコネコネした。コネコネしてニョロニョロした。三宅陰謀には得体の知れない物体を見つけると、両手でコネコネするクセがあるのだ。


期待していたほど弾力がない。むしろ固めでつまらなかった。それよりも興味本位でペロッと舐めてみると、壁の向こうから「もう少し優しくしたまえ」とか聞こえてくることが三宅陰謀には気がかりだった。このブヨブヨ、生きているのか?もしかしてコレは何某かの生物の肉体の一部であり、壁の向こうに本体がいるのか?と思い、周囲を見渡す


無数にあるブヨブヨと、無数に蠢く猿


三宅陰謀はひとりぼっちはなんかではなく、この2日間得体の知れないブヨブヨと猿に監視されていたのだ。その事に気がついた三宅陰謀は、急いで右乳首を左手の中指と薬指でグリングリン痛めつけた


三宅陰謀は右乳首に意識を集める。が、ブヨブヨと猿が気がかりで仕方ない。なんだか右目までうずき始めた。右目がゴロゴロする。周囲が不気味だ。特に、三宅陰謀に対してラブを感じているらしいあの猿。あの猿の不気味な視線が今もこちらに向けられていると思うとタマラなかった。三宅陰謀はいよいよ体育座りの体制に戻り、膝に顔を埋めつつ「ねむりたい。ねむたくはないけど、夢の世界に逃げたい」とつぶやいた





その時、頭上からドンドンと何かを叩く音がし始める。しかし三宅陰謀はすでに寝ていた。三宅陰謀には、全てが嫌になると体育座りになり、一瞬で寝てしまうクセがあるのだ。それでもドンドンという音は止まない。体育座りで眠りこける三宅陰謀。何かを叩く、ドンドンという音。それは三宅陰謀を見つめるあの猿が天井を叩く音であったのだが、三宅陰謀はその事に気がつく事もなくイビキを上げていた。ドンドンと天井を叩く猿。三宅陰謀のイビキ。ドンドンドンドン叩く音。イビキ。ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン。イビキ。ドンドンドンドンドンドンドンドン!!イビキと歯軋り。焦燥感を帯び始めるドンドンドンドンドンドンという音!!イビキとムニャムニャ音。ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!ムニャムニャ音とイビキ。ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドントンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンボングチュンドンドンドンドンバングチョンボンバチャンぐちょドンドンドンびちびちボンぶちゅんぶにゅんダンガタガタガタドンドンドンドンドンドンドンジュゥゥゥウウウウウザンボチョンあぁあぁぁあぁあああギリギリギリぱんッ☆ぱんぱんぱんぱんぱんッ☆むにゅむにゅッ☆ゴガァーびりびりうぇぅうぅぅうぅうううわぁああぁあぁぁあぁあああぁあぁぁあぁぁあああぁあぁぁあぁあああああぁあぁぁぁあぁあああぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁああぁあぁぁあぁあぁぁあぁああああぁああああぁああぁああああぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁあああああああぁあぁあぁああああぁあぁあぁあぁぁあぁあああぁあぁぁあぁあああぁあぁぁあぁあああぁあぁああ




「うるせぇええ!!今何時だと思ってるんだ!!管理会社に電話するぞクソがァアア……あ……ぁヒッ」


あまりの騒音に目を覚ました三宅陰謀は、怒号とともに天井を見た。が、そこには先ほどまで無数に蠢いていた猿が一匹もいない。その代わり天井は真っ赤に染まっていた。驚いて周囲を見回す三宅陰謀。しかし、右目がゴロゴロとうるさい。右まぶたを閉じ、その上に右手のひらを雑に添えつつ、左目のみで周囲を見回す。すると「ピギィイイ」という悲鳴のような声がいたる所から聞こえ始めた。壁のブヨブヨの先端から赤い液体がドボドボとしたたり出す。それを見た三宅陰謀は、急いで例のごとく立ち上がると、部屋の中央のあたりに移動した。右目の主張が激しい。三宅陰謀は右乳首を左手の親指と人差し指でひねり回しつつカバディカバディと連呼し始めた。コレは精神的に追い詰められた三宅陰謀が見せる最終奥義である


三宅陰謀がカバディの連呼に耐え切れず息継ぎをしたその時、添えていた右手を押しのけて、右目から突起物が出てきた。三宅陰謀に戦慄が走る


「コレが出てきたということは……まさか……」


三宅陰謀は恐怖から全身を震わせていたが、ふと自分を取り巻く全てに心底嫌気がさし、体育座りになって眠りについてしまった


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