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Lone wolf  作者: 片栗粉
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ラズル・ダズル

ああ、哀れなヨリックよ…

いまどこにある、お前の皮肉な笑いは?

もうおのれのニヤケ面で、笑いを取ることもできぬか?

あごがぽろりと外れ落ちてしまったのか?

さあ、ご婦人方の部屋へ行って、

どんなにごってりと厚化粧をなさったところで、

いずれはこの有様に、と言って笑わせてやるがいい。


~シェイクスピア『ハムレット』~

ブロンクス地区での戦闘の後、本当はもう少しだけ寄りたい場所があったのだが、激しい雨で体中びしょ濡れで寒くて仕方がなかったので、早々に切り上げてキャブを捕まえた。


白人の運転手がびしょ濡れの二人を見てあからさまに嫌そうな顔をしたが、零が掃除代だといって多めにチップを渡せば、何も言ってはこなかった。


「近距離と、遠距離の二人組か……厄介だな。」


零は、流れゆく景色を眺めながら、記憶の中を片っ端から探ったが、ラングレー時代にもあの顔に見覚えはなかった。情報のない敵ほど、厄介で面倒なものはない。どうにかして、奴等の情報を入手できればいいのだが。


そして何故あの殺し屋があっさりと自分達を逃がしたのかが気になっていた。あそこまで腕が立つならば、あのまま狙撃に乗じて攻撃を仕掛ける事も出来た筈だ。

また、何が狙いにしろ、また仕掛けてくるのは容易に想像できる。


「そういえば、収穫はあったのか。」


ぼうっと外を眺める相棒に、斎藤が肘で小突いた。零はにやりと笑ってジャケットの胸ポケットに手を突っ込む。


「ふふ。ありましたよ。これです。」


平たく小さな黒い物体が、斎藤の鼻先に突き付けられるが、斎藤は只々首を傾げながらまじまじと見ているだけだった。


「墨なんぞ出してどうするんだ。何か書くのか。」


「違いますよ。これはUSBメモリ。パソコンなどで使う機械って言えばわかるかな。この中に何らかの情報が入っているんです。」


ほう。と斎藤がUSBメモリを手に取り興味深げに眺める。ついさっきまで壮絶な命の取り合いをしていたとは思えないほど無邪気な様に零は何度目かの苦笑を漏らす。


「こんな小さな棒の何処に、文字が書けるのだ?」


斎藤はこれが密書の類と勘違いしているようだった。あながち間違ってはいないが。


メモリを弄ぶ手を止めて、斎藤が零を見た。だが、零は虚空を見据えたまま、何やら考え込んでいた。


「……御使いはその香炉をとり、これに祭壇の火を満たして、地に投げつけた。そこで、七人の御使いがラッパを吹く用意をした。」


「は?」


「ヨハネの黙示録、第8章6節。7人の天使がラッパを吹き鳴らし、世界が災厄に満たされる……トランぺッター……。」


まるで話が見えない斎藤は、USBメモリを手にしたまま、ぽかんと零の顔を見つめた。それに構わず、零はぶつぶつとうわ言のように呟いた。


「……もしかしたら、それには世界を終わらせるような、【とんでもないもの】が入っているのかもしれない。」


「何だと?こんな小さい棒が……。」


その言葉を聞いた斎藤は、驚きと戸惑いが入り混じった表情で、己の親指よりも小さな黒いUSBメモリを見つめていた。


煙草と、コーヒーの匂いが入り混じるキャブの車内に、不気味な沈黙が降りた。それきり二人は貝のように押し黙ってしまった。


運転手がそんな空気などお構いなしにカーラジオのスイッチを入れると、途端に車内が騒がしくなり、NFLの実況中継と歓声が響き渡った。二人は、その歓声を聞きながら、今にも落ちてきそうな重々しい曇天の空を窓越しに見上げた。



―――――――


ハイドアウトから少し離れた場所でキャブを降りると、また、ぽつぽつと雨が降ってきた。相変わらず、ヤニとウィードの胸糞悪い臭いのする階段をびしょびしょにしながら上がり、建付けの悪いドアを開けると、ようやく一息ついた。


零は濡れたジャケットを埃っぽいソファに放り投げると、クローゼットから着替えを取り出して斎藤に渡した。そして、着替える時間すら勿体ないと言うように、パソコンと向かい合った。


「……少し休んだらどうだ。酷い顔だぞ。」


ソファに座って雨に濡れたシャツを脱いでいた斎藤が零を見た。長年、剣によって鍛え上げられた肢体と、それに刻まれた傷跡が露わになる。殆どが古いもので、金創が多い。今時中東の最前線にいる兵士だって、ここまで刀傷だらけにはならないだろう。捕まって拷問でもされない限りは。


