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列国の秘史録  作者: sleet
鹿鳴之宴
19/37

ep.17

「以上が今回、起こった全てですわ。」

開いていた本を閉じ、ゆるくウェーブのかかった薄い黄色の髪を耳にかける。

「そう、ありがとう。」

ストンとしたドレスを着た少女は、眉間にしわを寄せる。

「あの子たちに辛い思いさせてしまいましたね。」

「心配には及びませんわ。何方にしろ通る道でしてよ。」

「トプ、あなたまた冷たい事いったのでしょ?」

「あら?私はいつでも平等なだけですわ。」

少女はくすっと笑い、ルージュの頭を優しくなでた。

「あなたがとても優しいのは、私が一番知ってるわ。」

ルージュはむっとそっぽを向いたが、撫でる手を止めはしなかった。

「今日は柘伶(ツミレ)に会って行かないの?」

「あの子、私の事嫌悪してますからいいのです。また、部屋を荒らされますわよ?」

いじわるそうに笑ったルージュはどこか少し寂しそうだった。

「では、主。また何かありましたらご贔屓に。」

ルージュは軽くお辞儀をし、部屋から出ていった。



あれから私たちはすぐに帰国した。

帰り着いたころには千陽の怪我は殆ど治っていた。

胡渡はそのまま、医務室に連れていかれた。

翌日、胡渡を除いた二人で涼訵(スズチ)さんに報告をしたら小一時間ほど説教された。

でも、最後に無事でよかったと言ってくれた。とても心配してくれてたのだろう。

今朝やっと目を覚ました胡渡を迎えに、私は医務室へと向かった。

扉を開けようと手を伸ばしたが、遠ざかり代わりにお香のあまり香りが漂った。

「あら、ごめんなさい。どうぞお入り。」

この透き通るような柔らかい声はこの国に一人しかいない。

「シュイ様!こちらこそすみません!」

彼女が少し動くたびに心地のいい鈴の音が小さく鳴る。

指先が見えないほどの長い袖の上から羽衣のようなものを羽織っており、白い肌には薄っすら鱗のような模様が見える。

とがった耳の傍から、途中ねじれたりしている長い角が左右に一本ずつ生えていた。

鈴の音はその角からぶら下がっている丸いビー玉のような球体から聞こえた。

「そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ。どこか体調が悪いのですか?」

「いえ、胡渡を迎えに…」

「あの方のご友人でしたのね。奥のベッドで身支度されてると思います。案内しますね。」

少し後ろから、彼女の顔を横目で見る。

額から口の上あたりまで黒い布で覆われており、その布には何か文字のようなものが一つ大きく書かれている。

すごく綺麗で優しい人なのだが、レイは少し苦手だった。

病室で胡渡と合流し、シュイに見送られながら医務室を後にした。

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