プロローグ
正統派のファンタジーが書きたいと思い挑戦してみました。
なるべくこまめに更新致します。
他の小説も執筆中なのでその合間に楽しんで書いています。
誤字など少しばかり目をつむってください。
機械などが出てきて反則的な感じになりましたが、読んでいただけると幸いです。
――砂漠の都ジャカラン。都市近郊で魔獣がはびこり人々を驚天動地させる。そして、シェーカーと呼ばれる獣駆除隊を編成するも人間側が圧倒的に不利であった。ジャカランの天位法王から、緊急に傭兵を各地から徴用した。
その中にプレアキメデルソードと呼ばれる剣を携えた若い騎士がいた。名はマグス。シェーカーに入らず一人魔獣に立ち向かう。傭兵達に無謀者と呼ばれインセイン・ボーイと二つ名で呼ばれた。
聡明な音がカランと鳴った。
換金所に緊迫した空気が辺りを包み、睥睨の目がマグスに集まる。
「いらっしゃい――おお、インセインじゃねーか。今日も稼いで来たのか?」
マグスはシェーカーの傭兵を気にもとめず、傲然とロブの元へと向かった。
身体のあちこちに血の跡が残るマグスは、右手の小手を外すとロブの目の前へ差し出す。
「ロブじいさん、今日の出来高だ。金に変えてくれ」
小手はチャッカーと呼ばれる。魔獣を倒した証拠が記憶される小手。魔獣を駆除するとコンピュータに読み込まれ金に換金される。
国からシェーカー傭兵部隊や魔獣ハンターに支給され、国と傭兵の均衡を保つためにも必要であった。
誰が魔獣を倒したか揉めることがなくなり、倒した魔獣の強さでも金の利益も違う。
大概は三人から五人のパーティで魔獣を駆除するのだが、マグスはそうしなかった。
「なあインセイン。そろそろ誰かと組まねぇか?おめえさん、いつか死んじまうぞ」
ロブがおでこにシワを寄せ、渋い顔でマグスをジッと見る。
マグスは不敵に笑みを浮かべ、呆れ顔をして言った。
「じいさん、心配かけてごめんな。でも、俺は一人で十分なんだ。お荷物が増えるのが面倒くさいしな。要するに……邪魔なんだ」
「なんだとっ!貴様ぁ、シェーカーを侮辱する気か!」
――誰の罵声か解らない。店内がざわつき、何名か椅子から立ち上がる。
「おいおい、俺は本当の事を言ったまでだ。この中で俺に勝てる者がいたらシェーカーになってやるよ。なんなら、全員でもいいんだぜ?」
マグスは剣の鞘に手を掛け、全員を凝視し言葉を吐いた。
シェーカーの傭兵は「くそっ、インセイン・ボーイが……」と口々に言う。
傭兵たちは知っていた。集団で飛び掛ったとしても敵わない事を。自分たちが魔獣一匹を倒すのに死者まで出ている。それをラグスは一人でやってのける。
「……揉め事は外でやってくれよ。ほら、今日の稼ぎだ」
「サンキューじいさん。またくるよ。さて、宿でも探すかな」
睨みを訊かせた傭兵たちを尻目に、背伸びをするとマグスは店を出て噴水ある比較的静かな公園へ行き芝生に寝転んだ。
剣を鞘から取り出し、剣に映った顔がゆらゆらと歪んでいる。
プレアキメデルソード……プレア母さんとキメデル父さんの渾身の作。軽く――切れ味も良く――刃こぼれしない。この剣のおかげで俺は生き長らえてきた。あとは妹の病気のクスリをなんとしても手に入れないと……
感慨に浸ると剣を収め、赤く朱色になった空を見上げていた。