そして、背面の隆起した瘤の如き見事な筋肉は、生半なトレーニングでは決して出来ないものだと、零はそう分析した。


零の無遠慮な視線に、どこか居心地悪そうに斎藤が眼を逸らし、渡された着替えに袖を通した。


「斎藤さんも、傷だらけですね。戦場での傷ですか?」


目の前のディスプレイを見ている零が呟いた。斎藤がどこか遠くを見るかのように、窓に視線を向ける。


「……そうだな。甲州勝沼から、白河口、母成峠を転戦した。あれは、慶応4年の弥生か……あの時もこんな曇天だった。皆、食うものも無く、寒さに凍えきっていた。」


零がおや、と顔を上げる。いつになく饒舌な斎藤が、珍しかったからだ。


「俺は武士の時代が終わるなぞ若い頃は考えもしなかった。あの戦いが終わっても、どこか信じられなかった。だが、西南の役で武士の時代が完全に終わったのだと、思い知らされた。時代の流れとは、かくも無情なものだとな。」



静かなテノールが、独白のように紡がれる。零は、唯無言で聞いていた。悲しみと言うよりは、懐かしい思い出を語っているかのようだった。だが、ふと我に返ったように顔をしかめると、再び空を見上げた。


「すまん。つまらん話をした。忘れてくれ。」


「ふふ。そんな事ないですよ。斎藤さんは中々自分の事話してくれませんから。」


「しっ!待て、零。あれを見ろ。」


斎藤の声に素早く反応し、零は緊迫した表情でカーテンの隙間から外を見た。ビルの前の路地には灰色の清掃業者のロゴが書かれたバンが連なり、中から白い防護服を着た人間が一斉に降りてきた。

その物々しい雰囲気に、通行人が何事かと振り返る。


「……相変わらず下手くそな偽装だ。分からないとでも思ってんのかね。」


CIAの特務工作部がよく使う手だ。あの殺虫剤の噴霧器に見える物は実は金属探知機で、工具箱の中には、銃がぎっしりと入っているのを零は知っている。


「上へ。ここはもう駄目だ。」


「お前はどうするんだ。まさか殿しんがりを務めるとか言うわけではないだろうな。」


「むざむざと殺されに行くわけないじゃないですか。少し、派手なパーティになりますよ。屋上に出る扉の前で、待っててください。でも屋上には出ないで。スナイパーがいるかもしれない。」


そう言って部屋から斎藤を無理やり追い出すと、零は作業に取り掛かった。



――――――


部屋に一人残った零は、ソファの下から必要なものを取り出すと、作業に取り掛かった。


おそらく、奴らは階下にいる中国人共と一戦交えるだろう。実のところ、此処は華僑系マフィアが牛耳るビルであった。


奴らは自分の領域が侵されることを酷く嫌う。無遠慮に土足で入ろうとする国家の犬にならなおの事だ。


そんなことを思っていると、程なくして階下から中国語の怒声と、銃声が鳴り響いた。練度も装備も桁が違う。CIAの特務部隊にその辺のチンピラが叶うわけ無いのは分かっているが、少しは時間稼ぎになる。


それを見越してこの隠れ家を借りたのだ。すぐに全滅されては困る。


階下の銃声をBGMに、零は銃を構えながら部屋の外に出た。階段の板を剥がし細工をして、そこを踏まないようにそろりと部屋に戻った。そしてパソコンの方を見る。終了時間を表すバーの進みの遅さに舌打ちした。


階下の銃声が止み、ゴツゴツと階段を上がる足音が上まで響く。足音はおそらく3~4人。階段を上がる音を心の中でカウントする。


「3、2、1、bomb 」


今はスマートフォン一つで爆弾が作動できるが、零は敢えて前時代的な手法、階段の板切れを踏むと爆発する地雷方式を使った。其の方が確実だし、有り合わせの物で簡単にできる。


そして仲間の負傷、死は怒り、恐怖を植え付ける。怒りや恐怖に取りつかれた兵士は、もう役には立たない。


鼓膜が破れるかと思うほどの破裂音が響き、人が転げ落ちたと思われる鈍い音がした。その時、ディスプレイから作業を終えた電子音が鳴った。


「よし。」


メモリを引き抜き、何発かをハードディスクに向かって撃ちこむと、零はドアを蹴り破った。酷い粉塵に眼を細めてちらりと下を見れば、ピクリとも動かない仲間を下敷きにしながら、白い防護服の右足を赤く染めた男が呻いていた。先ほどの地雷で吹っ飛ばされたのだろう。零はその哀れな男に向かって引き金を引く事はせず、素早く階段を駆け上がった。


5階、6階…と狭く脆い木造の階段を駆け上がる。


上に、斎藤の姿を確認し、足を速める。


「零!」


斎藤が安堵したように声を上げるが、零はそれに答えずに、斎藤の腕を取り、屋上へつながるドアを開けて、様子を見る為に一拍置くと、素早く外に出た。鉛色の雲が上空を覆い、雨が小雪に変わっていた。素早く視線を巡らせ、狙撃手がいないことを確認する。


