東京メロディ
翌日、私は普通に大学に行った。
葬式の日以来、私は涙を流していない。
私たちは何も始められずに終わった、何も残さずに終わった。
でも、私は終わっていない・・・。
あの葬式の後、柏木仁のアコギを借りてスタジオに向かった。
あの日レコーディングするはずだったスタジオに。
スタジオに入った楓はレコーディングの予約を済ませ、レコーディング本番を迎える。
そして出来た、たった一枚のCD。
このCDを楓は東京のラジオ局に送ることにした。
「柏木くん、これでみんなに聴いてもらえるといいね」
―――その数ヵ月後、そのたった一枚のCDに収録された曲が有線で流れ始め、瞬く間に楓は有名となる。
そして、レコード会社からのデビューの誘いも来た。
しかし楓は・・・
「私はただ、みんなに聴いてもらいたかっただけです・・・それにこの曲は柏木くんの曲ですから」
そう言って断った。
そのまた数ヵ月後、楓は無事に大学を卒業した。
就職も決まった。
若きミュージシャンたちに手を差し伸べる、レコード会社の社員に楓はなる。
「柏木くん、柏木くんの夢は叶えられたかな・・・死んじゃったからから違うか・・・でも、みんなに聴いてもらえたよ!」
「『東京メロディ』を」
終。
初めての連載でした。
そして初めて書いた小説です。文の構成とかお話のつくり方とかめちゃくちゃかもしれません・・・。
でも、楽しく書けました。
次はまた違うテーマで書いていきたいと思っています。
ここまで読んでくださってありがとうございました。