現実からのデクレシェンド
現実からのデクレッシェンド
西框清隆
僕の手に残っている
消えかけた過去への香り
空を見上げ、流れる雲
見えない今の風
また一つ、失って、黒く染まる写真の中
僕らは、それでもまたこの一歩を踏みしめた
雑踏、溺れる、現実の底
崩壊、蕩ける、心の本音
どう仕様も無い虚無が
波のように押し寄せてくる
僕の心ごと
街を飲み込んでいく
思い出にすがりついて
止まった針、手を伸ばす
気がついた時、温もりは
四角い箱の中
部屋の隅、縮こまって、空想の世界に行くよ
積み木の高層ビルをくずしたくなる
冷えてく、動かない、終わりの日に
突然、始まる、デクレッシェンド
どうかしている自己認識が、
槍を心臓に刺してくる
全てを 全てを
飲み干したくなる
僕の言葉、もう響くことのない、君の体を僕はまだ欲しているのか
もうそんな認識さえ、
現実から薄らいでいく
冷えてく、動かない、終わりの日に
突然、始まる、デクレッシェンド
どうかしている自己認識と心が、
叫んで、
終わらせる、日常の景色
全てが 全てが
もうこの手から溢れる
消えてく 消えてく 消えていく
最後の音色さえ・・・・