おい!という斎藤の声を無視し、零はがっちりと斎藤の腕を取ったままだ。そのまま腐食していない手すりにカラビナを掛け、ラぺリング用のナイロンロープを自分と斎藤のベルトに固定した。手すりを乗り越え、吹きすさぶビル風が、二人の髪を滅茶苦茶に撫でる。


反対側では、続々と集まる改造車やらバイクに向けて発砲する追跡者達や、ビルに向けて火炎瓶を投げ放つギャング達で、ハロウィンの乱痴気騒ぎのようだ。


「降りますよ。斎藤さん。」


「待て!降りるってまさか!」


食事でも誘うかのような気軽さでそう言うと、零は斎藤の体に両腕をしっかりと巻きつけて、9階ビルの屋上から、ビルの隙間へ身を躍らせた。斎藤の悲鳴が一瞬だけ辺りにこだました。


―――――


こんなはずではなかった。CIA特務部隊を拝命する前から、合衆国の旗のもとに忠誠を誓ってきた。その為に血の滲む様な鍛錬もしてきた。


何故、このような所で、ギャング如きに仲間を殺されなければならないのか。


後から後から湧いて出るギャングに、容赦なく減りゆく弾丸。


そうだ。私は侮っていた。たかが女一人だと。だがそれは間違っていた。


【クラフトマン】


お伽噺だと馬鹿にしていた【ギルド】の逸話。選び抜かれたエリートだけで構成された、ウエットワーク専門の特殊部隊。その中でも【クラフトマン】とは戦うな。いつしかそんな噂が飛び交っていた。


どんな状況下でも、取り乱すことなく、職人の如く精密さで任務を遂行する。


何人のベテラン工作員が捕まり、凄惨な処刑を受けたであろうISISの巣窟に単身飛び込み、瞬く間に主要幹部4人を殺害したエージェントは、事前に組織に反発する人間達を巧みに取り込み、武器を与え、彼等の指揮を執った。本国の急襲部隊が到着する前に、もう全ては終わっていた。知る人ぞ知る逸話だ。それを聞いた時、そんな映画に出てくる様な男が存在するのかと思ったものだ。


まさか、そんな幻のような人間が、女だと考えたことなどなかった。


だが、今はそう思える。あらゆる状況を自分の味方とするその手腕はまさに、精密な装置を組み立てる職人の如く。


「クラフトマン……。」


吹き飛ばされ、壊れた蛇口のように血液が噴き出し始めた足の付け根を抑えながら、階段を駆け上がる女を睨みつけた。



―――――


ネットと言うのは非常に便利だ。ギャングの下っ端を装い、敵対勢力に襲われていると書けば、瞬く間に仲間のギャング共がショットガンを手に現れる。ギャング達は仲間同士の結束が強い。


零はあらかじめ彼等が連絡に使う掲示板に助勢を乞うような書き込みをした。


それは予想以上の効果を生み、かなりの戦力になってくれたようだ。後は彼らがドンパチしてくれる間に、とっとと逃げるが勝ちだ。


「……今度は、事前に言ってくれ。」


斎藤が蒼い顔で零を睨んだ。9階からのラぺリング降下だが、殆ど足を壁につかず、落下と言ったほうが正しいかもしれない。

薄暗いビルの隙間は、生ごみや溝の臭いが漂い、ネズミの寝床のようだった。


「すいません。言葉が足りなくて。」


確かに、上で待っていろと入ったが、飛び降りるとは言っていなかった。斎藤が何かを言おうとして、口をつぐんだ。


「……まあ、いい。突拍子もないお前の行動にはもう慣れた。」


「どうも。理解のある相棒で助かります。」


早くもサイレンの音が聞こえる。近隣住民が通報したのだろう。早くこの場を離れたほうがよさそうだ。

裏路地を出て、ハイドアウトから少し離れた通りに出た時だった。


黒のセダンがタイヤの摩擦音を響かせながら、零達の前に立ち塞がる。零は脇の銃、斎藤は肩にかけたバッグの中へ、反射的に手を伸ばした。


フルスモークの運転席のウィンドウが下がり、癖っ毛の黒髪を後ろに撫でつけた色白の若い男が顔を出した。見覚えのある顔に零は眼を見開く。



「クラフトマン。乗ってください。ハーミットからの使いです。」


思わぬ男の言葉に、零は警戒心をむき出しにした。


「それを私がそのまま信じるのと、君があの時の意趣返しに、400万ドルと引き換えに警察に引き渡すのでは、どちらの確率が高いかな。アレン・カーティス。」


アレン・カーティス。かつて、零と同時期に就いていたソマリアの任務で命を落としたCIA局員、ウィリアム・カーティスの弟を名乗る男。CIA情報本部CIS分析部分析技官。


