ep.4
ふと目を覚ますと空はまだ星がきらきらと輝いていた。
明かりが灯っている家はほとんどなく、静まり返っていた。
横で気持ちよさそうに寝ているレイを起こさないように、静かにベッドから出た。
部屋の扉の近くに置かれているランタンに火をともし、そっと扉を開けた。
外は少し肌寒く、肌に触れる風が冷たかった。
少し海を眺めて、部屋に戻ろうとした時、道の奥で明かりがちらちら揺れているのが見えた。
あそこは日中に通ったが、道が狭く行き止まりのはず。
こんな時間にそんな場所に行くなんて事情があっても避けると思うのだが…。
と考えている間に、奥からガラスの割れるような音が聞こえた。
胡渡は一瞬、千陽たちを起こすべきか迷ったが、ランタンの明かりを消しなるべく音を出さないように音の聞こえた方へ近づいた。
幸い月明りに夜道は照らされ、はっきりと見える。
壁からゆっくりとのぞき込むと、二人組の男がこちらに向かって歩き出していた。
胡渡は来た道を引き返し近くに置かれた木箱の裏に身を潜めた。
だんだんと近づいてくる男たちはなにか話しているようだ。
「あいつのせいで俺の妻はふさぎ込んでしまったんだ!いつまであの魔女の子をこの町にいさせるつもりなんだ!」
「まぁ、仕方ない。あれでもこの町には必要なんだから。」
でもよぉ、怒鳴り散らしている男の方はふらふらと歩きながらもう一人の男の肩を叩いていた。
二人とも相当酔っぱらっているみたいだ。
男たちが遠くへ通り過ぎた後、さっきの道へ戻った。
明かりがないため、よくは見えないが奥の方で黒いものが少し動いているのが見えた。
割れた酒瓶があたりに散らばっている。
足元に気を付けながら近づいていくと、黒いものが人であることに気づいた。
うつぶせの小さい人を何とか抱え、月明りの届く場所まで運んだ。
そっと地面に下ろし、けがの具合を確認するため頭のフードを慎重に外した。
胡渡は眉間にしわを寄せる。
フードの下から出てきた顔は、ところどころ腫れあがった見覚えのある少女だった。




