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曇天
家に帰って、お風呂と夕食を済ませた私はまた少し考える。
考えるというか、ぼーっとする。
私でいいのだろうか…。
私なんかがやっていいの?
一度捨てた夢を。
音楽を。
また心に靄がかかるが、それでは柏木に失礼だと無理やり取っ払い、無理やり寝る。
それから一週間が経った。
土曜日。
学校は休みで、レコーディングの日。
一週間練習を重ね、その全てを出し切る。
朝、8時。
約束のスタジオに楓が先に着く。
「あいつは…まだか」
9時。
遅い。
一時間の遅刻。
我慢ができなくなった楓は柏木に電話をする。
Trrrr…ガチャッ
「もしも…」
「はいもしもし…」
「ちょっと!一時間の遅刻なんですけど!……っていうか、あなた……誰?」
「私は仁の姉です。あなた、仁のお友達か何かですか?」
「はい…一緒にバンド組んでる…」
「楓さん?中村楓さんね?」
「はい…そうですけど……」
ドク…嫌な気がした。
聞きたくなかった。
「あの、柏木君は…今…」
「仁は交通事故で亡くなりました…さっき、スタジオに行くって言ったあとに…」
その日は曇天で今にも雨が降りそうな日でした。