そして、薄野駅で零に接触した男。


「僕はここであなた方を見捨てても構わないですけどね。どうしますか?キャブを呼びます?」


神経質そうな細い眉を片方上げて、アレンは零を挑発した。だが、零は言い返すことはせずに後部座席のドアを開けた。


会話の間ずっと、斎藤はアレンに向けて敵意のあるまなざしを向けていたが、零に促されて不服そうにセダンに乗り込んだ。ドアを閉めた瞬間、セダンは急発進しその場から遠ざかった。


「賢明な判断ですね。賢い人は嫌いじゃないです。」


滑らかなハンドル捌きで、セダンを操るアレンが皮肉気に言った。


「君は日系人か?兄弟にしては似ていないな。」


「そちらの方は何者ですか?あなたのボーイ・フレンドでもなさそうですね。」


アレンは零の言葉を無視して、バックミラー越しに斎藤を見た。こげ茶色の眼が、すうっと細くなる。斎藤がそれに気づいて険しい視線を投げた。


「彼は……まぁ複雑な事情でね。正真正銘日本人だ。英語は全くできないからそのつもりでな。」


アレンは一度ため息をつき、斎藤に軽く頭を下げた。


「僕はアレンと言います。どうぞよろしく。日本語なら会話程度できますから。」


流れるような日本語でアレンが言った。訛りも殆どない、完璧な日本語だった。先ほどまで英語ばかりで辟易していた斎藤が、思わず背筋を伸ばしてひたりと相手を見る。見ているだけで冷汗が出るような、鋭い眼光だった。


「斎藤一と申す。よしなに。」


思わぬ挨拶に、流石のアレンも眼を白黒とさせた。それはそうだろう。今では日本人ですら使わない古言葉だ。ミラーの中の両目が戸惑ったように零を見たが、零は肩を竦めただけだった。


「クラフトマン。貴方が思っている以上に事情は複雑で、そして時間がありません。これから彼の所へ案内します。そちらのMrサイトーも一緒に。」


アレンが斎藤にも解るように日本語で言った。ちょうど信号が赤になり、ゆったりとセダンが停まる。


「彼…ハーミットは、私が知っている人間だな。」


「……何故そう言えますか。」


「私がクラフトマンだと知っている人間はごく僅かだ。君のような経験の浅い坊ちゃんがその名前を知っているとは思えない。」


赤いライトが点滅し、青になった。さっきより若干乱暴にアクセルが踏まれる。


「僕は情報分析官ですよ。本部の極秘ファイルにアクセスすることなんて、朝飯前です。」


「それは知っているさ。君の手帳に書いてあった情報は、全てアクセスレベル上位のものだ。だが、君はそれを知っている。本部の端末でそれをやれば、一発で査問会議ものだ。それに君は休職でもしているのだろう?」


アレンの表情が硬くなった。何を根拠にそう言えるのかという顔だ。


「唯の分析官がわざわざあんな場所まで来るなんてありえない。彼等は殆ど自分のオフィスから出ることはないし、全職員、休暇中の旅行には必ず申告が必要だ。皆それに合わせて休みをとるからな。それをしなくてもばれない人間は、何らかの事情によって長期休職している職員だからさ。」


だが、身分証まで持ってきているとは、間抜けもいいところだ。と零は窓の外を見ながらはっきりと言った。


「流石、観察力は並外れてますね。御見それしました。ついで身体能力もブランクがあるとは思えませんね。」


ずけずけと言い当てられても、アレンは気分を害した風は無く、むしろそれを喜んでいるようであった。


「これで心置きなく、あなたをこき使うことができそうです。クラフトマン。」


クラフトマンという名は、零にとって思い出したくもない名だった。こんな若造に連呼されて面白いはずもない。


「おいクソガキ。もう一度その名前を呼んでみろ。お前の舌を引き抜いてやるからな。」


怒った獣の唸り声のような零の言葉に、アレンは鼻を鳴らして、Sorry.とやはり小馬鹿にしたように呟いた。


「零。この小僧、斬ってもいいか。」


斎藤がアレンに聞こえない程の声で、ぼそりと呟く。それに笑いを堪えるように零がまあまあと宥めた。


「お客さんが来たようだ。この坊ちゃんの運転がどれほどか、見てやりましょうか。」


ちらりと後ろを見ると、明らかにラングレーの偽装ナンバーを冠した車が、ちらほらと後を追ってきている。


「さあ坊ちゃん。鬼ごっこの始まりだ。捕まったら、頭をぶち抜かれるぞ。死ぬ気で逃げろ。」


すでに銃を抜いた零が、肉食獣の如き笑みを浮かべた。

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